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文月に

流れる汗が
黒いタンクトップを濡らす
七月の真昼の日差しが肌を焦がす

日傘もささず目を細め
真っ白な入道雲を見上げる

紫陽花は色も移り枯れていた
鮮やかに雨粒を転し咲いたこの花を
立ち止まり見惚れる事も
今年はほとんど無かったと
寂しい気持ちを蝉の声が
賑やかに かき消していく

また来年
季節が巡れば艶やかに咲ける花達が羨ましい

この身はもう 夏が来る度に痩せていき
あの日の思い出さえも
ただ遠く霞んでいくだけで
ただ消えていくだけで…

背中を伝う汗と同時に
頬を流れた雫が…音もなく

アスファルトの黒い影へと

                           一粒  落ちていく

                                                   『なつのあや』








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来て下さって 本当にありがとうございます! 読書が大好きで 気がつけば自分でも数え切れない程 詩や短編を 書き続けてきました いつか 本を出したいです! これからも自分ペースで 書き溜めたものを載せていきますので お時間がある時には また是非 覗いてみてください(○´ω`○)ノ