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ちょっと不思議な趣味の本 -アカデミーヒルズの本棚から-

アカデミーヒルズの館内を書棚を眺めながら歩いていると、不思議なタイトルの本にくぎ付けになることがあります。
今回は、「趣味」のコーナーでくぎ付けになった、ちょっと不思議な本を出版社別に紹介します。

グラフィック社から出版されている2冊

グラフィック社は、webサイトによると、デザイン書、美術書を中心に、さまざまなテーマをユニークな視点でとらえ、ビジュアル性と実用性に重点をおいた書籍を出版しています。
実用的かは「?」ですが、ビジュアル性のある2冊を紹介します。

1冊目は『魔女の手引書 フランス流魔法のレシピ集』です。
本の裏表紙には、「彼の心を動かしたい、お金で苦労したくない、元気で毎日を過ごしたい、そんな願いを、この手引書がかなえます。不思議でおしゃれなおまじないとおいしいレシピ満載!」と書かれています。
著者のブリジット・ビュラール=コルドーは、料理文学賞アントナン・カレーム賞を受賞した前著『魔法の魔術書:魔女の秘密』を含めた4冊の本を発表した後、魔女としての本能を満たしたいという気持ちが強まり、この本を著したそうです!
魔女のつぶやき、呪文、おまじないのツボ、魔女の秘密、ラッキーチャーム等々、ジャムや紅茶、ポタージュスープなどの50のレシピとともに掲載されています。
捉えどころのない不思議な本です!

2冊目は、『ブキャナン=スミスの斧本 焚き火、キャンプ、薪ストープ好き必携!』です。
最初に感じたのは「斧?」でした。都市部に住んでいる私にとっては斧は遠い存在で、それを深める本にニーズがあるのかな?という素朴な疑問が浮かびました。
一方で斧は人類最古の道具で、約200万年前に原人たちが石器として作った斧らしきものがあり、それ以来、人類は鋭さとバランスと効率性が向上するように改善をくりかえしてきたそうです。
上記は「斧の小史」という章に書かれている内容ですが、斧の歴史の長さと奥深さに、心を打たれてしまいました。
そして、著者のブキャナン=スミス氏は斧の第一人者として紹介されており、まえがきには「本書は、筆者お気に入りの道具にあてた恋文だ」とまで表現されているほどで、斧とはどこまでも私的なものなのだそうです。
それは、自分に合うサイズの斧でなければならないからです。そのために「ハリーの法則」(自分に合う斧のサイズの見極め方法)があるそうです。そして効率性に基づいた「斧の振り方」の解説も描かれていました。正に、鋭さとバランスと効率が重要なことが少しわかったような気がします。
私が自分専用の斧を購入するシーンは想像できないにしても、目次はとても魅力で、著者のブキャナン氏の熱い想いを感じる本です。
・斧を知る
・斧を買う
・斧を使う
・斧の手入れ

日経ナショナルジオグラフィック社から出版されている2冊

次の出版社は、日経ナショナルジオグラフィック社です。
米国の「ナショナル ジオグラフィック」誌は、同協会の第2代会長グラハム・ベルの「未知の地球をわかりやすく伝える」との編集方針のもとに、自然・動物から人々の暮らし、科学など、地球で起きているすべてのことを伝える雑誌で、世界180カ国・計850万人に読まれいるそうです。その日本版を出版しているのが、日経ナショナルグラフィック社です。
「未知の地球をわかりやすく伝える」という意味では、そうかもしれないと思った2冊を紹介します。

1冊目は『世界の幽霊出現禄』です。
新聞や手紙、報告書など残された資料をもとに、その事象について経緯から結果までを詳細に解説した本です。
一番古い幽霊は、旧約聖書のサムエル紀に、霊を呼び寄せて何かを尋ねたという記録があるそうです。その紀元前8世紀に起きたエンドル(イスラエル)の出来事に始まり、最新は2011年にイングランドの出来事まで65話が収められています。ちなみに最新の幽霊は、イングランドのサリーにあるソープ・パークで、新しいジェットコースターを建設しようとしたら、首のない僧侶を見た等の複数の不可解な現象が起こりました。調べたところ墓地の跡地の可能性が高いことが分かったというお話です。
この本のユニークなところは、当時の情報をもとに何が起きたかが解説されている本文の最後に、「考察」として客観的に俯瞰したその出来事に対しての意見が記載されている点です。
そして「はじめに」では、以下のように紹介されています。

