SaaSシェアNo. 1からSaaSシェアNo. 1に移って見えた「SaaSビジネスで大切な3つのこと」
SaaS歴4年半。サブスク暦19年。サブスク営業一筋のキャリア
株式会社コドモンでICT推進チームのマネージャーをしている足立と申します。
「どんな奴が書いてるの?」とならないように、まずはカンタンに自分の経歴を紹介します。(ご興味ない方は飛ばして本題をご覧いただければ)
現在は導入施設数ナンバーワン「CoDMON(コドモン)」というSaaS型の保育園、幼稚園向けの業務支援サービスの会社で、アカウント開拓がミッションであるICT推進チームのマネージャーをしています。
「コドモン」では自分がジョインした2018年7月のタイミングではリリースから2年かけて1600ほどでしたが、2019年4月1日までの約8ヶ月で、おかげさまで倍の3200まで導入施設数を拡大する経験ができました。
『コドモン(CoDMON)』導入施設数3,000を突破
4年いた前職の「TORETA(トレタ)」では同じくSaaS型の飲食店向けの業務支援サービスでセールスマネージャーをしてました。在籍の間に登録店1000→10,000の急成長のフェーズを経験できました。
さらにその前職は立ち上げからグルメサイト会社に14年半いました。立ち上げから3年で加盟店5000まで増やした経験と特典提供の飲食店を3ヶ月で5000店集めたプロジェクトも経験しました。
ということで、SaaS営業歴4年半、サブスク営業歴19年という、図らずしもサブスク三昧、昔ながらの表現で言うと、チャリンチャリン(座布団)ビジネスの営業一筋のキャリアです。
SaaSで市場トップを取りつづけるために大事なこと
このキャリアを通じて、競争地位でいうところのフォロワー、リーダーの両方の企業で働く経験することができました。
また前職から現職に移った際に、どちらも同じアナログな業界をICT化する業界特化型のSaaSビジネスであり、かつシェアNo.1企業だったとはいえ、笑ってしまうくらいいろいろなことが共通してそっくりだったので、
コドモンに転職したばかりのときは、まるでタイムマシンでトレタが急成長する直前の4年前に戻ったような感覚になりました。
コドモン、トレタ両社での急成長の経験を比較してみると、いくつか再現性のあることや、大切にしなくてはならない共通する部分も見えてきました。
SaaSがより注目されてきた現時点においては、稀有な経験をさせていただいたのではと思いますので、SaaSビジネスで大切すべき点をシェアしたいと思います。(どちらの会社でも基本的には私はセールス職という立場でしたので、あくまでそこからの観点ではありますが・・・)
なるべくthe SaaS用語(ARPU、チャーン、MRRなど)は使わず、わかりやすく書くつもりですが、そもそもSaaSってなんやねんて方や、そもそものSaaSビジネスのポイント知りたい方はこの記事がわかりやすいかもしれません
SaaSの総まとめ: 急成長SaaS企業リストから学ぶSaaSの強さとは
①そもそも顧客から支持されないサービスでは未来はない
SaaSはざっくり言うと、「1つのシステムを多くの企業でシェアすることで、独自開発するよりはるかに安価な月額利用で顧客に提供するビジネス」ということなんですが
そのため事業社側の視点から見れば、結局のところ、いかに効率よくお客様を集め、そしていかに長く、より活用して使い続けていただくかに尽きます。
そのため「料金の安さ」という面では一見、アカウント獲得の障壁は低いのですが、解約されずに契約続けていただいてナンボなので、単にたくさん契約が取れればなんでもいいというわけではないです。
顧客に提供する価値がきちんと伝わり、またその価値を合意していただく必要があります。そしてその合意した価値はサービス提供し続けられるものでなければ、契約の継続はないということです。
至極当たり前の話ですが、どんなに蛇口をひねっても、栓が抜けていてはお客様は貯まっていかないの同じことです。
グルメサイトの広告営業時代の終盤は、当時はお客様に提供すべき価値である「集客効果」が提供できなくなるほどメディア力を失っていました。
