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炎上が理解できない

最近またデジタルタトゥー的な問題が炎上しているらしい。
ネットでは、加害者に一生償わせろだとか、親を誹謗中傷する声や後悔させてやれみたいな意見で溢れていて、見ていて怖い。
私にはなんでみんなそんな怒っているのかわからない。
いや私だって、たとえばいじめで自殺まで追い込んだりとか、ひどい殺人事件の時などは、「一生檻の中にいてくれ…」と思う。
でも今回は回転寿司チェーンの悪戯行為が表面化しただけなのだ。同じようなことは10年くらい前にも問題になったし、加害者はみんな未成年だ。まぁ確かに少し考えは足りないみたいだが、誰だってこんな時期はあった。仲間内で盛り上がって、それがエスカレートして、罪悪感なくやってしまったのだと思う。
当然被害者は嫌な気分になっただろうし、企業のイメージが損なわれることもあるだろう。その点はしっかりと当事者たちの間で折り合いをつけて欲しいし、加害者は反省をするべきだ。
ただ、それを当事者以外の人々が囃し立て、損害賠償がどうのとか、見せしめにしろだとか、クソ親とか言うのには違和感を感じる。
繰り返しになるが、何をそんなに怒っているのだろう?
自分がもしそういう被害に遭うかもという可能性を考えているのであれば、それは今までもあったし、嫌なら行かなければいい。そんな毎日回転寿司を食べてるのならまぁわかるが、ほとんどの場合はそんな被害には遭わないだろうし、怒っている人の殆どは酷い実害を受けたわけではなさそうだ。
なのに怒りを露わにして、普通なら言ってはいけないような罵声をネットに書き込む。
一体どういう心理なのだろう?
日頃の鬱憤を「何を言ってもいい悪いやつ」を見つけることで晴らそうとしているのだろうか?
なら殺人とか過失事故の方がもっと炎上するだろう。
そういえば「クソガキ」という言葉も何度も見た。
加害者が未成年だからいけないのだろうか?
だが、未成年だからこそ考えが足りなかったという擁護の仕方もあるだろう。それとも、相手が自分より弱い立場で、それなのに「普通はやらない」馬鹿な行為をしたことに腹を立てているのだろうか。
それは「自分より弱い奴は調子に乗るな」という態度であって、なんなら加害者たちより陰湿ではないか。
それとも、人の人生が台無しになっていくのを見て楽しんでいるのだろうか。
自分より弱いやつがいる。1人ライバルが減った。こいつよりはマシだと思って、こいつなら攻撃しても構わないと思うことで、楽しんでいるのか。だとしたら、ひどく残酷だ。
炎上させる彼らには、自分がもしかしたら「そっち側」に行くかもしれないという思考が欠けている。
自分の子どもはそうならない。自分はそんな馬鹿なことをしない。と思っているのだろう。だから、酷い言葉を平気で言える。
だが、加害者たちもそう思っていたからこそ、ヘラヘラしながらあのような行為をしてしまったのではないか?
あの未成年たちの親だって、自分の子どもがそんなことするとは思っていなかったに違いない。
一歩間違っていたら自分もそうなっていたかもしれない隣人の気持ちになって考えてみようじゃないか。
もちろん、加害者のしたことは謝ってすぐ許される行為ではない。
だがなぜそれをしたのだろうと考え、今どのような気持ちなのかを想像すること。それが他者理解であり、この社会での基本的なスキルではないか。

炎上させる側の方がよっぽど非常識だと、私は思うのだ。 

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