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バイリンガル子育て⑥子供に英語を学ばせる前に知っておくべき真実とは?

結論から言いますと、

子供は機能的な言語しか習得できない

という事実です。

機能的な言語とは?

機能的な言語とは、

自分の生活の中で、”便利な使える道具”として機能している言語のこと

すなわち、子供がその言語を使うと得があり、その言語を使わないと不利益を被ってしまうような言語のことです。

具体例でABA的に解説します。

状況:日本の保育園で、子どもがトイレに行きたくなった時、
行動:先生に「おしっこ!」と言うと、
結果:トイレに連れて行ってもらえた(正の強化)
   おもらしをしなくて済んだ(負の強化)

保育園では、ただムズムズしているだけではいるだけでは気付いてもらえず、おもらししてしまいます(正の弱化)。
したがって「おしっこ」と言う言葉は、この子にとって機能的だと言えます。

第二言語:英語習得の場合

状況:アメリカの保育園で、子どもがトイレに行きたくなった時、
行動:先生に「おしっこ!」と言っても、
結果:先生はトイレに連れて行ってくれなかったので  
   おもらしをしてしまった(正の弱化)

その後、この子は、他の子どもたちが何か言った後に、先生とトイレに行っていることに気が付きます。

状況:再びトイレに行きたくなった時、
行動:他の子の言っている言葉 "I want to pee!”をマネして言ってみると、
結果:先生はトイレに連れて行ってくれました(正の強化)
   おもらしをしなくて済んだ(負の強化)

また今度、アメリカの保育園でトイレに行きたくなった時も
”I want to pee!” と言うようになる。

しかし家では、英語より日本語を使った方が、ママが素早く反応してくれて便利なので、「おしっこ」と言うようになる。

子供が英語を使う理由

子供が英語を使う理由は親の意図とは異なります。
親はどうしても、子供には幼ないうちから英語を学ばせたいと思うものです。なぜならそれは、
子どもの将来のため
「英語ができたほうが子どもの将来のためになる」と知っているからです。

しかし子どもは違います。
子どもは自分の将来のために
「英語を使おう」
とは思いません。

なぜなら機能的ではないからです

その言語を使っても、何にも面白くないし、意味もないのなら、最初は無理やりやらせても、まず続きません。
言語は「継続が命」です。
結局身につきません。

つまらないことを強制的に勉強させ続けると、返って
「英語嫌い」になってしまう恐れもありますので、ご注意を。

最後にこの事実も知っておいて欲しいことです。それは、
「強化がなければ、行動は増えない」
と言うことです。
言い換えれば、
「それをすると楽しい!」
と心から思えることでないと続かない

と言うことです。

ダイエットや夜更かし、お酒、運動や勉強を
「やろう!」
と決めたら、何年も継続できた人はどれだけいるでしょう?

結局、
「それをすると楽しい!」
ってことだけが、続いてしまうものなのです。
だから悪習は直りにくいのです。
だって、それをするとその時は「楽しい!」ですもんね!

人間が「好きでもない、機能的でもないことをやり続けることができる」なら、行動科学は発展しなかったでしょう。
行動分析士は、そのような不都合な行動習慣を改善するプログラムを計画して、サポートする仕事です。

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