それでも営業として成果を上げるべく「集客効果はないです。でも‥」とその価値をずらして販売し実績を上げていました。
しかし、所詮は本丸の価値を避けて捏ねくりまわしてアカウント獲得できたとしても、取引継続は難しく、解約に常にビクビクしている日々でした。
逆に前職のトレタではどの導入店に行っても感謝されることが多く、ちょっとしたカルチャーショックでした。この顧客の「自分たちのことをわかってくれている」という熱烈な支持はコドモンに移っても全く同じです。
後述しますがSaaSは1つの長い工程として表現できるのですが、その起点はリード(見込み客)獲得になります。
既存の顧客の支持があれば、問い合わせ(インバウンド)、紹介(リファラル)、追加注文などのホットなリードが供給されます。
逆に顧客の支持がなければ、興味のない客が多く含まれるリストへ無作為にアタックする焼き畑農業(コールド)しなくてはいけなくなり、効率が一気に悪くなってリードおよび商談数の確保が至難の技になり、獲得コストが跳ね上がります。
顧客もSNSやネットでサービスについてのさまざまな情報を確認できる今、
「顧客に価値をきちんと提供し支持がある」という前提なしに小手先のマーケティングや営業手法、サポートだけでは一瞬の数字は上げたとしても、その先はどんなに逆立ちしても限界があるということかと思います。
ある意味、SaaSは本来は当たり前の「商売の本質」が問われるビジネスだと感じました。
また顧客の支持を得るには、顧客視点に立ち、徹底した「顧客の理解」が必要です。おすすめは顧客の業務を実体験(サラリーマンが保育士をやってみてわかったこと)して一気に理解を深めることですが、
それも状況によっては、なかなか難しいとは思いますので、取り急ぎは
「顧客が使う言葉を使い、難しい用語は使わない」「勘違いして″教えてあげる″というスタンスにならない」「主語を自分たちではなく、常に顧客を主語にしてサービスを語る」など、
ちょっとしたことから顧客視点に立つことを整えると良いと思います。
(例えば、コドモンでは営利や営業が苦手な福祉系のお客様に合わせて、セールス、営業という言葉をあえて使わず「ICT推進チーム」と名乗っています)
繰り返しますが、もちろん一番大切なのは、何より顧客に価値を提供し続け、顧客から支持されるサービスを提供し続けることなんです。(これが巷で有名なカスタマーサクセスってやつです)
②分業してチームワークで勝つ。常に全体最適を図る。
効率よく数多くのお客様を集め、長く、より活用して使い続けていただくことを実現するには、「分業」が避けられません。
SaaSはマーケティングから契約、その後の顧客フォローまで1つの大きな工場のように工程が連なっています。
その長い工程のはじめから終わりまで1人の営業が担当することは効率の面からも、また顧客が求めるサービスを担保する観点からもよろしくありません。
なるべく早く役割分担を図り、またそれぞれが得意とする役割へ配置を最適化することが有効だと思います。
「営業職」という職種の中にも、振り向かせるのが得意、合意させるのが得意、手厚くフォローするのが得意など、得意不得意があります。それぞれの適正に合わせて配置すると花が開きやすいです。
分業の注意点としてはあくまで1つの大きな工程であることを意識することです。名著「ザ・ゴール」にあったように、それぞれが部分最適を図っても全体の数字は上がりません。
※未読の方はまずはサクッと読めるコミック版がオススメです
あくまで俯瞰で1つの大きな工程として見たときに、制約(ボトルネック)となっている箇所を外し続けることが大事です。
外し続けるというのは、その制約は環境や事業のフェーズによって変わるということです。
あまりキレイな表現ではないのですが、自分はよく制約を「フン詰まり」と呼んでました。実際にこれだというフン詰まりを解消すると、せきを切ったように一気に流れる量が増えます。
