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手をのばす、届かなくても。

「半分くらいの力で生きてきましたね。マイペースにのんびりと。いつか夢中になれることを見つけたら、その時は全力で取り組みたまえ。」

小学校を卒業するとき、クラス全員がお互いに書いた寄せ書きの中央に担任の先生が書いてくれた言葉がずっと心に残っている。いつも元気いっぱいで肝っ玉母さんみたいな面倒見のいい先生だった。
当時はこの言葉の意味をほとんど理解していなかったが、年齢を重ねるほどに心に響いて自分の中で大きくなっている。

一年を振り返る時にこの言葉に沿って行動できていたかを思い返しては、60%くらいの力で生きていたなと毎年反省している。二十年以上も前にこの性格を見抜かれていたのかと思うと、教師という仕事の凄さを改めて実感する。

最近、頑張っていた二十代の頃の自分を切り売りして生きているような感覚になることがある。特にここ数年は、やりたいことより出来ることで自分の生活を組み立てることが多くなったように思う。
安定したのか、保守的になったのか。仕事は楽しいけれどあまり冒険はしないし、夕飯の献立も手軽なものをローテーションしている。そのせいか、何をしていても以前より新鮮な感動に触れる機会は少なくなった。
反骨的な情熱を若さだけで乗りこなしていた日々の余韻も、いつか鳴り止む時が来る。その時、僕の手には何が残っているのだろう。

だから、今年の目標は、「手をのばす、届かなくても。」

何がいいとか何がしたいとか今はまだわからないけれど、大切にしたいものを見つけたら目を背けずに、しっかりと手をのばす。その意思を持ち続ける一年にしたい。

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