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東京の橋を巡る

東京は橋が多いなぁ

東京に移り住んでから10年が経った今思うのがこのことだと思う。

橋が多い街は日本全国たくさんある。
大阪だってそうだ。大きな歴史ある橋がたくさん街に溢れている。
ただ、歴史的な流れで考えてみると、大阪の橋は民間の橋
東京の橋は官製の橋、という違いがあると聞いたことがある。

ただ一言に「橋」と言っても、いろんな形が存在する。
単純に川を渡るだけなら、所謂普通の鈑桁で良いだろう。
ところが、川を船が走る、川幅が広い、お金がない、様々な要因が絡み合うことで「橋」は目を楽しませてくれる形となって姿を現す。

朝晩の冷え込みが秋を感じる10月の終わりに、そんな東京の橋を自転車で少しだけ巡ってみることにした。

出発は夜明け前

都内を自転車で走るとなると、ちょっと交通量が多いのが気になってくる。
そこで、人も車も少ない休日朝に走ることにした。

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本当はまだ暗いうちに走り始めるつもりだったのだが、少し寝坊してしまった。
隅田川沿いを走る頃には日の出時間を迎えた。

隅田川には魅力的な橋が本当にいくつも架かっている。
が、いきなりここに飛びつくと時間がかかるので今回は先ず目的の1橋を設定、そこに向かって走っていく。

朝の浅草は人もまばら

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時刻は6時半
だいぶ遅い時間になってきたものの、まだ人はまばらな浅草。
当然車も少ないので自転車でのんびり走るにはとても良い
夜中も同じく人が少ないのだが、自転車で走ると考えるとやはり早朝が良い

蘇る明治の石橋

東京には橋が多いとは言ったものの、そのほとんどは鋼橋。もしくはPC橋。

そんな中でも、つい最近補修工事が終わったのが東京駅のすぐ近くに佇む「常盤橋」は貴重な明治時代の石造アーチ橋として令和の時代に時を繋いでいる。

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2011年の東日本大震災によって、輪石に歪みが生じて落橋の危険があった常盤橋。
震災後から始まった長い長い補修工事は、支保工で石を支え、一度全ての石を解体し、現在の石工たちの技術を結集し、さらに現代の力を掛け合わせて10年近い工期を終えて完成したそう。
付近の整備がまだ終わっていないため、渡ったり近くことはできないが、現代の常盤橋からその姿を拝むことが出来る。
明治初期に新政府によって都内に13橋の石造アーチ橋が架けられた。
その中で唯一現存するのが、東京最古の文明開化期の石橋であるこの「常盤橋」なのだ。

ついでなので東京駅も拝む

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さて、時刻は7時をまわり人でが増えてきたのでもう少しだけ橋を巡る。

関東大震災後に移設されたトラス橋

続いて訪れたのは中央区の亀島川のほとんど河口
水門の手前に架けられているのが「南高橋」と呼ばれる鋼プラットトラス橋

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洒落た装飾がされているこの橋。
古い絵葉書などにもよく登場する橋なのだ。
この橋の正体は、旧両国橋。

明治37年頃に恐らく3代目両国橋として隅田川に架けられたこの橋桁。
もとは3連のプラットトラスだったそう。

関東大震災によって側径間が落橋
生き残った中央径間がこの亀島川に移設された「南高橋」である。

そう思ってみると、少し入り組んだ場所なのに随分と立派な橋が架かっている印象を受ける。

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今でも陽の光に照らされて光っているのは、とても大事にされている証だろう。


全国でも少ない珍しい形状の橋

続いては永代橋を渡る。

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目当てはこの橋ではない。
もちろん永代橋自体もかなり立派な橋だ。

大正時代に架けられたタイドアーチ橋は、橋脚と橋脚の間の距離である支間長が国内で初めて100mを超えた記念すべき橋でもある。

今回のお目当ては、この永代橋の脇にひっそりと架かっているクリーム色の橋。
永代橋からみるとビルと一緒に見事に景色に溶け込んでいる。

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トラスとも違う、あまり見ない形状のこの橋。
似たところだと、浜松町の駅、山手線や東海道新幹線の上にかかるちょっと錆びた色の橋が同じ形状の橋となる。

はしごのようなこの形状は、フィーレンデールという形式の橋。
分類上はトラスの一種とされるが、剛結となっていることからラーメン橋のような考え方も出来る。
日本ではあまり用いられない形式で、この「豊海橋」が日本で初めて架けられたフィーレンデール橋なのだ。

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こちらも最近補修工事が行われてピカピカになっていた。
補修される前と比べてみると・・・

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どうやら照明関係が近代化されたよう。
一番手前のライトも撤去されており、スッキリした印象になっている。

さて、そろそろタイムリミット

帰りは清澄のコーヒーショップで一休みしてから北風で向かい風の荒川を北上して帰宅。

たまにはこんな、東京の歴史と簡単に触れることの出来る「橋」を巡ってみると、首都東京の昔の姿に思いを馳せることが出来る。
そんな、東京の橋巡りをしてみてはいかがでしょうか?

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