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和合亮一さんの「詩の礫」から派生した 礫を起点に波紋のよう奇想は巡る
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#福島

振動と点滅

振動と点滅

東北本線福島発郡山行の車内は混んでいた
地震の余波で動かない新幹線
座席は
人一人分のディスタンスを
保ってぽつりぽつりと空いている
座れなくはないが
座ると窮屈
そんなパブリックな隙間から
点滅を察知
女子大生役の左耳のBluetoothが5秒間隔
で光っている
管制塔は左耳
コントロールしている
コントロールされている
車内の振動は
小刻みに小気味よく
揺れる場所で
不安定ながら
安全性が担保

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水中で呼吸する鯉

水中で呼吸する鯉

思考として定まらない感情は 
ポコポコと浮かんでは弾けて消えています
記憶にも

記録にも

残らない
あぶくは
すでに
そこに
無きにしもあらず

過去は否定できない
現在を肯定できない
コインロッカーに情感を詰め込んで

300円
ロックスルー

忘れたふりした情感を

鍵を取り出し観察して

ポケットに突っ込んで

居心地の悪いふとももの異物は