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「対話」から始める

保護司の高齢化が進み、若手のなり手がいないことが問題となっています。

実は、これは保護司だけに見られる現象ではなく、『継続して運営に関わらなければならないもの』に共通するようで、自治会・町内会やこども会など、『長い歴史や社会的な位置づけをもつ様々な組織や団体』も同じ問題を抱えているとのことです。

認定特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会理事・事務局長の後藤麻理子さんは、「一緒にやる」という関係性をつくるために、次のようなステップが必要と指摘しています。

STEP 1:共有する段階
対話を重ねることによってお互いのことを知り合う段階。
自分が抱える課題や問題意識、持っている社会資源を双方向に話すことで共有する。

STEP 2:共感する段階
お互いの共有点、そうそう、なるほど、実は私も…ということを探し、共通の課題とミッションを見つけ確認し合う。

STEP 3:共働する段階
やるべきこのと目的、目標を具体的に設定し、どのように進めるかを決め、それでは一緒にやりましょうという気持ちと対等な関係を築く。

STEP 4:共創する段階
企画に沿って一緒に活動をはじめる。PDCAサイクルで改善を重ね、独りでは生み出せなかった相乗効果や付加価値を実感する。

そして大切なのは、『分野や領域を"越境"できるかどうか』ということだそうです。一見、変化に対して柔軟なように見える人でも、その人にとって根幹の部分、あるいは、その人に劇的な影響を与えることに対しては、変化を激しく拒否し、変化を求める人に攻撃的になってしまうことがあります。ですが、そういう部分こそ実は変化が必要な部分なのかもしれないと思ったりします。

現在の若い人たちがボランティアに無関心なわけではないようで、単発的なボランティアや趣味を楽しめるようなボランティアへの関心は非常に高いそうです。

ただ、若い人たちの中には、非正規雇用など、給料を得るための労働に多くの時間を費やさなければならない人が増えています。その時間を割いて、収入には結びつかないボランティアに励め、というのも酷な話です。

保護司を始め、地域活動を支えてこられた方々は、若い人たちが自分の仕事をそっくりそのまま引き継いでくれることを期待されていると思います。専業主婦がごく当たり前だった世代の人たち、つまり、男性は家庭を妻に任せきり、女性は職業を持たずに家事や育児に専念する、という時代では、時間的に負担の大きいボランティアでも何とかこなせていたかもしれません。

ですが、今の若い人たちには、たとえば妻に仕事をさせずに家族を養っていく、というライフスタイルは非常に難しいのです。継続的に関わる必要があるボランティアを今後も続けていきたいのであれば、思い切って不要な業務を見直し、短時間でもできる負担の少ない作業に絞り込む必要があるということでしょうね。

そして、若い人は上の世代を批判するだけでなく、いつか自分たちが上の世代になった時は、自分たちより若い人たちが取り組みやすい体制に変えることに合意しなければならない立場になり得る、ということを忘れることなく、敬意を持って年配の人たちに提言をしていく必要があるのだと思います。

後藤麻理子(2023)「変化する組織への使命感と所属意識」、更生保護 2023年6月号、P6-11。

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