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幼児のかんしゃくを抑える選択肢の力:Part 3

子育ては素晴らしい挑戦ですが、難しいこともたくさんあります。中でも、幼児のかんしゃくは保護者を圧倒し、イライラさせるものです。前回のブログでは、こうした感情の爆発に対処するための手法として、子供の気持ちを受け入れて代弁する方法とその大切さについてお話しました。かんしゃくを抑えることだけにフォーカスした大人都合の戦略でなく、子供の自信を育み、保護者との関係を深める素晴らしい育児法です。
今回は「子供に選ばせる」方法に焦点を当てます。このアプローチも、子どもの情緒、認知、思考の発達を促す育児法です。子供に力を与えることによって、イライラが減少し、かんしゃくを減らすことにつながります。


選択肢が重要な理由

1. 幼児の自律欲求を満たす

幼児は自立と自律を主張したい年頃です。どんなに些細な選択であっても、自分の意思で世の中を動かし、自分の意思で物事を決めたいのです。イライラしたりかんしゃくを起こしたりするのは、自分のコントロールできる範囲が限られていると感じている時です。子供に選択肢を与えることは、自律の欲求を満たすだけでなく、かんしゃくを起こす可能性を減らすことにもなります。自分でコントロールできるという新たな感覚は、子供の無力感を和らげる影響もあります。

2. イライラの軽減

かんしゃくは、無力感から起こることがよくあります。子供が自分の欲求を追求するのを邪魔された時、思い通りにならない時に起こります。
選択肢を与えることは、自分の意見が尊重されること、自分が大切にされていることを子供に伝えます。自己効力感を育み、「自分でコントロールできる!」という信念を強化します。この新たな自信は、「自分は出来るんだ!」という自信や自己肯定感につながります。

3. コミュニケーションの促進

選択肢を与えることは、子供とのコミュニケーションを促されます。選択肢の中から好みを表現し、決断することは、問題解決や交渉を促します。そうすることで、子供たちは自分のニーズや欲求を明確に表現する貴重な練習ができます。語彙が増え、意味のある会話に積極的に参加できるようになります。このような幼少期の関わりは、子供が成長し発達していく過程で、健全なコミュニケーションパターンと良好な人間関係を築くための土台となります。子供の意見を尊重することで、開かれた話し合いの道が開かれ、親子の関係も深まります。

4. 意思決定スキルの発達

簡単な選択であっても、子どもに選択させることは、子どもの意思決定能力の発達に役立ちます。成長するにつれて、こうした能力はより高度なものになっていきます。やがて自立心が芽生え、より大きな選択をする自信が持てるようになり、人生のさまざまな場面でその力を発揮するようになります。

選択肢を提供する方法


幼児に効果的に選択肢を与えるためのヒントをいくつかご紹介します:

1. 「はい/いいえ」の質問

子供の年齢と理解力に合った選択肢を提示しましょう。
発話が出始めたばかりの乳幼児には、「はい/いいえ」の質問から始めます(例:麦茶飲む?もっと飲む?)。また、うなずく/首をふるなどのジェスチャーも練習してみましょう。

注意:子供の決定には100%従うこと

例えば「麦茶飲む?」と聞いたら、『いらない』のジェスチャーをしたり、「いやー」といった場合、必ず即座にお茶を引き下げましょう。
保護者としては、子供が脱水症状を起こさないように飲んでほしいため、「でもちょっとは飲もうね」などと強いてしまいたくなります。
しかしここで子供の意見に従わないということは、子供に「言葉やジェスチャーによるコミュニケーションは効力がない」と感じさせてしまいます。そして確実に嫌なものを排除できるように、かんしゃくを起こして、激しく抵抗するようになります。

どうしても飲ませたい場合は、また1分後くらいに「麦茶飲む?」と聞いてみましょう。それでも否定したら、すぐ取り下げて、また後ほどたずねてみてください。

2. 「どっちがいい?」

はい/いいえ質問に慣れてきたら、選択肢を提示して選ばせましょう。 選択肢が多すぎると、圧倒されてしまいますので最初は2つにとどめておきましょう。

注意:選択肢の工夫

前述した通り、こちらでも常に子供の決定に従います。例え、あなたは青いシャツを着せたかったのに赤いシャツを選んだとしたら、子供の選択を尊重しましょう。

例えば、子供の健康のために、バナナを食べてほしいのであれば、
「バナナをフォークで食べたい?それとも手で持って食べたい?」など、どちらを選んでもバナナを食べる結果となるような選択肢を提示しましょう。

いずれにせよ、子供が選択したものを100%尊重することが重要です。そうすることで、子どもは、嫌いなものを避けるためにかんしゃくを起こすより言葉で訴える方が簡単だと理解するのです。「自分が選んだ通りの結果を得られる」のが子供はとても嬉しいので、言葉を使うのが楽しくなり、コミュニケーション能力も向上します。

応用:切り替えに使ってみよう

幼児は、ある活動から別の活動への切り替えに苦労することがよくあります。楽しいゲームから離れるときも、公園から出るときも、テレビを消してお風呂に入るときも、選択肢を提示することでそのプロセスを楽にすることができます。

遊びをやめておもちゃを片付ける時: 「ママとお片付け競争しよう!どっちのカゴを使う?」

公園を出るとき: 「じゃあ、あとブランコを3回こいだら帰る?、それとも5回こいだら帰る?」

テレビからお風呂への切り替え:「今、お風呂行く?それとも次のコマーシャルになったらお風呂行く?」 「今日は、お風呂にどっちのおもちゃを持っていきたい?」

「子供に選ばせる」大きなメリット

結論として、「子供に選ばせる」アプローチは、癇癪を減らすメリットだけでなく、子供の自立心を育み、フラストレーションを軽減し、コミュニケーションを強化し、重要な意思決定スキルを発達させるための強力なツールです。子供の選択を尊重し、幼少期から意思決定に参加させることで、より幸せで自信に満ちた子供を作るだけでなく、健全なコミュニケーション・パターンと強い人間関係の基礎を築くことができます。この育児テクニックを取り入れることで、保護者にとっても子供にとっても困難な子育ての道のりを、よりやりがいのある調和のとれた体験に変えることができます。

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