営業マンがこっそりオススメする「買い手が上手に営業を受ける方法」
自分はかれこれ20年営業をしています。一方で、年を重ねるうちに逆に、さまざまな会社、さまざまなサービスの営業を受ける側に回ることも多くなりました。
営業を受ける側になって見ると、この人は、もったいない営業する人だなーと同業ならではの気づきが少なくありません。また同業ならではの「営業とどうやって話せば、良い情報や好条件を引き出せる」というのが見えたりもします。
一方で今まで営業してきた飲食店や保育園、幼稚園では営業受け慣れしてないなと思うお客様とお会いすることも少なくありません。よく考えてみれば、営業をどう上手にうけるかと考えてみる機会は少ないと思います。
そこで、今回は営業マン視点から見た、オススメの営業の受け方をこっそりお伝えします。
前提)営業力=サービス力ではない
まず、はじめにお伝えしたいのは、そもそも営業力とサービス力はイコールでないということです。
どうせなら「イケてる営業」から買いたいというのは、心情としてはわかりますが、
必ずしも「イケてる営業」が取り扱うのが「イケてるサービス」とは限らないですし(その傾向はありますが‥)、
「イケてない営業」が扱うサービスが必ずしも「イケてないサービス」とは限らないです。(これは本当にそうです)
残念な営業から提案されたがゆえに見送ったなんてことは決して少なく無いと思います。特に一度買ったらその営業が担当になる場合、確かにそこもその会社のサービスの一部と言えるかもしれません。
しかし「どんな営業か」は判断材料の一つにはなれど、単に嫌なら変えてもらえればいいので、本来は判断の決定打にはなりません。
むしろいい営業、悪い営業という考えを横に置いて、客観的・冷静にその会社が提供するサービスが自社に合うかどうかで選ぶ方がいいです。
私が営業としてご提案するとき、たまに営業を試すかのように「さあ営業くん、正確にヒヤリングして来たまえ」的に勿体ぶって、あまり情報を教えてくれないお客様もいたりしますが、以下の理由でもしかしたら、損してる可能性があるかもしれません。
※4/18 追記
業種業態にもよりますが最近は営業とアフターフォローの業務分担が進んでいて営業担当個人ではなく、会社としてフォローが入るところが増えてきました。(顧客としては歓迎すべき傾向)
また、優秀なセールスパーソンの希少価値が上がり流動性が高まったことで、優秀な人ほど転職してしまい「あれうちの担当いなくなっちゃったの?」ということになることも、増えているのではないかと思います。
そういった観点からも、営業担当を決め手とするのでなく、会社トータルでのサービス力を決め手にする方がおすすめです。
営業はヒヤリング大事だけど、ヒヤリングが上手な営業は少ない
その商品またはサービスを買うべきか、否か。それは自分のニーズにマッチするかどうかが最重要ですよね。マッチする提案をするにはどんなことを求めているかを正確に把握することが大切です。
にも関わらず、先述したように、不思議なことに、営業した際に自分から情報を積極的に伝えてくれるお客様は意外に少ないです。これはマッチした提案には重要な「正確に状況を把握してもらうこと」を相手の営業個人のスキルあるなしに委ねてしまうことを意味します。
すると営業はどうするかというと、事前にお客様の背景や課題の仮説を立てておき、いざ商談では、それの事実検証するべくヒヤリングすることからはじめます。
しかし、情報を正しくヒヤリングする技術というのは実はカンタンそうで難しく、どんなシチュエーションでも完璧にヒヤリングできる営業というのは自分も含め、そうなかなかいません。
正しくヒヤリングされないと、二重の意味でもったいない状況になります。
まず課題の仮説が合ってるかどうかのすり合わせの時間がかかること、また2つ目には、ヒヤリング力がない営業だとすると、こちらのニーズを誤って把握して提案してくるリスクがあるからです。
相手のヒヤリング力に委ねるデメリット
①本題前の前提のすり合わせに時間がかかる
②ピントずれた提案で正しく判断できないリスク
