社会的孤立と孤独のない社会を目指す

主に保護司の活動について書いています。 学びの機会に恵まれない人を支援する活動も始めま…

社会的孤立と孤独のない社会を目指す

主に保護司の活動について書いています。 学びの機会に恵まれない人を支援する活動も始めました。 https://multipotential.biz/

最近の記事

「対話」から始める

保護司の高齢化が進み、若手のなり手がいないことが問題となっています。 実は、これは保護司だけに見られる現象ではなく、『継続して運営に関わらなければならないもの』に共通するようで、自治会・町内会やこども会など、『長い歴史や社会的な位置づけをもつ様々な組織や団体』も同じ問題を抱えているとのことです。 認定特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会理事・事務局長の後藤麻理子さんは、「一緒にやる」という関係性をつくるために、次のようなステップが必要と指摘しています。

    • 依存症的な傾向がある場合の生活環境調整

      今日は、保護司対象の研修で、生活環境調整についての事例研究に参加しました。 提示された事例についてグループディスカッションするのですが、その中に麻薬依存とギャンブル依存の事例がありました。 どちらの場合も、身元引受人が対象者を、①理解した上で、②しっかり監督する必要があるようです。 ①対象者を理解する 「またクスリやってるんじゃないでしょうね」とか「どうしてパチンコが我慢できないの」というようなことを言ってしまわないよう、身元引受人の方にも心理面に配慮した対応の方法を学

      • 7月は『社会を明るくする運動』強調月間です。

        岸田総理が胸に 黄色い羽をつけているのをご存知ですか? 黄色い羽は 「犯罪に戻らない・戻さない」という強い意志が込められた 再犯防止キャンペーンのシンボルです。 『幸福(しあわせ)の黄色い羽根』運動について 7月は「社会を明るくする運動」強調月間です。 法務省『社会を明るくする運動』について さて今日は、更生を扱った映画鑑賞に参加しまして、犯罪を犯した青年が逃げ込んだ村で知り合ったおばあちゃんや周りの人々との交流を通じて、自首する決意をするという映画を鑑賞しました。

        • 地方を支える少年院の立ち直りプログラム

          少年の立ち直り × 地方創生のススメ (少年院における社会貢献活動) 私は保護司としても活動しています。一度犯罪を犯してしまった人たちを再び社会で受け入れることは、古今東西かかわらずになかなか難しいことです。 ですが、いつまでも少年院や刑務所に収監しておくことはできません。人道的な意味合いでもそうですが、何よりも経済的な理由からです。少年院や刑務所は私たちの支払う税金で運営されています。収監されている人たちが一日も早く立ち直り、仕事をして納税する側になってくれる方がいいの

          精神疾患を地域で受け入れるウィスコンシン州のプログラム

          精神疾患を持つ患者の地域社会での受け入れについて、米国ウィスコンシン州が進める『コミュニティ・サポート・プログラム』(CSP:Community Support Program)が公開されているので見てみました。 Community Support Programs | Wisconsin Department of Health Services プログラムが重視する価値観 ・協働:サービス提供者と利用者が好ましい結果を得るために協働する。 ・希望:CSPは利用者の容態

          精神疾患を地域で受け入れるウィスコンシン州のプログラム

          いじめ防止プログラム:MTSS

          発達障害の子のほとんどが避けて通れないのが「いじめ」問題。発達障害はその特性によって一人ひとりの困り感は大きく違うのですが、「集団行動を乱す行動をとる」とみなされてしまいがちです。 たとえば、次のような困難がみられます。 ADHD(注意欠陥多動性障害)で落ち着きがなく衝動的な言動が目立 ASD(自閉症スペクトラム障害)で場の雰囲気にそぐわない言動をとる DCD(協調運動障害)で集団の動きについていけないほど不器用さが目立つ。 最大の問題は、先生の中に「集団行動を乱す

          自閉症の子どもを持つ家族を支援する

          先日、発達障害についての研修会に参加しました。こういう研修会はたいてい、発達障害を持つ家族がいるとか、発達障害の子を担当する学校の先生とかの参加がほとんどなのですが、身近に発達障害の人がいるわけではないのに参加されている人が何人かいました。 熱心にメモを取りながら聴く姿が素晴らしいと思いました。こういう人たちが増えていってくれたらいいですよね。 発達障害の人が家族にいると、家族はどうしても「周りに迷惑をかけてはいけない」という思いが強くなり、人出が多いところを避けたり、外

