顧客に寄り添うより「一方通行」が顧客視点である理由
コドモンの足立です。昨日、光栄にも営業No.1を競う大会「S1グランプリONLINE」に出させていただきました。残念ながら優勝はがっつり逃しましたw(参加しての感想は落ち着いた頃にまた書きたいなと思います)
結果や大会についてはこちら
当日、私はあえてお客様と双方向でなく、「一方通行式に話す」と言うtipsをご紹介したのですが、おかげさまで多くの方から反響をいただきました。※2020/12/15事務局側で当日の動画公開されたので下記のリンクつけました
しかし、5分という時間の限りなのか、私の説明の拙さからか、少し、真意が伝わらなかったので追加でお伝えしたく、急遽、書くことにしました。
反響と言うか、質問と言うか、ご意見と言うか、いただいた内容としては
と、概ねこんな感じでした。当然、これは当たってる指摘でもありますが、私からすると当たっていない部分もあります。
私の好きな言葉に「常識とは18までに身につけた偏見のコレクションのことを言う」と言うアインシュタインの言葉があるのですが、この「一方通行式」は今までの営業の常識に囚われず、徹底的に顧客視点に立った結果、たどり着いた方法なのです。
なぜ「顧客に寄り添う」ことが顧客視点でないのか?
よく営業の上長や先輩から「お客様のニーズに寄り添って臨機応変に対応すべき」とか「なるべく双方向に会話するように」「営業は聞くのが8割」などの話をされたことないでしょうか?
少し乱暴なまとめ方をするとこれは「顧客に寄り添うこと」が良しと言う考え方が根底にあると思います。でも、落ち着いて考えてみてください。そもそも「顧客に寄り添うこと」は手段であって、目的ではないです。
そして、皆さんこんな経験ないでしょうか。「あー、あの話をするのを忘れてしまった」「今日は調子に乗って少し喋りすぎたな」「今日のプレゼン全然ダメだった・・・」。当然、私もそういう営業をしてました。
ではこれらをお客様側視点で見て見るとどうでしょう・・・。
そうお客様にとっては全く関係ない、営業側の都合という要素で「本来得られるべき欲しい情報や正しい情報が漏れてしまったり、わかりにくくなる」ということです。これお客様からすると迷惑な話ですよね。
私たち営業の目的は改めて書くまでもないですが
それ以上でも、それ以下でもないのです。お客様にとっては商談の出来が100%とか90%とか全く関係ありません。「合意するに当たって最低限必要な情報が適切に提供してもらえること」なのです。
そう考えたときに「お客様に寄り添って提案がジャストフィットしているか」という軸より、「いつでも営業が誰であっても、判断に必要な適切な情報をスムーズに提供してもらえること」の方が顧客視点であると言えないでしょうか?
また、「お客様ごとにジャストフィットさせる」というのは、そもそも相当至難の技であり、実現できない幻想なのです。
お客様にジャストフィットさせるのはめっちゃ難しい
昨日の大会後、ゲストとして招かれていた目標を絶対達成させるコンサルタントの横山社長とお話する機会があったのですが、上記のようなスバリ私のプレゼンで伝えたかったことの本質を見抜かれて、さらにわかり易い例えまでお話いただきました。
まさにこれですw
天才とかスーパーとか言われる営業の人たちはその場の空気に合わせて、臨機応変に対応できてしまいます。でも、それを凡人の我々がやろうとすると、絶対に絶対に火傷するので目指してはいけません。
たまには凡人の私たちでもホームラン的に気持ちいいくらいにジャストフィットする商談ができることはあるかもしれません。でも、その代わりに三振やキャッチャーフライすることも増えるはずです。
またチームに1人くらいジャストフィットの天才がいたとしましょう。でもチーム全員がそう言う人たちの集団というのはあり得ないと思います。それでもお客様側には誰が担当かを選ぶ権利はないです。(チェンジはたまにありますが)
そこでまた顧客視点で考えて見てください。
たまに自分ぴったりの100点満点の提案を受けられる代わりに、50点とか、60点、さらにグダグダな20点の提案を受けるよりも、
いつ、どんな営業がきても、常に最低限70点はキープされていて、それ以上のことも稀にあるという方が良くないでしょうか?
