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【読書記録 #52】『さよならも言えないうちに』(川口 俊和 著)を読みました

※本記事にはネタバレが含まれます。

あらすじ

『さよならも言えないうちに』には全4話が収録されています。4話に共通するのは、それぞれの話の主人公が「さよなら」を言うことなくこの世を去ってしまった者に会うために過去に戻る、という点。

過去に戻って大切な存在と会話をすることで、自分を許す。そして前を向いて生きていく。大切な存在を失った4人が過去を受け入れていく様を描いた物語。

感想

『コーヒーが冷めないうちに』シリーズを5年ぶりに読みました。

「さよなら」。それが本書のテーマでした。もうそこからして「ああ、お涙ちょうだい的な話なんだろうな」と構えてしまいました。

しかもこれまでにシリーズ2作を読んだことがあったので、何となくストーリーのパターンは把握していました。だから、本書においてもストーリー展開にあまり驚きはありませんでした。

ただ、展開が予想通りではあるものの、読み進めていくうちにそこはそれほど重要ではないと思えてきました。

誰しも過去に戻りたいと願うことは起こり得る。そしてそのときに、どう事実を解釈し、どう心の整理をして、いかに前を向いて生きていくか。

それがこの物語の魅力であると思うのです。

現実世界では2022年現在、過去に戻る術はありません。この物語のように亡くなった人に会いに行って、伝えられなかった想いを伝えることはできません。だからこそ、意地を張らずに素直に想いを伝えることが大切なのです。自分が後悔をしないために。

過去に戻って亡くなった者と会話をしたことで、過去を受け入れ、そして前を向いて生きていこうとする4人の姿。それは、キラキラとしていてとても魅力的に見えました。

私も、後悔のないように素直になろう。そして、後悔するようなことが起きても、自分を許して前を向いて生きていこう。そんなことを感じさせてくれる一冊でした。

・読んだ時期 :2022年3月中旬
・かかった時間:7日×30分
・おすすめ度 :★★★☆☆


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