【切り替え2】切り替え活動で子供が育つ
子供にとって、楽しい遊びをやめて、別の活動を始めるように言われるのは辛いものです。特に、大好きな活動から、嫌いな活動に移るように言われた場合は特にそうです!
子供に「また今度遊ぼうね」と安心させても、通常はあまり役に立ちません。子供達にとって、午前中ずっと遊んでいたおもちゃや場所を離れることは、大好きなあなたと離れるのと同じくらい涙を誘うことなのです。
では、どうすれば子ども(そしてあなた自身も)にとって移行がスムーズになるでしょうか?
そのための「切り替え活動」を作りましょう。これらの戦略は、どんなに頑固な幼児でも気持ちのギアを切り替えるのに役立ちます。
親や先生にとって、切り替え活動が重要な理由
切り替え活動とは、親や先生が活動の切り替え時に使用し、子供を落ち着かせ、気持ちのギアチェンジをするテクニックのことです。
子供はまだ、イライラやがっかりなどのネガティブな気持ちを、自分で対処するスキルを身につけていません。自分の感情をコントロールし、行動を管理することをまだ学んでいる最中なのです。
切り替え時にゴネる2つの理由
活動の切り替え時に起こる泣き言、交渉、先延ばし、あるいは本格的なかんしゃくは、主に2つの理由から起こります。
1. ネガティブな感情に飲まれてしまっているから
子どもたちが日常生活をコントロールできないと感じ、感情に圧倒されるために起こります。
2. 大人が無意識で間違った対応をしてしまったから
このような厄介な行動をとることで、親や先生が根負けしてしまうと、移行を遅らせたり中断させるために、この厄介な行動は有効であることを、子供はすぐに学んでしまいます(強化される)。
無意識で問題行動を強めてしまわないように、切り替え戦略を持っておく
ですから、親や先生方が、無意識的に子供の厄介な行動を強化してしまわないように、そのようなうっかりミスを避けるためにも、事前に「切り替え戦略」をいくつかレパートリーを持っておくことをおすすめします。
一貫したしつけ:園と家庭の両方で同じ躾をする
そして園で使ってうまくいったら、保護者とも共有して、園と家庭の両方で使えるようにしましょう。親や先生だけでなく、子供たちも「しっかりとした慣れ親しんだ切り替え戦略」を持つことで、問題行動を最小限に抑え、園でも家庭でも、一貫して子どもの発達をサポートすることができます。
切り替え活動で子供が育つ
切り替え活動の目的は、子供達が、自立して一日を過ごせるよう、きちんとしたルーティンを確立することです。そうすることで、情緒を安定させながら、流動的な移行ができるようになります。また待ち時間が短くなり、より有意義な活動に時間を割くことができます。
そのほかにも「切り替え活動」が子供たちを育てるメリットはたくさんありますが、以下に3つ紹介します。
①身辺自立
「切り替え活動」を取り入れることにより、子どもたちは、今、何を期待されているか、今、何をするべきかを知ることができます。それによって、毎日のスケジュールに積極的に参加することを助け、身辺自立、自己調節を促します。
②時間の感覚(過去、現在、未来など)の理解
効果的な切り替え活動は、子どもにとって必要です。なぜなら、子どもは、時間の感覚や概念の理解が未熟なため、1つの活動から別の活動への移行がうまくできないことがあるのです。子供達に時間の感覚(過去、現在、未来など)の理解を促し、日々の活動を管理する上で、明確な指導が必要なのです。
子どもたちが一日の活動に積極的に参加でき、構造的な感覚を身につけることができるように、切り替え活動や合図で一日を区切ってあげることが大切です。
③自制心・達成感
好きなことから離れても自制心を保てるように、子どもたちに力を与えることができます。大人の命令で動いたのではなく、自主的に行動しているという自信と達成感を育みます。
切り替え活動を成功させるコツ
子どもたちの切り替え&移行を成功させる大きな鍵のひとつは、一貫したスケジュールと活動の手順を作ることです。ほとんどの保育園、幼稚園では、すでに決まったスケジュールに従っています。
