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あるじと小僧

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飼い主である「あるじ」と飼い犬「小僧」の日常を、それぞれの視点からお届けしています。
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これをやりたいんだ。

これをやりたいんだ。

あるじサイド1歳を超え、小僧は体重11㎏の中型犬に成長した。細かった脚はいつの間にか筋肉が発達し、後ろ足などは鶏もも肉のように弾力がある。毎日同じ距離を歩いているはずなのに、なぜ小僧の筋肉だけが発達していくのかは謎だが、大胸筋も大腿四頭筋も十分に育ち、今や立派なフレンチブルドッグだ。

険しい山でもその筋肉で簡単に登っていく小僧にたくましさを感じつつも、私にはひとつ、憧れているモノがあった。これだ

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小僧の仁義なき戦い

小僧の仁義なき戦い

小僧サイド夜の散歩とご飯を終えた俺は、投げ出されたあるじの足の間に入り、ぼんやりと出窓を叩く雨音を聞いていた。あるじは出窓に沿って置かれたソファで、本を読んでいる。雨降り散歩の後は、いい感じの疲労感だ。満腹なのも手伝って、俺はゆっくりと船を漕ぎ始めていた。そのとき。

雨の音に混じって、犬が唸るような音が近づいてくる。唸り声は家の前で止まった。高い機械音。あるじが帰ってきたときの音とよく似ているが

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トイレシートの攻防戦

トイレシートの攻防戦

あるじサイド8ヵ月齢を過ぎるまで、小僧はトイレの場所を覚えなかった。リビングの最北端の角地に2枚並べて敷いたペット用トイレシートは、取り替えられることなく静かに埃を被っている。
室内犬は散歩で用を足すこともあるが、室内に設置したトイレシート上ですることも覚えさせなければならない。台風、大雪、酷暑など、散歩に行けない日もあるからだ。

あるじとして小僧を迎え入れる前から、大量の書籍で犬の飼育について

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巨匠誕生

巨匠誕生

あるじサイド小僧はお腹が弱い。最初に我が家に来た日もお腹を壊し、血便まで出た。その後は落ち着いたものの、常に便は緩かった。便が緩くて困ることといえば、散歩時の排便だ。落ちた便を拾っても、地面には排便の思い出がこびりつく。毎回それを紙でできるだけ拭き取り、水を流してきれいにしなければならないのは、かなり気の重い作業だった。

ならば小僧が便をするときを見計らって、落下予測地点にあらかじめ紙を敷いてお

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年下の男

年下の男

年下の男性と暮らすのは初めてだった。
黒髪に金色のアッシュを入れた都会的な髪型、栗色の瞳は一見利発そうだが、角度を変えると小生意気な色が見え隠れしている。同年代と比べて細長く頼りない手足には、すでにいずれ強くなる男の片鱗があった。
一方、体を丸めて眠る姿はあまりに幼く、生まれたての赤子のように邪気がない。
彼は私が初めて見るタイプの男だった。

4㎏の肉塊三姉妹の一番下で、親戚も年上ばかりという環

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