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超短編小説

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独り言のような短編集たちです
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#創作

Sarah

今日なら甘えられる気がするのよぉ〜

そんな上機嫌に響く声は電話の向こうで珍しく酔っていた

大酒飲みではないけれど、そう簡単に管を巻くタイプではないサラが上機嫌で私の電話を鳴らした月も霞む曇り空の夜

別にそんな飲んだわけじゃないよ、楽しくなっちゃってぇ〜

楽しそうなのは別に口調から伝わるし家で飲んでいるようだから大した心配もいらないのだけど、いつもは私が大いに話してサラが相槌を打つことが大半

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Brandi

Brandi

私じゃない家に帰るのは私がいるからと言うことを忘れないでいてほしいものだわ

そんなことを考えながら夫が大好物のシチューを煮込む

なかなかいい牛肉が見つからなくて肉屋を3軒も見てしまった
2軒目から3軒目に行く交差点で、なんだか今日は良いことが起こりそうな予感がしたの、なんとなくよ

私と似ているところがあると言われても、私以外を愛する理由に納得出来るわけないじゃない

そんなことを考えながら夫

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Amanda

Amanda

アマンダは勝手なイメージをもたれるのが嫌いだった

小さい頃から名前負けしていると陰口を叩かれていた、名前のわりに身体が貧相だとか、顔が地味だとか、名前が豪勢すぎるとか、耳によく入ってきた

確かにアマンダと言う語感の割には地味な女の子で決して垢抜けたタイプでは無かった、だが誰もまともに顔など見たことがないくらいアマンダは髪が長いのだ

クラスでは一番前の席に座っても、一番後ろの席に座っていても気

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