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心理的な虐待・マルトリートメント、ネグレクトほか(第二期:第2回②)

1.心理的虐待について

次に心理的虐待ですが、厚労省による分類では、他の3つ以外のものがこれに当たり、実質「その他の虐待」の扱いになっているように思われます。実に不思議な分類で、この「分類」そのものを見直す必要があることは機会があれば書きますが、心理的虐待について押さえておくポイントは次の3個です。

1つ目は先に触れた、実質「その他」のカテゴリーであること、もう1つは、当然のことですが、他の虐待においても多くの場合にこれが併存しているということ、そして最後は、ここに含まれる「言語的虐待」と「面前DV」が場合によっては最も大きいダメージを実際に脳に与えるものであるということです。

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2つ目の、他の虐待に併存するというのは、身体的、性的、ネグレクト、どの虐待においても、虐待に前後した行為者の表情や言動が既に恐怖の対象として存在しているということです。研究や統計では、身体的虐待のみ、性的虐待のみといった表現もありますが、本来そんな状態が成立するはずがありません。

言語的虐待(暴言)と面前DV(子どもの目の前での夫婦間の暴力や暴言)については特に重要そして緊急の事項として理解されるべきです。特にこの2つの組み合わせが最も悪影響を与えるという報告もあります。たとえ子どもに文字どおり指一本触れていないとしても、虐待としてはより重篤になり得ます。

言葉が拳よりも強く、また、自分よりも他者に対する攻撃がダメージとして大きくなり得るということは、衝撃的ですが事実のようです。

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身体的虐待や性的虐待、ネグレクトが子どもを傷つけると分かる我々にとっての、一歩先の理解は、暴言や直接的ではない暴力をそれよりも重いものと位置づけることです。

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