そもそもリードがないというところで詰まり易く、解消して大量のリードが獲得できたとしたら今度は商談消化でつまり、そこも解消され獲得が進むと今度は導入支援で詰まる、これらが解消されるとまたリード数が足らないという具合です。
チーム間の連携も大事です。全体最適の視点が大事とはいえ、組織が大きくなるにつれ、視野が追いつかずセクショナリズムに走るメンバーもどうしても増えます。
最近読んだ本には、人間はグループを分けた時点でグループで対立する本能がある、それを避ける共通の目的を持たせることが大事だとかかれてました。
理想の組織を作るためのモデルを考える時に忘れてはならないのは 、そもそも人間という生き物自体が 、所属するグル ープを分けた時点で 「内と外 」という判断をして敵対意識を持つということだ
また、工程の逆方向にフィードバックが流れる仕組みを作ることが大事だと書かれていてなるほどと思いました。
ここで必要なのは 「逆の流れ 」を作ること 。カスタマ ーサクセスは顧客と接する中で 、何に困ることが多いのかを研究し 、製品開発やマ ーケティングメッセ ージに反映させる 。<中略>こうした双方向の流れが実現した時に 、売上向上という共通目標に対して共同作業をする感覚が芽生えてくるだろう 。
※THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス 福田 康隆
契約後の導入可否を無視した営業や、営業やCSの現場からの声が反映されない危険な開発などは、まさに逆方向からのフィードバックで避けるべき状況です。
そんなことを考えると、自社開発でかつ、コミュニケーション得意なエンジニアが多く、現場の声が商品に反映しやすかったというのも、両社に共通する点で商品の質を向上させている要因の一つかもしれません。
③テクノロジーの力を使い倒し、徹底的に効率化する
効率よく多数の顧客を集める、顧客の支持を得る、全工程を把握して全体最適を図りつづける。
これらを人力でやろうとすると、どうしても多くの人員が必要になります。またシェア争いはスピード勝負でもありますので、「テクノロジーを使い倒す」ということが必須になります。
トレタでも、コドモンでも、ツールの進化もあり、さまざまなツールを使い倒して仕事をしています。
時と場所を選ばずに、ミーティングできたり、社内に問い合わせられる、お客様にご案内できる、お申込みいただける。
または多数いるお客様からどういう優先順でサポートすべきかわかり、現在の工程の全体を把握できる。
これらはさまざまなテクノロジーを駆使すれば、実現可能なのです。
また、このブラッシュアップも継続が必要で、さらによりスピーディーにできる、正確にできるということであれば、常に見直しを図る必要があります。
アナログをICT化するサービスの営業をしているとよくわかるのですが、人は作業をすることで、仕事をしてると勘違いしがちですし、
また自分の仕事や作業をシステム化したり、平準化されることを、まるで自分の存在を否定されたかのように錯覚して拒否しがちです。
でも今後、SaaSビジネスに限らず、ビジネスで生産性を上げていくには、常に業務の本質を見極め、不要な業務は廃止し、
属人化している仕事を「機械で出来る作業」と「ヒトでしかできない仕事」に分解し、よりヒトでしか出来ないことに特化してさらに価値を高めることかと思います。
▼22/07/01追記 後日談を書きました
最後にお知らせ
いかがだったでしょうか? こんな今注目のSaaSビジネスで腕試ししたくなった営業職の方いらっしゃいますでしょうか? より濃ゆい体験はやはり急成長のシェアトップの企業で学べるのではと思います。
コドモンは、いま社会的に注目されている課題をテクノロジーの力で解決する意義のある事業をしています。
ぜひ仲間に加わっていただければと思います。
SaaS企業のお手伝いします
また個人的にも経験を活かし、様々な企業のSaaaSセールスの生産性向上のお手伝いをしたいと思っています。ご興味あるかたは下記からご連絡ください。
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