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保育士採用市場における課題意識

こんにちは。渡辺やすです。

私は現在、個人で人事や採用をテーマとしてお仕事を頂くことが多いのですが、今回は私がずっと書きたかったテーマについて書こうと思います。

それは、保育業界の採用についてです。保育士の仕事は、子どもたちの未来を育む非常に重要な役割を果たしています。しかし、この業界にはいくつかの課題が存在し、これらに取り組む必要があります。私なりの考えや意見もありますが、一緒に考えていけたら嬉しいです。

保育士の労働市場

保育士の労働市場は、多くの変化が起きています。
少子化で子どもの数が毎年減っているというニュースが良く出ますが、現在保育士の有効求人倍率は全国平均で約2.5倍程度となっています。東京都内など競争率が高い地域に限れば、3倍以上、体感値としては更に高い状況となっています。

参照:こども家庭庁資料より

実は10年前のデータから見ていくと、有効求人倍率が1倍を割っていた時期もありました。(平成24年以前)
これが2010年代中盤以降に、待機児童などの問題が多く注目を集めることになり、保育園の新設などが増えて、施設の増加等に伴い有効求人倍率が上昇していきました。

参照:厚生労働省資料より

同じ時期に保育士資格保有者数をみていくと、年々資格保有者数は増えていますが、従事者数は資格取得者数に追いついていません。保育士資格を持っているが、従事していない人の人数が大きく伸びています。従事しない方にも様々な理由があるかと思いますが、待遇面などから他の職に就く方が多いことも要因の1つかと推測されます。

参照:厚生労働省資料より

ここまでは行政のデータをもとに労働市場・採用環境をみていましたが、この後については私自身の主観や意見を踏まえながら、保育士が集まらない、昔のように採用できない、という場合の課題について考えたいと思います。

保育士採用の課題①採用のあり方の変化

他の業界でも言われることですが、採用市場においては求職者優位の「売り手市場」になっている業界が多いと思います。前述のとおり、保育業界においても有効求人倍率が2倍を超え、間違いなく売り手市場だと思います。

売り手市場の時には、「選ぶ採用」から「選ばれる採用」に変わることを認識する必要があると思います。(個人的には「お互いが選ぶ採用」であるべきだと考えています。)

ですが、実態としてはまだまだ「選ぶ採用」として採用活動を進めている施設様が多いと感じます。実際に10年以上前は、有効求人倍率が1倍を割っていた時期もあり、まだまだ買い手市場だったのは事実です。

昔はハローワークで募集すれば人が来たのに、学校に頼めば人が来たのに、と仰る施設様も多いですが、市場の変化を考慮に入れる必要も出てきているのかなと個人的に感じます。

保育士採用の課題②園の魅力を伝えられていない

先ほどは売り手市場になっていると書きましたが、加えて求人が多くなっている中で園の魅力を伝えきれていない施設様も多いと感じます。

特に保育士の仕事に関しては、待遇面や仕事内容は、例えばオフィスワーカーなどの仕事と比較してもそこまで大きな差はありません。もちろん園の保育方針や特色に応じて変わる部分もありますが、「保育士」としての仕事は共通しています。求職者の立場になっても、仕事内容や待遇面に大きな差がない中でも自分に合った園を見つける必要があるため、求人数が多いとは言え転職活動は大変です。

実際に私が見てきた企業様に関しても、とても素敵で魅力的な内容が多いにも関わらず、それらを情報として出せていない企業も多くいらっしゃいました。中で働いていると気づかないことでも、外から見ると十分魅力として捉えられることも多いので、これらの魅力を整理して、適切に求職者に届けていくことが「お互いが選ぶ採用」にとって大切になると私は考えています。

私自身のモットーとして「いい保育園にいい保育士さんが集まれば、より保育業界(子どもや、子どもを取り巻く大人や社会)が良くなる」と考えていますので、ぜひまだ魅力を伝えきれていない施設の方には自信をもって魅力を伝えていって欲しいです。

最後に

私はキャリアのスタートで保育業界に少し関わってから、その後は別の業界で人事や事業開発でキャリアを築いてきました。別の業界で築いた人事・採用やその他の経験は、何かしらの形で保育業界にも活かしていきたいなと考えています。

実際に支援をさせて頂いた企業のインタビュー記事もあるので、こちらもよろしければご覧ください。

採用や人事・その他のことでも何かお話しできることがあるかもしれませんので、ぜひお気軽に各SNSやフォームからご連絡頂けると嬉しいです。


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