          自閉症の子どもを持つ家族を支援する

          精神疾患への偏見をなくすために出来ること

          精神疾患に対して、社会的に様々な偏見や差別があるのは日本に限ったことではありません。 こちらの記事では、アメリカ社会で生きる精神疾患のある人たちに、社会の偏見をなくすためにどう振舞ったらいいか、アドバイスが書いてあります。 ・精神疾患について隠さずに話す。  (Talk Openly about Mental Health) ・(精神疾患について)学ぶ。他の人にも学んでもらう。  (Educate Yourself and Others)  →自分の経験を話したり、偏見

          精神疾患への偏見をなくすために出来ること

          厚労省が2004年に発表した精神疾患の「入院医療中心から地域生活中心へ」。現状は…?

          2021年ごろまで、習い事でお世話になっていた先生は、地域の自治会長を長年務めているだけでなく、民生委員もしてらっしゃいました。災害時に避難指示が出たときは、地域の障害がある方の家を訪問し、避難の支援などしていると聞き、「立派な方だな」と思っていました。 その先生がある日、雑談の中でこう言い始めました。 「この間、近くのスーパーにいったら、変な声を出しながら口を半開きで歩いている男がいたのよ。付き添いがいて、腕をつかんで勝手に動き回らないようにしてたけど、言うことを聞かな

          厚労省が2004年に発表した精神疾患の「入院医療中心から地域生活中心へ」。現状は…?

          精神疾患の一般認知:うつ病に対する認識は改善、統合失調症は悪化

          今回ご紹介するのは、アメリカで行われた精神疾患に対する一般の人々の認識(主に偏見や差別)が22年間でどのように変化したかを調査した研究です。 対象となる精神疾患は、うつ病、統合失調症、アルコール依存症です。この3つの疾患に対して、何が原因と思うか、患者についてどう思うか(暴力的など)、受容できるか否かについて、一般の人々がどのような認識を持っているかを調査しています。 第一回目の調査は1996年、第二回目は2006年、第三回目は2018年に実施されました。調査対象者の人数

          精神疾患の一般認知:うつ病に対する認識は改善、統合失調症は悪化

          韓国の大学での障害認識プログラム

          韓国の大学で、障害認識プログラム(disability awareness program)を実施したところ、受講した学生は受講しない学生よりも障害認識が高まることが確認されたそうです。 気になるのはその中身なんですが、まず「特別支援教育クラスの基礎」(foundation of special education class )というテーマで、障害の定義/原因/特徴/教育戦略を週3時間を受講し、その後、16週に及ぶ講義を受講します。各週の講義内容は以下のとおりです。 第

          韓国の大学での障害認識プログラム

          『ドラマに描かれた自閉症を視聴者は、どう受容したか』①

          自閉症について、講演やワークショップのような形で理解を呼びかけることはよく行われていると思いますが、普段から自閉症の人に接する機会のない人にはなかなか理解してもらえないことが多いです。 ですので、私個人としては映画やドラマには期待しています。自閉症を抱えて生きる人の目線で世の中を見ることで、その人生を仮体験できるため、感情移入しやすいと考えるからです。 ただ、描かれ方によっては、差別や偏見を助長することになりかねないので、キャラの作り方やストーリー展開には厳しい目を向けて

          『ドラマに描かれた自閉症を視聴者は、どう受容したか』①

          社会による障害の受容

          中田洋二郎氏が2017年の障害受容に関する講演の中で、障害の「社会受容」について取り上げています。それによると、「社会受容」という概念が生まれたのは2002年で、それまでは障害受容というと個人の受容ばかりが強調されていたようです。 この中で、子どもが産まれてすぐに告知をうけたダウン症児の保護者の方と、子どもが4歳になってようやく診断がおりた自閉症児の保護者の方へのヒアリングが紹介されています。 ダウン症児の場合: 保護者にまったく心の準備ができていない状態で告知され、保護