発達検査を勧められたら…
最近、Aさんという公職にある方が、学校の先生が子どもの様子を心配して保護者に発達検査を勧めることに対し、「人様の子どもを障害者扱いするなんて、とんでもない。(その保護者は)教師がちょっと工夫すれば学校で問題なく過ごせるはずなのに、と話していた。発達検査を勧めるのは教師の力量不足でしかない」と非難されているのを聞きました。
実は、私はこれまで、学校の先生方に発達障害のことを知っていただく活動に力を入れており、保護者の方にも「診断書が出ることで、普段の授業や入試でも特性にあった支援を受けられるようになる」とお話してきました。
ですので、「発達検査を勧める最近の傾向はけしからん!」と言われると、「やっと学校の先生方の意識が高まってきたのに・・・今の状況になるまで何年かかったと思ってんの⁈」と、ついつい反撃したくなってしまいます。
その気持ちをグッと抑えて、「でも、発達検査を受けることで、合理的配慮が受けられるようになるんですよ?もしかしたら、学校の先生も保護者の方も思いもよらない特性を持っていて、それが学校の勉強に悪影響を与えている可能性もあります。何もなければ何もないでいいじゃないですか。特性を知るつもりで受けてみても悪くないと思いますよ」というようなことをお伝えしてみました。
Aさんは、まさか私が反対意見を言うとは思っておられなかったようで、「正しいことを言っているのになぜ?」というお気持ちが表情にありありと出てました。でも、Aさんは、保護者の方の言い分だけ聞き、学校の先生の言い分は聞いていないのです。「批判する前に、学校側の言い分も聞いてくれたらいいのに」とついつい思ってしまいました。
学校に対して文句を言いたくなったら、「自分がその先生の代わりをするとしたら・・・?」と考えてみるといいと思います。果たして、数十人の子どもたちに怪我をさせず、いじめやけんかもさせず、一人ひとりの個性に合った教育をし、成績も向上させる、なんてことができるでしょうか?私は、こんなこと誰にでもできることではないと思います。
特別支援に抵抗がある保護者の方は多いかもしれません。ですが、早い時期に適切な特別支援を受けることができれば、青年期、成人後に、見違えるほど落ち着き、社会的にもきちんと自立して生活できるようになります。
もちろん、特別支援を受けなくても、そうなる人もいるかもしれません。ですが、他の子と同じレベルを求められることで自信を無くしたり、学校を怖がったりしたりと、深刻な二次障害を引き起こすこともあるのです。
もし、発達検査を受けるように勧められたら、「わが子を守るために学校が協力してくれている」と考えてみてください。手厚い支援を受けて、十年後に自立することを目指す、というのはどうでしょうか?
「うちの子を障害者扱いして・・・」と憤るということは、その人の中に障害者を差別する気持ちがあるということです。それを周りの人に話すと、逆に、お子さんに障害がある方は深く傷ついてしまいますよね。
どうか、発達検査を受けることも、何等かの診断名が付くことも、お子さんの人生にとってマイナスになることは決してないことをご理解いただけると嬉しいです。
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