本書で紹介する話に、
悪霊の仕業だとされているものはほとんどない。
研究によれば、最も世間を驚かせたポルターガイストのケースでも、
「悪意」は人から生じている可能性が高いという。
人がこの世のものでも人間のものでもない力の場を利用して、
心霊現象を起こしていたのだと。

『世界の幽霊出現禄』のはじめに

とは言っても、読んでいると背筋が寒くなる、猛暑にはお薦めの本です。

2冊目は『西洋アンティーク・ボードゲーム 19世紀に愛された遊びの世界』です。
私の中で、ボードゲーム=モノポリーのイメージが強かったため、西洋アンティークという単語に魅かれて選んだ1冊です。
16世紀に現れた印刷物としてのボードゲームは、19世紀に入り美しさと創意が追及されるようになると高価な手採色のゲームの黄金期に入ります。そして印刷による安価な大量生産の時代に入ると、扱うテーマやデザインが多様になり、宗教や道徳、ギャンブル、観光旅行や広告など、当時のヨーロッパの社会風俗を反映したものだったそうです。
この本は、このような西洋ボードゲームの近代史をまとめた一冊です。
パリの大観覧車をボードにしたデザインや、回転木馬のゲームなど、美術本のようにパラパラとページをめくるだけでも楽しめる本です。
ところで、先日「新型コロナウイルス禍の沈静化で復活したリアルな交流を楽しむツールとしてボードゲームが若者を魅了する」という記事を日経新聞で読みました。人気マンガを題材にした商品も相次いでいるとのこと。
ボードゲームは、昔も今も交流ツールとして定番なのですね。

※ふと思い出したのですが。。。
20世紀に米国で生まれたモノポリーは4年に一度世界大会が開催されます。2004年はこの六本木ヒルズのアカデミーヒルズで開催されました。
また、それを記念してモノポリー 六本木ヒルズエディション が発売されました!

ダイヤモンド社から出版されている2冊

ダイヤモンド社といえばビジネス書のイメージが強いのですが、意外な2冊を紹介します。

1冊目は『自分で占う現在と未来、運命と変化の時 タロット 基本のリーディング大全』です。
ダイヤモンド社=ビジネス書≠タロット???ということで、選びました。
冒頭の「タロットは新しい視点をもたらす」という章では、以下のように紹介されています。

タロットは、私たちの直観を目覚めさせ、自分の内なる世界に触れさせるためのツールです。神話の世界の英雄や、冒険と自己発見の道筋に、たとえを使って導くものと言えるでしょう。
(中略)
タロットカードは、他の方法ではアクセスできない宇宙の次元と私たちとをつなぐものです。
タロットカードは必ずしも予言をするものではありませんが、そうなることがよくあります。タロットは私たちの悩みに、つねに別の見方や新たな視点をもたらしてくれるのです。

『自分で占う現在と未来、運命と変化の時 タロット 基本のリーディング大全』より

タロット=占いというイメージが強い私にとっては、上記の文章は意外でした。本の帯にも「本当の自分、意外な自分を発見し、あなたに秘められた可能性に気付けます」との記載も。。
新しい自分を発見するためにタロットにトライしてみるのは良いかもしれませんね。この文章を読んでいると、ダイヤモンド社から出版されている訳が分かるような気がしました。

2冊目は『最強の神様100』です。
この本についても、ダイヤモンド社=ビジネス書≠神様???ということで選んでみました。
この本の冒頭で、以下のことが書かれています。
・あなたに力を貸してくれる神様は必ずいる!!
・正しい神頼みの方法がある
・ご利益を得る仕組み
・神様のために、ひと肌脱いでもらえませんか?

見開き1ページで一人の神様を紹介しています。その中には、ご利益を得るためにしなければならないこと(神様からの頼まれごと)が記載をされています。それが上記の「ひと肌脱ぐ」ことになります。
29番目の学問の神「天満大自在天神」のページでは、受験の合格では定番の神様ですが、「合格よりも本質的なご利益は、学ぶ姿勢を身に付けること」、「変化は学び続けることから生まれます」と記載されていました。
神様のご利益を得るためには、神様からの頼まれごと(上記だと「学ぶ姿勢を身に付けること」)を実行することが必要になってくるということですね。
そう考えると、こちらの本もダイヤモンド社から出版されている訳が分かったような気がします。
ダイヤモンド社からの2冊は、ユニーク自己啓発本ですね。

書棚を眺めながら館内を歩くだけで、様々な気づきがありました!

アカデミーヒルズ 熊田ふみ子

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