つまり私たちはチーム全員で安定した打率をキープするスムーズな商談こそが顧客視点だと思っているのです。そのためには想定外が起きる双方向なやりとりは最小限に抑えるべきだと思っています。
その結果、必要な情報のヒヤリングは「アポを取り付けた直後」と、「一方通行でこちらのご案内が終了した直後の質問を受けるタイミング」のみです。
「型」営業の進化系
これらを根拠に私たちは同じ台本1本を共有し、1発屋芸人のごとく研鑽し続けています。その結果、当社では、インサイドとフィールドでの違いはあるものの、インサイド同士、フィールド同士で比較すると、皆同じくらいのパフォーマンスを安定的に出せています。
これは=お客様にご迷惑をかけずに常にまた誰が担当でも、安定したご案内ができているという証拠なのです。
時短という制約があるなか驚異的なパフォーマンスを出しているインサイドメンバーには採用時に口酸っぱく「一発屋芸人になってください」とお伝えしました。
なぜ「1発屋芸人であれ」と例えるようにしているかというと、やる側は同じ台本では飽きてしまい、つい新ギャグやりたくなってしまうからです。
でも、お客様にとっては常にそれが初見であり、聞きたいの新ネタではなく、やっぱり「そんなの関係ねぇ」だし、大事manブラザーズの「それが一番大事」なのです。(例えが古いのはご了承をw)
先述のメンバーも調子が悪くなってきた時に商談を確認すると、経験を積んだ営業あるあるなだいたい2つのパターンに陥ってしまってます。
①伝える情報量が多く、時間も長くなっている
自分が知った商品知識や裏話などを披露したい欲に負けている
→お客様は情報過多で消化不良をおこす
②前提がすっぽ抜けている
初見のお客様の視点が抜け、基本情報をすっ飛ばし、応用編などから話してしまっている
→お客様は置いてけぼり
そんな時には漏れなく、台本通りに戻させます。そんな観点から、当社では初心者だけでなく、上級者も同じ台本使ってもらってます。
(当然、カンペなくともスラスラ皆話せます)
そうすると、型自体が環境の変化に応じて、どんどん研鑽されていきます。また、型の土台から先の高度な営業に昇華できます。
例えば、毎回同じ台本なので、お客様ごとのごく僅かな微妙なリアクションの違いに感度良く素早く反応できるようになります。これは毎回アドリブの営業では天才でない限り気づけません。
また、まったく同じ台本、セリフであるはずなのに何百、何千とやっていくと、不思議となぜか伝わり方が変わります。(言霊でも乗るのでしょうかw)
追記)これ何かと似てると思ったら、私たちが扱うSaaSを使うか、カスタマイズでシステム作るかの違いに似てるんですね。
↓コドモンの資料より
追記)そして中谷さんからイメージぴったりの図を提供いただきました
「型」は意識すればどんな営業にも活用できる
いかがだったでしょうか?
実は営業の「型」自体の発想は、「紙芝居方式」とも呼ばれ、それこそ私が新人の頃にもすでにゴリゴリの営業会社で新人でも獲得できるように使われていた手法です。でも、大抵、顧客視点の欠けたこちらが伝えたい事ばかりのボリュームが多くて、話も長い、退屈な内容でした。
だからこそ、お客様を飽きさせないような工夫、また共感を呼び込むような顧客視点の仕掛けや工夫がより必要になるわけでして、それを昨日ご紹介したわけです。
(顧客が得られるベネフィットより、サービス名や仕様や特徴を詳しく説明していませんか??)
これ実はどんな営業でも大なり小なりの型(最大公約数)は活用すべきだと思ってまして、我々も商談の他にもアポ取りは当然ですが、受電、切り返し、メールの返信、見積作成など、ありとあらゆるところに「型」を用意しています。
その結果、お客様は常に私たちのチームの誰が対応しても、70点以上の対応が得られ、かつスピードは都度フルカスタマイズより遥かに早く対応してもらえます。その上で空いた余力でちょっとしたカスタマイズをすれば、お客様の満足度はさらに高まるでしょう。
まずは、商談であれ、なんであれ、顧客視点の最大公約数の「型」を作る。これであれば、商品や業界問わずできるはずなのです。
そしてもっと言うと「型」ですら手段ですので、合意(受注)に至るまでにお客様にムダな負荷を欠けないという顧客視点の発想であれこれ工夫を徹底すべきだと思います。
最後に、これまた私の好きな言葉として、元セブン&アイグループの鈴木会長の言葉を紹介します。
「独りよがりな "顧客のために" でなく、自我を排した "顧客の立場で" 」
皆さんは顧客のためにやっているという思い込みで、
自分が満足するための独りよがりな営業になっていませんでしょうか?
その訪問や、質問・やりとりは、本当に顧客視点でしょうか??
最初から最後まで1人の営業が担当するのは本当に顧客視点でしょうか?
このnoteが皆様の再度の確認につながれば幸いです。
(最後に今井さん、すみません。キャッチーにしたくて勝手に "is COOL" お借りしました)
▼SaaS界の重鎮「前田ヒロさん」とウェビナーでました
▼追記)マイネット社の上原社長の「顧客視点でこれから型の営業の時代が来る」とのお話。ぜひ聞いていただければ。
▼S1参戦について書いたnote
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