見出し画像

心地よい街 米沢散歩

地方の街で、宿を決める時に少し困る時がある。
駅近のホテルに泊まると、街が遠く
街中にあるホテルに泊まると、駅が遠くなってしまうのだ。
とは言え、大体がレンタカーを借りるのでその問題は解決できてしまうこともあるのだが・・・


駅の周りは静かな街

画像1

「この街もそうか」
ホテル探していて地図を見ている時にそう感じた。
米沢駅は、「羽黒川」と「最上川」に挟まれた土地に立地する。
そして、繁華街というか、栄えている”街”部は駅から離れた「最上川」を渡った先に存在する。
それとは反対に、「羽黒川」を渡った先にあるのは北日本に横たわる奥羽山脈だ。

ホテルに長期滞在する時には街に近い方が何かとありがたいものではある。
だが、今回はとある事情で駅前のホテルに滞在することになった。
おかげで同僚と食事に行く際は度々難儀したものだ。

しかし、悪いことばかりではない。

画像2

ホテルからは駅を見渡し、遠く広がる平地と奥に連なる山々が盆地であることを教えてくれる。
さらに、この部屋では夕陽を背に景色をとらえることになるのだが、空は遠慮がちなオレンジに染まり、視界の中で唯一煌めきだす駅舎を眺めることが出来る。
暗闇が支配していく空と山々、利用者を迎えるために照らされる駅舎とのコントラストが心地よい

かつては蒸気機関車も走った鉄路

画像3

駅と街が離れているのは、いろいろと理由はあるのだろうが、考えてみるとここは米沢城の城下町
鉄道が後から通ったもので、当時は電車ではなく蒸気機関車
米沢駅は大きな駅であったため、転車台なども備えられ大きな敷地を必要としたこと
蒸気機関車ゆえに、煙も出ることから街を離したかった
などなど、今とは違う事情によりこのような街の作りになったのではないだろうか
街を歩きながら、そんな街の成り立ちを”勝手に”考えてみるのも面白い


城下の風景を辿る

さて、いつまでも駅周辺を思い出していると、一向に街にたどり着けなさそうなので、ここで一気に最上川を渡って、”街”らしいあたりに場面を切り替える。

画像4

ところが、街の写真を一枚も撮っていなかった。
訪れた当時の写真を漁っていて、出てきたのはこの一枚。
ちょっと街の外れ、上杉神社に近いあたりだろうか。

少し繁華街と呼べるような場所からは離れているが、それでもどこも道幅があり、歩道も広いので、散歩するには心地よい街である。

画像5

そこかしこに、上杉家の時代の遺構が残り、観光案内がその説明をしてくれる。
だから気軽に米沢の歴史に触れることが出来る。
そしてその史跡と街の生活の場が隣り合っており、すぐ脇を犬の散歩していたり、買い物帰りの主婦が自転車で通り過ぎたりする。
何気ない風景の中に、歴史が溶け込んでいるのだ。


地元の人の憩いの場 上杉神社

画像8

プラプラとお散歩を楽しんで、ついに一番の見所である上杉神社に到着した。
上杉神社は、松が岬公園内にあってもともとは米沢城の御殿があった位置に鎮座する。公園内には松岬神社もあり、のどかな雰囲気と神聖な雰囲気がおだやかに共存する。
訪れた時期がちょうど秋頃だったため、園内は綺麗な紅葉の真っ只中。

画像9

青く澄んだ秋空に、紅葉のオレンジ色が鮮やかなコントラストで目を楽しませてくれる。

画像10

道端に置かれた人力車も旅情を高めてくれる。
もちろん人力車は人を乗せて観光するのが本来の目的ではあるのだが、こういったものが、しかもちょっと斜めに雰囲気を出して置いてあるだけでも、旅人の目を楽しませることは出来るということなんだなぁと、主人のいない人力車を眺めながら思った。

松岬神社は、上杉鷹山を祀った神社である。
上杉鷹山と言えば、ケネディ大統領が尊敬する日本人として名前を挙げたと言う話のある江戸時代屈指の名君だ。

画像11

「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬ成けり」
なんて、聞いたことのある名言を残した人としても聞いたことがある。

松岬神社を横目に進んでいくと、お堀を橋で渡ることになる。
いよいよ上杉神社だ。

画像12

城跡でありながら、現在は神社ということでお城の雰囲気を持ちながらも奥に鳥居が見えているのが実に面白い。
夜にも訪れてみたが、これまた怪しげでありながらも厳かな空気を纏った暗闇が秋の夜長の愉しみを増してくれる。

画像12

裏話として、この夜は平日。
誰もいない(と思っていた)境内をプラプラと写真を撮りながら歩いていたら、明かりのない東屋から人の気配・・・
地元の学生の逢瀬の場にもなっていたようだ。失礼、お邪魔しました。

画像13

鳥居をくぐってお参り

画像15


神社は大きな社殿があったりとはいかないが、上杉謙信公を祀った近年で言うところの”パワースポット”とだけあって、凛とした空気で満ちていた。


米沢に来たら、食べておきたい「米沢牛」

米沢のグルメと言えば
真っ先に思い浮かぶのはやはり「米沢牛」であろう。

日本の三大銘柄牛の一つ、とも言われる(諸説あるらしい)地元のブランド牛

米沢駅で新幹線を降りた時から、至る所にその宣伝看板が掲げられている。
お肉料理を扱うお店もやはり多いと感じる。
いかんせん、貧乏仕事出張の身
ブランド牛だけあって、かなりのお値段がするわけだがやはりせっかくなので、
上杉神社の近くのお店で食べておいた。

写真 2015-11-05 12 54 13

美味しい、確かに美味しい
口に入れると脂が広がる。すごく広がる・・・
これが美味しいのだろう。
なんだか、とても米沢を感じた。

満足したところでホテルへ引き返す。
散歩するのが心地よい
つかの間の、のんびりと歩いたホッとする休日であった。


ちなみに一度だけ駅前ではなくお店が周りにある繁華街のホテルに止まってみたが、なかなかレトロな雰囲気。
そんな体験もできるのが、米沢の魅力なのかもしれない。

写真 2015-10-27 18 07 48


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?