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子供時代

思えば、変な子供だったと思う。内気なくせに変なところで一人になりたがるし、人との違いを感じざるを得なかった。

私の一番最初の記憶は、うちに来ていた知り合いの大工さんに年齢を聞かれて指で”3”とやったら母親に「違うでしょ、4才になったんでしょ」と言われた時だ。つまり、4才になりたての頃の記憶から私の、私が書ける私だけの物語は始まる。

よく、生まれる前の記憶を持っている子供などがいるが、一切そういう類の経験はしたことがない。霊感も全くない。ただ、小さい頃、実家の階段の下、トイレの前に、なにか白くてふわふわとしたものが見えていた。ふとした瞬間に見えるのだが、おじいちゃんは私が生まれる前に亡くなっているし、おばさんになるはずだった人は私の誕生日に亡くなったりしていて、もしかしたら先祖なのかな、と思い、特に怖がらず周りにいうこともなく、成長するにつれて見えなくなっていった。見えていたのが夕方だったので、光の加減でそう見えていたのかもしれないし、本当に霊的なものだったのかもしれない。しかし、それから今に至るまで所謂心霊体験はないし、小さい頃母親に「幽霊なんかよりママの方が怖いでしょ!」と言われて納得したのでそれから特に幽霊を怖がることもなかった。

実家は先程述べたように知り合いがよくくるような田舎で、ご近所付き合いや季節ごとの風習もよくあった。うちは親戚たちの本家で、お盆には親戚が集まった。長男である祖父が早くに亡くなってしまったので、嫁に来た母親は毎年客をもてなすのに大変そうだった。私は幼い頃から母親に「姑がいるような田舎には絶対に嫁がない方が良い」と言われて育った。母親の苦労を真横で見て育った私は、将来田舎には絶対に嫁がないだろう。

一人っ子で、大勢の大人たちに囲まれて育った私は、めちゃくちゃおとなしくて内気な子供だった。同年代の遊び相手は家にはいなかったし、専ら母親に甘えていた。母親以外には人見知りの嵐だし、近所の人と会っても自分から挨拶なんてできなかった。もし私が事件を起こしたり、巻き込まれたりしても、近所の人は「挨拶もしてくれるいい子でしたよ」なんて言ってくれないだろう。

そんな母親依存症だった私が幼稚園に通い始めた時、毎朝母親と離れるのが嫌で泣いていた。あまり幼稚園の記憶はないのだが、2回こっぴどく𠮟られた記憶がある。

一回目は男の子をいじめた時だ。
なぜかその時、私は一人の男の子にいじわるすることにハマっていた。
タオルをとって追いかけさせたりしていたら、先生に一人だけ呼び出されてめちゃくちゃ怒られた。めちゃくちゃ怒られたことがなかったので、びっくりしてめちゃくちゃ泣いてしまった。その時、人にいじわるしてはいけないのだな、と学んだ。

二回目は先生のお話し中友達と2人でふざけすぎて教室を追い出された時だ。園庭に追い出された私は、またもや怒られたことにびっくりして大泣きしていたのだが、友達の方はケロッとしていて私達はそのまま園庭で暫く遊んだ。

更に、幼稚園での宿泊学習のエピソードも盛り込みたい。
どこか田舎に宿泊しにいったのだが、高台の広場で園児たちが駆けずり回るなか、私は突然駆けずり回るのをやめて景色が良く見える場所に座った。意味が分からない。友達と一緒に遊んでくれ私。変な奴にならないでくれ。私はこれから一生私と付き合っていかなければならないのだから。
しばらくして先生が心配してやって来たのだが、ただ私は一人で景色を見たかっただけなので鬱陶しいな、と思っていた。

あの時鬱陶しい先生について行っていれば今後の人生は変わっていたのだろうか。
とにかくこんな感じで私の幼少期はすぎていった。変な子供で今思い出すと自分がとてつもなく恥ずかしい。
大人になって思い出すと、幼少期の変な思い出ばかりを取り出してしまうな。