いわっち

スタートアップ企業にかかわる弁護士です。 日々の仕事の雑感を書いております。

いわっち

スタートアップ企業にかかわる弁護士です。 日々の仕事の雑感を書いております。

最近の記事

弁護士がChatGPT使ってみた!

2023年も早くも12分の1が終わりかけていますが、本年初めての投稿をいたします。今年最初のテーマは、今話題沸騰中のChatGPTについてです。 ChatGPTとは、アメリカの新興企業OpenAIが公開した人工知能(AI)で、質問に答えて自然な言葉で文章を生成してくれる優れものです。 AIの技術がどんどん進化しており、「我々弁護士の仕事もAIにとって変わられるのか!?」という一抹の不安と、「これを使えば仕事が楽になるのか!?」という期待の入り混じる複雑な気持ちで早速試しに使っ

    • サイバーセキュリティと取締役の責任

      サイバーセキュリティーとインシデント サイバー攻撃は年々複雑化・巧妙化しており、あらゆる企業がいつ被害の対象となってもおかしくない状況になっています。 多くの顧客情報や機密情報を扱う企業にとっては非常に深刻な問題です。その中でも特にサイバー攻撃対策が遅れていると思われるのが日本の中小企業です。大企業ほどサイバー攻撃対策にお金と時間をかけられない分、 セキュリティー対策が不十分なままとなっている企業も多いのではないでしょうか。 私がこれまで 仕事で関わってきた企業では、大企業に

      • 法律事務所のダイバーシティ

        企業内におけるダイバーシティーの重要性と言うのは、ここ10年位多く議論されてきて、実際にダイバーシティーのある職場か否かは置いておいて、その考え方自体はかなり浸透してきたと思います。 しかし、以前こちらの弁護士のダイバーシティーとワークライフバランスに関する記事にも書きましたが、弁護士の業界におけるダイバーシティーの推進は周回遅れです。 そんな中、法律事務所でありながら、大変多様性のある働き方を追求している事務所の方にお話を伺うことができたので、紹介したいと思います。 伝統的

        • プライバシーホワイト・認定データ保管実務者の試験を受けてきました

          今年、日本DPO協会と言うところが、新しく認定データ保管実務者という資格試験を始めました。 https://dpo.or.jp/certification/ この資格、本日取得しましたので、どのようなものかご紹介したいと思います。 試験範囲は、個人情報保護法、プライバシーマーク、コンプライアンス体制、GDPR、中国個人情報保護法についての基本事項をカバーするものです。新しい資格なので、どのように活用されるのかまだ分かりませんが、今年は仕事でプライバシーマーク取得を担当し、今

        弁護士がChatGPT使ってみた!

          ベンチャー企業の社内弁護士はなんでもやります

          大企業の社内弁護士であった私がベンチャー企業の社内弁護士になって驚いたことはたくさんあります。 大企業にいた頃は、法務部の中にもたくさんの課があり、課ごとに担当が分かれていたことから、自分が受け持つ仕事の範囲はとても狭かったです。その分深かったとも言えますが、ある意味単調な作業の繰り返しも多かったと思います。私はある特定の商品の契約書作成や審査のみをやっていたので、本当に担当していた範囲が狭く、飽きっぽい私は耐えられなくなってしまいました。 それに比べて、ベンチャー企業に

          ベンチャー企業の社内弁護士はなんでもやります

          越境テレワーカー

          以前このnote 記事でも取り上げたEOR(employer of record)サービスを使用したテレワーカーについて、日経新聞でも取り上げられていました。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC281230Y2A121C2000000/   「大企業は導入進まず」と言う点が気になります。理由はいくつかあるのでしょうが、私が考える理由は大きく2つあります。 一つは、会社の社風や風土に合わないこと。もう一つは、法律面でのリスクに対して

          越境テレワーカー

          事例から学ぶ内部統制

          はじめに急成長しているスタートアップ企業では、事業の拡大のスピードに内部統制システムの構築のスピードが間に合っていないというケースが多くあります。事業の黒字化することが最優先で、 直接利益を もたらさないバックオフィス業務の人材の状況は後回しになりがちなのです。 バックオフィスの中でも人事は人を雇う際に必要がありますし、経理も金銭の管理や税金の支払いのために必要なので、わりと早めに採用される傾向がありますが、 直接収益を生み出さない内部監査部門はIPO直前になって用意される企

          事例から学ぶ内部統制

          NASDAQでIPOを目指そう!

          多くのベンチャー企業はIPOを目指して頑張っていると思いますが、今回はNASDAQでのIPOについてご紹介したいと思います。 NASDAQといえば、GAFAなどの企業が上場しており、非常にハードルが高いイメージですし、上場基準も厳しいのではないかと思われます。しかし、日本でNASDAQ上場した会社の数は少なく、実際のところどうなのかと情報を集めてみようと思っても、なかなか情報がありません。東証での上場であればなんとなくイメージは湧くのですが、NASDAQ上場はどう違うのだろう

          NASDAQでIPOを目指そう!

