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宮﨑まきこ【人生を描くライター】
2024年2月2日 13:14
小僧サイド夜の散歩とご飯を終えた俺は、投げ出されたあるじの足の間に入り、ぼんやりと出窓を叩く雨音を聞いていた。あるじは出窓に沿って置かれたソファで、本を読んでいる。雨降り散歩の後は、いい感じの疲労感だ。満腹なのも手伝って、俺はゆっくりと船を漕ぎ始めていた。そのとき。雨の音に混じって、犬が唸るような音が近づいてくる。唸り声は家の前で止まった。高い機械音。あるじが帰ってきたときの音とよく似ているが
2024年1月31日 12:08
あるじサイド8ヵ月齢を過ぎるまで、小僧はトイレの場所を覚えなかった。リビングの最北端の角地に2枚並べて敷いたペット用トイレシートは、取り替えられることなく静かに埃を被っている。室内犬は散歩で用を足すこともあるが、室内に設置したトイレシート上ですることも覚えさせなければならない。台風、大雪、酷暑など、散歩に行けない日もあるからだ。あるじとして小僧を迎え入れる前から、大量の書籍で犬の飼育について
2024年1月27日 11:21
あるじサイド小僧はお腹が弱い。最初に我が家に来た日もお腹を壊し、血便まで出た。その後は落ち着いたものの、常に便は緩かった。便が緩くて困ることといえば、散歩時の排便だ。落ちた便を拾っても、地面には排便の思い出がこびりつく。毎回それを紙でできるだけ拭き取り、水を流してきれいにしなければならないのは、かなり気の重い作業だった。ならば小僧が便をするときを見計らって、落下予測地点にあらかじめ紙を敷いてお
2022年9月25日 20:44
年下の男性と暮らすのは初めてだった。黒髪に金色のアッシュを入れた都会的な髪型、栗色の瞳は一見利発そうだが、角度を変えると小生意気な色が見え隠れしている。同年代と比べて細長く頼りない手足には、すでにいずれ強くなる男の片鱗があった。一方、体を丸めて眠る姿はあまりに幼く、生まれたての赤子のように邪気がない。彼は私が初めて見るタイプの男だった。4㎏の肉塊三姉妹の一番下で、親戚も年上ばかりという環