【#NIKKEI】義務教育におけるオンライン授業を個別化する意味はあるのだろうか

 引用した記事の内容は、COVID-19下における教育環境について、教室(オンサイト)ではなく、遠隔(オンライン)で授業が開始されたと言うもの。しかしながら、通信環境は機器操作に難があり、まだ学習環境としては満足いかないというもの。


義務教育は元来標準化されている

 義務教育について概観する際に様々な論点を考えることができるが、学習指導要綱に基づいて行われる教育、とすることができる。そういう意味では、基本的には標準化されていると言える。ただし、その実際は、学校単位で現地生徒に合わせて調整されて、厳密には多少の違いがある。
 今までであれば、個々に教員が授業などを行い、教育を実行するしかなかった。しかし、昨今はそうではない。少なくとも大学受験においては、必要な知識はある程度標準化していると考えることができるから、実際、映像授業の予備校は成功するのである。例えば、センター試験でも東京大学の入学試験であっても、必要な知識は受験生によって変わるものでもない。目指すレベルと出発点のレベルはパターン化が可能である。
 

現在のオンライン授業は標準化されていない

 全国の教職員が概ね同じ内容を個々にオンラインで授業するというのは効果的であろうか。私は効果的では無いと思う。同じことを行う膨大な人間をコストと抱えることは、費用対効果が悪い。
 少なくとも、国の赤字額が大きいと叫ばれる中で、無理矢理にでも公務員の給与を下げてどうにかするくらいなら、昨今の状況を踏まえて教育体制の見直しが必要となるだろう。


私の考える義務教育のDX

 ザックリと義務教育のデジタル化について考えてみた。今回、記事で挙げられたボトルネックは以下の2点。

・機器の操作に慣れていない。おそらく、生徒と教師の双方。
・通信環境によって、映像や音声が途切れることがある。

 前者については、本人の気持ちの問題である。新しいものの操作は最初からできるものではない。つまり、生徒でも教師でも、使いにくい機器やソフトが悪い、と文句を言うのではなく、とりあえず学び使えるようにする、という姿勢が重要である。ただ、昨今は使いやすさ(UX)が重視される時代であるから、この姿勢を持たないことは、社会で生きる上で遅れをとることは間違い無いだろう。
 後者については、一元的に大規模設備を備えることで解決するだろう。というのも、少なくともYouTube Live が止まることがほぼ無いからだ。つまり、技術的には同時接続者数20万人程度は可能ということになる。となれば、専用のソフトウェアを開発することで、それらは解決することになろう。

 具体的な案としては、以下の通り

・大規模なソフトウェアを開発することによって、固定費用を全国で共通化し、生徒数に応じて、各市町村で費用計上。通信環境の整備と費用削減。
・全国の小中学生をレベル分けして、オンラインのルームを作り、メインの授業をする人、サポートをする人、をそれぞれ設置する。メイン:1人、サポート:1000人に1人?

学生側は、概ね自分にあった授業を受けることができるし、グループワークなどもサポートする教師がいれば可能だ。何より、生まれた場所や育った場所によって価値観に制限がかかるのではなく、全国規模で様々な同世代の人との交流は新しい発見をもたらすだろう。
 実際、標準化できるのは、国語、数学、理科、社会、英語、と言ったもので、音楽や体育などは厳しいと思われるので、同じ地域の学生同士の繋がりは継続される。


まとめ

 デジタル活用については、様々な議論がなされるであろう。紙で学ぶのが良い、鉛筆で書くのが良い、などである。おそらく、デジタルで学んではいけないのか、スタイラスやApple Pencilではダメなのか、疑問をぶつけても答えは返ってこないだろう。確かにデジタル機器は高額だ。しかし、シェアリングエコノミーは高額商品の民主化に成功した。つまり、学校が本格的に主導すれば、多少の高額機器は費用の回収が可能であるし、利子をとっても良い。困るのは、鉛筆を作る会社や教科書を印刷する会社であろうが、そんなことを気にしていたら、前に進まない。そのうち私立では、こうした取り組みを学校の提携などを利用して行われるだろう。
 前時代的な取り組みを新しい取り組みとして、目玉、にしている限り、抜本的な成長は臨めない。海外からノウハウを買って、大阪、京都、兵庫、で予備校講師を呼んで一元的なオンライン授業を行い、現教職員がサポートに回る。費用も膨大で、様々な反対に会うだろうが、現状、このあたりが授業の質を担保しながら義務教育を遂行する方法であるように思う。

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