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『名著の話 芭蕉も僕も盛っている』を読んで。

著者の伊集院光さんがテレビ番組、100分de名著に出演した後に紹介された本を読んで、番組出演者と再び対談したことをまとめた本です。

今回読んだのは2冊目の本です。

以前の本では、『生きがいについて』(神谷美恵子著)を知れて良かったので、今回も読んでみようと思いました。

今回は3冊の本が紹介されていました。

松尾芭蕉『おくのほそ道』
ダニエル・デフォー『ペストの記憶』
コッローディ『ピノッキオの冒険』

の3冊です。

松尾芭蕉の『おくのほそ道』はとても有名です。

古池や蛙飛び込む水の音

は、誰しも一度は聞いたことがあるのではないか?と思います。

池に蛙が飛び込んで音がする。という解釈ではないことをこの本を読んで知りました。

蛙が水に飛び込んでその音がする。じゃあ、何に飛び込んだらその音がするのか?を想像で考えて、「古池や」をつけたそうです。この本では、「古池に」ではダメな理由について調べたとありました。このことから、「や」がつくのは、別に古池じゃなくてもいいからなのだと解釈しました。

どうやら芭蕉の詩は想像(今は体験できないこと)と現実をリンクさせるような詩を読んだ人なのかも?と少し分かったような気がしました。

『ペストの記憶』では、ペストに関連することを明るい面、暗い面含めてごちゃっと書かれていたそうです。コロナに置き換えても、どうしても悪い面しか大きく伝わりません。疫病でたくさんの人が死んだのに楽しかったことを書くなんて不謹慎だ!と思われるかもしれませんが、良かった面も含めて疫病での記憶なので書き残しておくことが大切と学びました。今回のコロナのいい面で言うと、リモートワークやオンライン授業があるのではないか?と思います。加えて、コロナ初期の頃も言われていましたが、昔の疫病時の人間の心情や行動を知ることはコロナ禍の人間の行動を知ることになるという面も読み取れました。

『ピノッキオの冒険』では、ディズニーのピノキオはみんな知っているけれども、原作は知らないということが強調されていたように感じました。ディズニーによって世間一般には大きく伝わったけれども、脚色されて本来の『ピノッキオの冒険』がどういうものかが薄れつつあると。これを読んで子ども向けのグリム童話やアニメのアニメオリジナル(アニオリ)も似たような位置にあるのかなと。アニオリはアニメが放送されると「原作と話が違うな」と、ネットでコメントが流れたりするという点で、ディズニーやグリム童話と違うなと感じました。私自身も、ピノキオの原作にピノッキオがあることはこの本で初めて知りました。知らない・話題にならないだけで原作があったという作品は山ほどあるんだろうなと思います。


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