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第41回 忙しい人必見!忘却曲線を使った効果的な記憶術で学習効率アップ

この記事は、あなたのために書きました

  1. 「覚えたはずなのに…」と何度も思い返すが、いつも詳細が思い出せないあなた

  2. 会議で書いたメモを見返しても「これ、何のことだっけ?」と不安になる忙しい社会人のあなた

  3. 日々のタスクに追われつつも、自分のスキルを着実に磨きたいと願う向上心を持つあなた


序章 - 「記憶ってこんなに薄いの?」日々のあるあるから見る記憶の悩み


「昨日の会議、あんなに真剣に聞いていたのに…もう思い出せない。」

朝、コーヒー片手にデスクに着いた瞬間、ふと考え込みます。昨日の会議で上司が話していたあの重要なプロジェクトの指示…どんな内容だったか覚えていないのです。「いや、メモもちゃんと取ったはずなのに…」とデスクのメモ帳を開いても、そこには走り書きの単語がぽつりぽつり。しかも字が汚くて、自分でも解読が怪しい。

「あるある!」と感じた人も多いのではないでしょうか?

仕事をしていると、絶対に覚えておかなくてはいけない場面や指示が、次々と襲いかかってきます。しかし、日々の仕事や生活に追われる私たちの脳は、どうも記憶を優先的に保存してくれるわけではなさそうです。逆に、覚えたい情報ほどあっさり消え去っていく。仕事中に浮かんでいたアイデアが、定時を迎えるころにはまるで砂浜に書いた字が波にさらわれるように、跡形もなく消えている感覚に覚えがある人も多いのでは?

心理学的には、この現象に根拠があります。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが発見した「忘却曲線」は、「人間の記憶は時間が経つごとに急速に薄れていく」ことを示しています。エビングハウスの研究によれば、新しい情報を覚えても、20分後には約42%1時間後には約56%、そして1日後には約74%も忘れてしまうのです。あの「大事な会議の内容が思い出せない!」という悩みは、まさにこの忘却曲線に忠実に従った結果なのです。

こうして「そりゃ忘れるよな…」と自分を納得させるのは簡単ですが、日々の業務が迫るなか、「でもやっぱり覚えていないと困る!」というのが本音。毎回会議のたびに、同僚や上司に「さっきの内容、もう一度教えてもらってもいいですか…?」と聞き直すのも気まずいし、仕事が滞るとストレスも溜まります。

そこで重要になってくるのが、この「忘却曲線」を敵ではなく味方につける方法です。どうせ記憶は薄れていくのなら、その薄れ方に応じて、記憶をしっかり定着させることはできないだろうか?という発想。この記事では、逃げ足の速い記憶をどうやって捕まえて味方にするか、その具体的なコツと実践的な方法を、ユーモアを交えながらじっくりご紹介します。

次の会議後、今度は「あの内容、バッチリ覚えてる!」と言える自分を目指して、ぜひ読み進めてください。


第1章 - 記憶と忘却のメカニズムを理解する:脳の仕組みを知って、効率化を目指そう


1-1 「記憶はなぜ消える?脳の気まぐれなメカニズム」

「覚えていたはずなのに、気づいたら抜け落ちている…」という感覚、誰もが経験するものではないでしょうか?会議やプレゼンの場で、「ここは覚えておかなければ」と集中して聞いていても、時間が経つと見事に忘れてしまう。では、私たちの脳はなぜこうも記憶をあっさりと手放してしまうのでしょうか?

実は、脳は「覚えたいこと」よりも「忘れたいこと」を優先的に整理してしまう傾向があります。心理学者ヘルマン・エビングハウスが示した「忘却曲線」によれば、学習した内容の約56%は1時間後、74%は24時間後には失われてしまうのです。この忘却プロセスは、脳の効率化戦略のひとつといわれており、必要な情報だけを残し、不要な情報は削除することで脳の負担を軽減しているのです【出典: エビングハウスの忘却理論】。

例えば、デスクトップパソコンを想像してみてください。メモリの容量は限られていますから、毎回すべてを保存していたら容量が一杯になってしまいます。人間の脳も同様に、すべての情報を記憶にとどめておくわけにはいかないのです。そのため、忘れることで「容量」を整理し、必要な情報が脳内で効率よく処理される仕組みが自然と備わっています。

こうした脳の「気まぐれなメカニズム」によって、短期記憶と長期記憶が自然に分けられ、情報は瞬時に処理されます。短期記憶はその名のとおり一時的なものですが、特定のタイミングで「これは覚えておいた方がいい!」と判断された情報は長期記憶へと移行され、より強固な記憶として定着します。しかし、ビジネスの世界では、この短期記憶が「気まぐれ」であるがゆえに、確実に覚えておきたい情報が消えてしまうリスクも避けられません。

1-2 「忘却曲線を攻略するための基本ステップ」

ここで注目すべきなのが、忘却曲線を活かした「インターバル復習」という記憶強化の方法です。この方法では、一定の間隔で学習内容を繰り返し復習することで、忘却のスピードを徐々に減速させ、最終的には記憶の「定着」を目指します。エビングハウスの実験から得られたデータによれば、1日後、3日後、7日後といった周期で復習を行うと、忘却が抑えられ、長期記憶としての定着が促されるのです。

では、具体的にどのようにインターバル復習を実行すればよいのでしょうか?ここでは、忙しい社会人に向けた現実的な実践方法を考えてみましょう。

  • 1日目:まずはしっかりメモを取る
    会議後、または仕事を終えたらその日のメモを軽く見直します。記憶がまだ鮮明なうちにメモに目を通し、その内容を脳内でリフレッシュするだけで「逃げ足の速い記憶」にフックをかけることができます。さらに、その日のメモのポイントをまとめ直すことで、記憶が一層定着します。

  • 3日目:記憶を少し引き出す練習
    3日後には、会議メモを見ずに頭の中でその内容を思い出してみましょう。この段階でメモを見返すと、「あれ?意外に覚えている部分が少ない…」と気づくことがあるかもしれません。しかし、これが記憶を強化するための大事なプロセスです。思い出す作業が脳にとっては「再学習」となり、より深く記憶を強化する効果があります。

  • 1週間後:メモを見返し、内容を説明してみる
    最後に1週間後にメモを再度確認し、今度はその内容を誰かに説明するような感覚で整理します。後輩や同僚に話すことで、理解がさらに深まり、脳が「長期記憶」として保管しやすくなるのです。

こうして、忘却曲線に沿ったリズムでインターバル復習を行えば、「あの会議で何を話していたっけ?」と頭を抱えることは少なくなります。


第2章 - 忘れにくい学習法を身につける

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