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48|9 2020年8月31日 [タイトル未定]

 これほど月曜日を待ちわびたことがあっただろうか。この国での買い物は曜日と時間との闘いである。トイレットペーパーもゴミ袋も大家か同居人が用意したのかわからないものを使っていたのでどこか申し訳なさがあった。こういう感情を持たない人間の方が人生、得するような気もするがその域に達することは一生ないだろう。
 朝晩は意外と冷たい風が流れてくるようになったのでいよいよ紅茶を買いに行くことにした。失礼があってはいけないので最近は半袖短パンに下駄という浮浪者のような服装をしていたので久しぶりに襟の付いた服を着ていくことにした。店は紅茶屋には珍しく店内は広く、紅茶以外の商品が目立つように置かれていた。紅茶を買うときは大体2種類買うことにしている。消極的な言い方をすれば片方があまり気に入らなかった時のためで、良く言えば気分に合わせて飲み分けたいからだ。中国産のホワイトティー、Pai Mu Tanとオレンジ風味のブラックティーを50gずつ、合わせて8ユーロ。早速夜に両方飲んでみたが、どうもどちらとも風味に欠けており、気の抜けたような印象を受けた。もしかしたら管理方法があまり良くないのか、わりと古くなってしまっているのか、そもそもこういう味なのかもしれない。正直言って納得できる紅茶ではなかった。次は違う店を試してみることにする。
 元職場のIさんに送る写真を撮ろうかとシウダデラの辺りを散歩しているときに暇だったので大学時代の友達のHに電話を掛けてみたが、応答はなかった。日本時間ではそろそろ仕事が終わるころだと思っていたが、あとで掛けなおしてくるだろう。気持ちのいい風は流れて来るが、太陽にずっと当たっているとじわりと背中が汗ばむのがわかる。飢え死にする前に食料を手に入れることにしたので、もはや行きつけになりつつあるEROSKIの入り口の自動ドアを通ったところでHから着信があった。少しの間話していたが、こちらが室内に入り、相手は電波飛び交い人間が溢れかえる東京の高架下にいたせいか途中で切れてしまった。スペインの電波に文句をつけていたが、頭の中では東京がいつも悪であることにしてある。
 帰ってくると大家が卓上ランプを買ってきてくれたが、頼んであった電球色のランプはなかったようだが、とりあえずは電球の使えるものを選んできてくれた。とても落ち着ける光ではなく、目の覚めるような白すぎる白い光だったので、電球色のものを早急に入手するという至上命題が確立された。
 強すぎる白の下、推薦図書をkindleで読んでいると、HからLINEが来て「ちゃんとインスタ投稿しなよ」「しないの!?」と催促されたので週1回程度で投稿することにした。マドリードにいたときは毎日投稿していたが、あまりにもネタがないので大変だった記憶がある。こんな苦行は誰かに頼まれでもしない限りやるものではないな。でもこうやって誰かに求められると嬉しいものだ。

(9/1 17:52 パンプローナ自室にて執筆)


現在、海外の大学院に通っています。是非、よろしくお願いします。