視覚的なスケジュール
スケジュールに絵や記号を入れましょう。次に何が起こるかを指し示すことができれば効果的です。
「活動の手順」を作り、練習させる
コロナ禍で「正しい手の洗い方」を順を追ってわかりやすく絵や写真で説明したポスターをよく見かけるようになりました。このようなポスターを使って、正しい手洗いの方法を教えると、子供たちにも理解しやすく、保護者や先生も比較的簡単に教えることができますよね。
このやり方と同じように、他の活動の手順を作成することをお勧めします。日常的に行われる活動、特にプロセスが比較的多めで時間がかかる日課の手順を作っておくと便利です。
子供への指示は「合言葉」
例えば、外遊びに行くときの準備の手順などを「まず最初にOOして、次に〜」などのわかりやすい言葉を使って、子供にも覚えやすく、口ずさみやすい言葉にして、準備の際の「先生と子供たちとの合言葉」のように使うこともできます。
このような手順が定着すると、親/先生は、合言葉をいうだけで、子供たちが自主的に動いてくれるようになるはずです。これによって子どもたちは、感情調節、積極的な行動、身辺自立が育ちます。一石二鳥ですね!
子供を学ばせるには、言って聞かせるだけの指導では不十分!感情を揺さぶる体験が、最も効果的な学びをもたらす!
以下に手順を作っておくと良いかもしれない活動の例を挙げておきます。
例えば、全員整列してから散歩に出かける時や、ランチの準備の時間など、比較的長い活動の切り替えや、好きなこと(遊び)から嫌いなこと(遊びをやめてお片付け)に移行する時などは、歌やゲームなどの活動を取り入れましょう。切り替えの合図を使ったり、楽しいアクティビティを活用することによって、気持ちを切り替えることは、健康的で安全、かつ前向きなクラス環境を作るために欠かせません。
スムーズな切り替えのための戦略
予測可能であることがスムーズな切り替えの鍵であり、適切な戦略を用いることで、子どもたちが次の段階に進む準備を十分に整えることができます。
子どもたちがうまく移行できるようにするための戦略をいくつかご紹介します。
感覚を刺激する方法
同じ時間、同じ場所、予測可能性と一貫性
切り替えが最もうまくいくのは、子どもが日課を理解しているときです。毎日の日課を同じにし、その日に予想される変化を朝の会で子どもたちに伝えることが大切です。
子どもたちの生物学的欲求を満たす活動を入れる
食事、休息、体を動かすという子どもたちの欲求を適時に満たしてあげることが、子どもたちの情緒をコントロールすることにつながります。
例えば、長時間座っているイベントの後は、体を動かす活動を切り替え活動として入れてあげましょう。
準備の遅れている人たちを長時間待っている子供達のために、楽しいゲームをしたりして、暇な時間を過ごさせないようにしましょう。「早く準備をすれば、楽しい遊びに参加できる」というご褒美がないと、早く準備をするインセンティブがなくなってしまうからです。
他の子どもよりも手助けが必要な子どものために準備しておきましょう
乗り換えが苦手な子どももいます。苦戦を続ける子どもには、子どもの気持ちを認めてあげましょう。
子どもの注意を、これから始まる楽しい活動に向けさせましょう。「悲しいんだね。車で遊ぶのが大好きなのね!ずっと遊んでいたいけど、お片付けをしたら、美味しいご飯、食べようね。今日のお昼は何かな?」
選択肢を与えます。例:「車は引き出しにしまうか、このカゴに入れるかどっちにする?」
成功を褒める
子どもたちが適切に移行しているのを観察したら、具体的なフィードバックで肯定的な行動を認めてあげましょう。適切な切り替えができた子どもを褒めることで、すべての子どもが期待されていることを理解しやすくなります
例:「ゆうかちゃんと陸くんは、おもちゃを片付けてもう席に着いているんだね!」
次回は切り替え活動のアイディアをもっと具体的にご紹介します。
References
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