見出し画像

【植栽家の日常】20230224 冬に真価を発揮する葉モノいろいろ1

今日は朝イチで農場へ。出荷用の苗や店に持ち帰って植え替えや株分けする苗をピックアップしたりなど、普段通りの農場作業。

最近、写真を撮る間もなく店にトンボ返りすることが多かったので、今日は冬の時期に特に色が冴える葉モノをいくつか撮ってきました😊

今日はイギリスの名園、ベス・チャトーガーデンの世界観につながるような品種を3点紹介します。

植物の前に、私がリスペクトしてやまない名園 ベス・チャトーガーデンについて、書いておきますね。

プランツウーマン ベス・チャトー(1923 – 2018)さんの庭は、イギリスでも特に降水量が少ないエセックス群でゴロ石だらけの駐車場だった場所に作られた奇跡のような庭園です。

世界中の植物からその場所の環境に合う植物を選りすぐり、無灌水で成立する、この上なくイノベイティブで美しいグラベルガーデンを創造し、園芸分野のみならず世界に大きなインパクトを与えました。

乾燥地域の植物を組み合わせたグラベルガーデンのみならず、水辺の植栽やウッドランドなども、多大な植物の知識に裏打ちされた抜群のセンスで多彩な植物を思慮深く適材適所に組み合わせられており、今日でも全く色褪せないどころか、もはや世界中の園芸家が参照する古典といってもよいほどの素晴らしい庭園です。

私も趣味で園芸をはじめた1990年台の後半に彼女の著作「Beth Chatto's Green Tapestry」に出会い、一気にものスゴい深度で園芸にハマりました。
本書に登場する植物(当時の日本ではまだ一般的ではなかった全て学名表記)を苦労しながらも片っ端から調べまくり、まさにスポンジが水を吸い上げるように覚えていきました。若いオタクの情熱ってパワフルですよね😅
その時期に蓄積した植物知識が今でも私の園芸観の礎になっています。

その頃に出会った「Beth Chatto's Green Tapestry」や「Derek Jarman's Garden」、ピート・アウドルフさんの初期の著作などの素晴らしい洋書たちは、私の園芸人生の中でも燦然と輝き続ける宝物のような存在です。

特に、乾燥地や湿地などその地の環境に合った植生に対する意識が深いベス・チャトーガーデンは、環境に負担少なくガーデニングという趣味をクリエイティブに楽しむという、環境配慮と人為的な趣味との両立への最適解のひとつといえますね。

SDGsにも関心が高まっている現代においても、人間と環境との付き合い方について多くの示唆を与えてくれるたいへんメッセージ性の高い庭園と思います。

「Beth Chatto's Green Tapestry」は、ベス・チャトーさんの没後、2021年に現在の庭師長エイサ・グレガース・ワーグ改訂によるリバイズ新版が出ています。
この新版では、「緑のタペストリー」が出版されてから30年の間に加えられた、持続可能な植栽に沿った変化が紹介されており、原著と比較して読み比べても面白いですね。


では、前置きが激・長くなってしまいましたが、植物の紹介に入りますね

ここから先は

1,352字 / 3画像

¥ 200

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?