あの頃へ…10…トマト
覚えたての自転車で近所を散策。
まだ、カーブは苦手。
大好きな道がある。右手に小粒の赤い実をつけたサンゴ樹の垣根が長く続き、下には砂底が見える綺麗な小川。
少し先の角を曲がると、一面にトマト畑が見えてくる。
近所のおばちゃんが私の名を呼ぶ声がする。自転車をよろよろと停めて振り返ると、日に焼けたおばちゃんの笑顔。
「どこに行くの?」と話しかけながら、手招きしている。
駆け出してそばに行くと、熟した実を探しながら、トマトをひとつもいでくれた。
エプロンでごしごしとふきとると、