見出し画像

「個人」ができること(第二期:第8回④)

 虐待の連鎖にしても、組織や集団にしても、個人にしても、いずれも変わり得ることが救いです。ここでは、日々「子ども」に関わる「大人」として、私たち一人ひとりがカオス、システム、そしてフラクタルという視点を活用してどのように振る舞うことが重要かということに簡単に触れ、第9回に繋げます。

1.システムにおけるカオスとコスモスのフラクタルを変える異分子

 様々な問題を抱える(抱え続けている)組織や社会に、「個人」が影響し改善を試みる場合、その個人は「システム」に対する「異分子」とならざるを得ません。システムが抱える問題の多くは、それまでの「通常」が生んでいるため、そこに対処しようとするものはすべて「異常」と映るのも自然なことです。

図3

2.上位システムに対して

 個人が組織や社会に変化をもたらそうとする場合、つまり「上位システム」への影響力の行使に際しては、そのシステムの「中心」(人物)を、特に許容力という点で「アセスメント」することが重要です。その中心が変化を恐れ、拒む限り、異分子はどのようなものであっても「拒絶」されるのが自然です。

 そもそも「個人」は組織や社会に比べてあまりにも「小さく弱い」存在で、また、個人の間でも、いわゆる「階級」が異なれば力関係も対等ではありません。さらに、当然のことながら、組織や社会にとっての不利益はあくまで組織や社会が判断します。弱者が相手のルールで戦うのは困難を極めるはずです。

3.下位システムに向けて

 それでも、個人にできることはあります。まず、その「システム」における「カオス」の流れを見定めるということです。虐待やいじめ、ハラスメント等は「ストレス」の流れですが、本来の流れは「自他を大切にしたい」という人間的な欲求であるはずです。求められる機能は「浄化」や「ろ過」と言えます。

画像2

 次にできることは、システムを可能な限り拡大そして縮小して注目していくことです。個人と組織の間に部署や部門などがあるように、システムの階層は細分化できるものです。ミクロやマクロという言葉は、決して2つだけの視点ではなく、「視点を拡大-縮小していく」方向性として捉える必要があります。

画像3

 そして「個人」の内外のシステムを「フラクタル」として捉えることができれば、組織や社会の変化を促すための「唯一可能な具体策」が見えてきます。それは「自分を変える」という行動です。より正確に言えば「自分から変わり始める」という「態度」です。第9回では、これをさらに深く考えていきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?