          弁護士のダイバーシティとワークライフバランス

          日本では、女性弁護士は弁護士全体の2割しかいません。 また、平均年収は593万円となっており、男性の1097万円に比べると圧倒的に低いです。弁護士業界の働き方とダイバーシティに関する議論は、一般企業に比べて周回遅れなのです。 ご参考 https://www.jmsc.co.jp/knowhow/topics/11592.html 弁護士のワークライフバランス 法曹界に身を置く人であれば、法律事務所におけるワークライフバランスはかなり厳しいということはご存知だと思います。自分

          弁護士のダイバーシティとワークライフバランス

          インハウスロイヤーの技法

          インハウスロイヤーをやっていると社内の様々な部門の人から法律相談が来ます。そこで、インハウスロイヤーが他の部門の社員と話すときに役立つコツを今日はご紹介したいと思います。 といっても、これは私が完全に実践できていることではなく、企業内法務の大先輩から教えていただいたことです。もう少し自分もこれを実践できるようにしようと反省の意味も込めて書いております。 「つまり」ではなく、「例えば」 法務に相談にくる社員というのはそもそも相談に来る時点で、難しい状況に立たされており、その

          インハウスロイヤーの技法

          ダイバーシティーを許容する企業カルチャー作り

          以前私はコテコテの日本の大企業で勤めていたのですが、ベンチャー企業に転職してから全く別の企業カルチャーの会社で働くことになりました。 今もまだその違いに戸惑い続けているのですが、非常に斬新な取り組みをしているので、少しご紹介したいと思います。 世界中からリモート勤務 現在働いている会社では、日本に限らず世界中からリモートで働いているメンバーがたくさんいます。これはEmployer of Record(EOR)というサービスを提供する会社と契約することにより可能となります。

          ダイバーシティーを許容する企業カルチャー作り

          日本の大企業の生産性が低いわけ

          今日はなぜ日本の大企業の生産性が低いのかということを書いて行きたいと思います。 日本人は真面目で勤勉、細かいことも見落とさず高い品質で、長時間勤務してもいとわない。そんなイメージがありますね。それなのになぜ世界と比べて生産性が低いと言われるのでしょうか。 いくつか理由があります。 テクノロジーに投資していない DX革命などと最近言われますが、やはり大企業では昔から慣習的に行ってきた仕事のフローやシステムを変える事は非常に困難が伴います。一つには、歴史のある会社ほど社員の平均

          日本の大企業の生産性が低いわけ

          大企業からベンチャー企業への転職(その3)

          本日は、自分がベンチャー企業に転職するにあたって考えた事を述べたいと思います。 ベンチャー企業とは そもそもベンチャー企業はとはどのような会社でしょうか。 いろいろな考え方があるとは思いますが、私は新しいテクノロジーやアイディアを使ってこれまでになかった方法で社会の課題を解決する企業ではないかと思います。 このような企業の特徴として、①比較的社歴が浅い、②勢いに乗って急成長している(あるいはその見込みがある)というところがあると思います。 ベンチャー企業に転職するタイミン

          大企業からベンチャー企業への転職(その3)

          大企業からベンチャー企業への転職(その2) ー日本の大企業とアメリカ系企業の違いー

          前回の記事から話はちょっとそれますが、私はアメリカ系企業でも働いていたことがあるので日本の大企業とアメリカ系企業の違いについても考えてみたいと思います。 人数日本の大企業は言うまでもなく日本に本社があり、日本に多数の従業員がいます。数千から数万単位の人がいるケースもあるでしょう。本当に大所帯です。 これに比べて外資系企業は、本社は規模が大きくても日本支店あるいは日本支社においては数十人のところから多くても千数百人ぐらいのところが多いのではないでしょうか。 やはり人数が違えば

          大企業からベンチャー企業への転職(その2) ー日本の大企業とアメリカ系企業の違いー

          大企業からベンチャー企業への転職(その1)

          私は日本人ならみんな知っているであろう歴史の古い大企業からベンチャー企業に転職しました。自分の年齢的には、最近増えていると言われる中高年の転職に当たると思います。 そこで、転職を思い立った理由と転職してみてからの雑感を何回かに分けて語ってみたいと思います。本日はまず、私が思う大企業の良いところと悪いところについてです。 大企業の良いところ 私の思う大企業の良いところはなんといっても業界で強いマーケットシェアや地位を有していることから、経営が安定しているということです。 ま

          大企業からベンチャー企業への転職(その1)

          商標登録をしよう!

          スタートアップ企業の法務に置いて注意しなければいけないことの1つに、知的財産の管理があります。そこで、今回は商標についてお話ししたいと思います。 商標登録のタイミング最近ではゆっくり茶番劇の商標登録問題が話題になっておりますが、自分のビジネスで使っているブランド名を他の人が商標登録してしまうと困りますよね。商標登録をすることで、他人が同じ名称を用いにくくする効果がありますし、他人から商標権侵害を申し立てられること防げます。スタートアップ企業で商標登録がまだできていない会社で

          商標登録をしよう!