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【ABAで考える】バイリンガル子育て②どうしたら第二外国語を身につけることができるの?

公立学校の巡回指導講師をしている時、ALTとよく話していました。
ALTとは、公立学校にいる、ネイティブの英語の先生のことです。
Assistant Language Teacher「外国語指導助手」の略で、ALTと言います。

彼はカリフォルニア出身のアジア系アメリカ人でした。
カリフォルニアに住む中国系アメリカ人と日系アメリカ人の違いの話になったとき、

日系アメリカ人は3世、4世だと日本語を話せない人が多いのに、
中国系アメリカ人は4世でも中国語がペラペラだ

と言うのです。

面白いな、と思いました。確かにその通りです。
中国人は何世代であっても母国語がペラペラの人が多いです。

なんででしょう?
中国人は愛国心が強いから?
中国人は母国の文化を重んじる国民性だから?

【応用行動分析ABAで考える】国民性の違い

確かに、中国人は上記のように「母国を大切にする」気持ちが強いのかもしれません。
しかし、私は行動分析士ですので、ABAの観点から考えてみます。

人の行動は環境によって作られると考えると、
中国人にとっては、
◆アメリカに暮らしても中国語を頻繁に使う環境がある
もしくは、
◆中国語ができた方が本人にとって都合が良い
からと考えます。

一方、日系人の場合は
◆アメリカに暮らしながら日本語を維持できるほど使える環境がない
もしくは、
◆日本語が出来ても本人にとってメリットが少ない
からと考えることができます。

【華僑】海外の中国人ネットワーク vs 海外の日本人ネットワーク

フィリピンとアメリカで10年間生活してきた経験からお話します。

私たち家族は海外旅行が好きで、海外に住んでいた頃は、そこを拠点にいろいろなところに旅行しました。
旅行の後半になると、だんだんと現地の食事に飽きてきます。
そんな時の我が家のお約束。
それは、中華料理屋さんに行くことです。

中国人は人口が多いですから、世界中にかなりの人数が住んでいます。したがって、中華料理店は、ほとんどの国や地域で簡単に見つけることができます。しかも日本人の口にも合うし、ハズレも少なく、おいしい!
外国で日本料理店に行って、一口食べてガッカリするよりは100倍マシです。

海外のこうした中華料理店は、家族で経営しているところが多かったです。厨房では中国語が飛び交っていますが、ウェイターやウェイトレスとして働く娘さんや息子さんはバイリンガルです。
このような家族経営だと、必然的に子供たちは中国語を使う機会が日常的にありますよね。

どこに行っても中国人がいるわけですが、いくら多いとはいえ、異国の地では少数派です。

そんなマイノリティの彼らが、外国で生きていくため、ビジネスで成功するための非常に強いコミュニティを持っています。
それは
「同じ中国人だから一緒にお茶しましょう」
みたいな軽いノリではなく、
人生共同体のような、海外で生活し、ビジネスで成功するために必要なものを全てコミュニティ内で調達できるような、そんな感じです。

だから、彼らはこのコミュニティの一員として生活したほうが断然有利です。このコミュニティによる支援や利益を得るために、中国語は必須と考えることができます。

ですから、このような環境とメリットによって、中国語が世代を超えて引き継がれていくんでしょうね。

海外の日本人コミュニティ

一方、日本人コミュニティといえば、これほど緊密な生活共同体を見たことがないですね。世界の主要な都市にチャイナタウンは見かけますが、ジャパンタウンなんてありません。
せいぜいお茶を一緒に飲む程度の小さな仲間たちです。人数も中国に比べれば圧倒的に少ないですし、駐在員は最終的には日本に帰りますからね。海外で生きていこうとする日本人は中国人よりは圧倒的に少ないです。

だから、海外で生まれ育った永住組の日本人は、「同じ人種だから」という理由で集まるメリットを感じないでしょう。
数年で日本に帰る駐在さんと話しても、価値観を共有し合い、わかりあうことは少ないでしょう。

日本人同士で集まってもメリットがない。人数も少ないので、日本語をしゃべる機会も少ない、となれば、なかなか日本語を世代を超えて維持させるのは難しいでしょうね。

【Functional かどうか】機能的でない言葉は習得できない

ABAではよく「Functional であるかどうか」に注意を払って行動プログラムを作ります。
日本語に訳すと「機能的かどうか」なんですが、これだとちょっとニュアンスが伝わりにくいんですよね。
言葉が機能的であるべき
というのは、
その言葉を使うと言葉が機能するのか、すなわち
「その言葉を使う価値があるのか」
「その言葉が役に立っているか」

と言ったところでしょうか?

何が言いたいかというと、
人は機能的な言葉しか習得しない
ということです。

日本人が日本で英語をずーっと長いこと勉強しても喋れるようにならないのは、学校の教え方が悪い、などと批判する人がいますが、
要は、
学んだ英語が機能的ではないから
なんです。

英語を勉強している子供たちが、学校で学んだばかりの英語を使ってコミュニケーションを取ることで、友達ともっと仲良くなれる、などのメリットがある、もしくは、
部活では英語じゃないとみんなとコミュニケーションが取れない、など
言語を使う必要性がある場合、
言語が機能している
といいます。

でも日本の環境では、学んだ英語を機能的に使う機会が皆無です。
ですから身につかないのです。
これは上にあげた、日系人が日本語を身につけられないのと同じです。
日本語を使っても、メリットがないから
です。

お子さんをバイリンガルにしたいなら

とくに小さいお子さんは、言語を機能的に学ばせないかぎり、習得は難しいと思います。
大人と違い、子供は
「自分が生きていくことに「直接」必要なもの、ことを習得する」
ようになっています。
大人は、テストのため、受験のため、就職のため、昇進のために「英語」を学ぶことができますけどね。
ですから、本気でマスターさせたいなら、
子供が生きるために英語を使う必要がある環境」
を与えてあげる必要があります。








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