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バイリンガル子育て④果てしなく遠い、日本における英語習得への道〜Part 1

巡回指導講師をしていた頃、ある中学校の英語の授業を見学しました。
そこで、何気なく教室の電子黒板に映し出された教科書の文章を見て、
「あれ? 」
と思ったんです。

教科書:  ニューホライズン 1年 Daily Scene 4「電話の会話」

学習目的
「電話で相手を招待したり、誘ったりする対話をすることができる」

「あぁ〜、これは…。実際外国人にこんな話し方をしても、伝わりにくいだろうな。っていうか、英語でこんな話し方する人はいないだろうな…」

日本にいながら、使える英語を身につけるのは非常に難しいことだと改めて痛感しました。

その教科書の内容とは、次のようなものです。
何がおかしいのか、気が付きますか?

【中学英語の教科書】まちがいさがし

Erika: Hello?

Yunho:  Erika? This is Yun-ho.

Erika: Oh! Hi, Yun-ho.

Yunho:  Are you free on Saturday?  It's my birthday.


Erika: Yes, I'm free.

Yunho: My party starts at three.

Erika: Great. See you then. Goodbye.

Yunho: Bye.

教科書:  ニューホライズン 1年 Daily Scene 4「電話の会話」

エリカ:  「はい、もしもし?」
ユンホ: 「エリカ? ユンホだよ」
エリカ:  「あ、こんにちは、ユンホ」
ユンホ: 「土曜日、空いてる?ぼくの誕生日なんだ」
エリカ: 「うん、暇だよ」
ユンホ:「ぼくのパーティーは3時からだよ」
エリカ: 「よかった。じゃあ、またね。バイバイ」
ユンホ: 「バイバイ」

こたえあわせ

この単元の学習目的は、
「電話で相手を招待したり、誘ったりする対話をすることができる」
なのに、
「招待もしていなければ、誘ってもいないこと」
です。

ユンホはエリカに「土曜日ヒマ?」ときいただけですし、
「その日はボクの誕生日なんだ」という事実を言っただけです。

それに対しエリカは「ヒマだよ」と言っただけです。

学習目的を達成するためには?

本来なら
「誕生日会を開くから、あなたに来て欲しい。」
「来てくれますか?」
と、英語での誘い方を教えなければなりません。

エリカはパーティに誘われていません。
「パーティに行きます」
とも言っていません。でもなぜか、
誕生日パーティに参加することになっているのです。

日本語は文脈依存の言語

ですから、いくら英語の単語や文法を完璧に覚えたとしても、日本語で話すように英語に直訳しても、ナンセンスになってしまうことがあるのです。

日本語は「文脈依存」の言語です。
要は会話の時は「空気読め」ということです。

ですから日本語ではあまりダイレクトに言わずに、ほのめかすように話します。
私もアメリカに住んでいる時、似たような失敗をしたことがあります。

英語を話す時は、英語の文化に合わせる

スーパーで買い物をしていた時です。レジで
「Do you need a bag? (レジ袋は必要ですか?)」
ときかれたので、
「I have a bag.(バック持ってるんで)」
と答えました。
すると
「Yes or No?」
ときかれてしまいました。

あー、私は日本語のような会話の仕方をしてしまったのでした。
私はちょっと笑って
「No, Thanks !」
と言いました。

もちろん、英語話者みんなが、文脈を読み取れないワケではないですが、日本人のようには察してくれませんので、こちらも英語を話す時はもっと具体的に話す必要があるんですね。

早くその辺のニュアンスまで上手く訳してくれるAIが使えるようになるといいですね!


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