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オリジナル取扱説明書を作成しよう

理解していても、言葉にできないと伝わらない


具合が悪い時にボーッと病院に行って、診察時にお医者さんから「今日はどうされましたか?」と聞かれ、それから初めて「あれ?どうしたんだっけな?」と考えてしまった経験はありませんか?

その場で体調が崩れ始めた時期を思い出し、熱や喉の痛み、鼻水などの症状について一生懸命説明するも、診察が終わった後から「ああ、そういえば一番困っていたのは、これから人と会うときに咳が止まらないことだった」と、肝心なことを思い出して後悔した経験がある人は意外といるんじゃないのかなーと思います。


これ、日常生活で発達障害の具体的な困りごとを聞かれたときのシチュエーションに類似していませんか?

発達障害の症状は、そういう風邪の症状より更に複雑化していますよね。また、聞かれたときにパッと答えられずに、後から適切な返しが浮かぶというのは、障害特性あるあるだと思います(処理速度がゆっくりめだったり、頭の中が靄がかっている感覚が強い方はとくに)。


特性の具体的な説明としても、不注意や衝動性といった症状そのもの(忘れ物が多い・順序立てて物事を行えないなど)を説明してしまいがちですが、その特性によってどういうこと困っていて、どう対応して欲しいのかということが分からない、あるいは伝えられない状態である人も多いかと思います。


人に納得してもらえる形で説明できる状態にしておく


発達障害の診断を受けることは、自分の取り扱い説明書を見つけたようだという表現をする当事者の方がよくいます。

コッピ―も全く同じ心情でした。

診断がついたあと、しばらくADHDをキーワードに情報収集しましたし、発達障害やADHDのことを知れば知るほど「あの時のあの行動は、こういうことだったのか」と腑に落ちていく感覚が心地よかったです。


しかし、ADHDの特性を"知った"だけでは生活は良くなりません。


診断がついた感動から「わたしADHDだったの!!」とすぐに伝えたくなるかもしれませんが、現時点での世の中の大半の人は「ADHD?別に多動じゃなくない?」「家片付けられないの?わたしもだよ?」くらいの認識です。

職業柄、子どもの発達障害について知っている方でさえ、大人の発達障害についてはほとんど知らなかったりします。


もし発達障害orグレーであると人に説明して「何に困っているの?」と聞かれても、いざ言われるとパッと出てこないと思います。

そこで、すぐに頭の中に浮かんできそうな情報を取り出すことが多いかなと思います。

そして「う~ん、ミスが多かったり、忘れ物が多かったり、そうそう、人の話が聞いてられなかったりとか」と伝えると

「わたしもよくあるよ」と言われ、それとはちょっと違うと思うんだけどなぁとモヤモヤしつつ何も言えず、

相手によっては「障害を言い訳にするのは良くないよ」なんて言われちゃったりしますよね。

さらにそれから、傷付く言葉を返されたときにぶわーっと感情が高まって、その感情を抑えようとすることでいっぱいいっぱいになってしまい、それ以上言葉が返せなくなっちゃうなんてことも。


勉強でもそうですが、「理解した」という状態は「自分で説明できるようになること」までを含むと言います。

つまり、マーク式で選択肢から選べるようになるだけでなく、筆記試験で書ける状態にしておかなければ、せっかく収集した知識も活きてこないのです。

ADHD特性の適切な伝え方についても後日書きたいと思いますが、その前段階として、伝えるものを吟味するための手札を揃える必要があるのです。


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