買い手として最高の選択をするには、最適な提案を受け、その上で判断する必要があります。営業のヒヤリング力に左右されたり、ヒヤリング時間によって最適な提案へのすり合わせ時間を削られるのは、その判断にとっては障害になるのです。
上手な営業の受け方
ではどうするか。私のやり方は、「商談のなるべく早いタイミング(できれば冒頭)で、自分のやりたいこととその背景や課題を洗いざらい話す」ということをしてしまいます。
そうすれば、ヒヤリング時間だけでなく、的外れな提案受けることや、自分にとって要らない情報を聞かされる時間が削減でき、
その会社ができる「自分のニーズに最善な提案」が何か?のすり合わせに集中して時間をかけることができます。営業する側もマト絞ってシャープに提案でき、とても提案しやすいはずです。
また、このとき大切なポイントとしては、営業に対し、単に「やりたいことだけを伝えるだけではダメ」だということです。
やりたいことの裏にある課題や背景まできちんと伝えないと、営業が真の課題を汲み取れず、ズレたトンチンカンか提案をしてしまうことが多いからです。
比較して判断するときに「強みはなんですか?」と聞かない
「やりたいこと」「背景」「課題」まで共有して、ガッツリと提案ポテンシャルを引き出すという前提で、今度はそれと同じような形で数社の提案を合わせて聞くのがおススメです。
これは買い手として正しく判断するための「物差し」を得るためです。
自分が営業しているときに、比較検討しているお客さまから「御社サービスの強みはなんですか?」と聞かれることはよくある鉄板の質問ですが、これはあまりオススメな聞き方ではないです。
おそらく強みなんですか?と聞かれると、「自社の特徴」を述べてしまう営業は少なくないと思います。これは売り手視点であり顧客視点に立っていない情報になりがちです。
よく考えればすぐわかる話なのですが、必ずしもそれぞれのサービス強み・特徴がどこから買うかの判断ポイントになるとは限らないのです。本当に判断に必要な情報は、各社の強みではなく「買い手がマッチするサービスを選ぶために考慮すべきポイント」なのです。
ということで、「御社の特徴や強みはなんですか?」と直接的に聞くより、営業を顧客側視点に誘導した情報を引き出しやすい下記の質問の方法がオススメです。
検討すべきポイントを聞き出しやすく、比較検討しやすくなると思います。
前置き
当社には今までお話しした課題、やりたいこと、予算などの条件があるのですが、もし〇〇さんが私と同じ立場だったら‥
**①比較検討のうえ、決定する際に重要にすべきポイント(できれば数値化できるもの)ってなんですか? **また、その理由はなぜですか?
②もし買う判断を間違う可能性があるとしたら、どんなケースですか?
この質問によって、営業がついつい陥りがちな「売り込み視点」が自然に剥がされ、逆に顧客視点を持ちやすいように誘導できると思います。
こういう聞かれ方をされることが少ないのか、上記の質問を咄嗟に答えてもらえると、つい本音が出て自社サービスの否定に繋がるような発言をする営業もいます。
また無理くり自社の強みに繋げようとする営業もいますが矛盾や違和感が浮き出てわかりやすいです。逆にそういった違和感がなければそのサービスの強みとこちらが求めていることがマッチしている可能性が高いです。
買い手は売り込み情報でなく、より客観的な情報で判断できるかと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか? まとめると以下の感じです。
①営業力とサービス力は切り離して冷静に判断すべき
②営業には商談はじまって、なるべく早いタイミングで情報を渡す
③営業に渡す情報としては「やりたいこと」「背景や課題」をワンセットで伝える
少しでもお役に立てると嬉しいです。
実はこれらの方法は我々、営業にとっても無駄な工数削減できたり、お客様にぴったりマッチしたご提案できたり、はたまたこのお客様はうちのサービスと合わないなと撤退判断できたりとメリットがあります。
いっほ、本当は好条件引っ張るための交渉術などもあるのですがそれは同業者に困るといわれそうなので、またの機会に(^^)
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