ベーシックインカムとティール組織とその先「労働競争と資本主義の限界を解決する」
ティール組織とその先の導入
ティール組織はざっと言えば、「労働の苦痛を軽減した組織の共通点」から発見された組織だ。月曜日が苦痛にならない、労働の苦痛を軽減した組織として注目されるようになった。
しかし、このティールというのはインテグラル理論の中ではまだ過渡期でしかない。言ってみれば、ドラゴンボールの中では身勝手の極意まであるなかで、ようやくスーパーサイヤ人になった程度。ワンピースでもギア5まであるなかでギア2みたいなものである。ようはティール組織のその先のポテンシャルはとにかく大きい。
ティール組織→ターコイズ組織→インディゴ組織→ヴァイオレット組織→ウルトラヴァイオレット組織→クリアライト組織→さらにその先→究極型組織
とある。
ティール組織がまだ全然道半ばどころか「ふりだし」である。つまり、ティール組織がそんなに凄いなら、この先を、いっそのこと究極の組織を考えよう!!というのが究極型パラダイムである。
そしてその目的は今のところ「労働競争と資本主義の限界を解決するために使う」べきだろう。
インテグラル理論とティール組織、そしてその先の役割「労働競争と資本主義の限界を解決する」
結論から言えば、ティール組織も、ティール組織のその先も、究極型組織も、今のところ労働競争と資本主義の限界を解決する手段として使うのがよいだろう。
今の労働競争とお金の仕組みには限界が来ている。これを解決する手段としてベーシックインカムを多くの人が言及している。
ざっと言えば、ベーシックインカムとはお金と労働の強制から解放する手段である。詳しくは以下の記事が細かく説明している。
このベーシックインカムを実現するための手段としても、ベーシックインカムが実現されない間の代替品としても、実現された後の社会のためにもこのティール組織とその先が役立つと考えている。
労働競争と資本主義(お金を稼ぐこと)の限界
詳しいことは上の二つの記事が論理だって詳しく説明しているが、ここでざっと言うならばこうなる。
労働競争と資本主義(お金を稼ぐこと)は、直接の暴力などの理不尽を抑えるブレーキ(間接的な暴力、正しさ)として機能しており、これまではざっと二つの性能によって広まってきた。
①自己強化力と強制力
・どんどん強化され、より参加せざるを得なくなっていく。
お金を稼ぐ人の意見が有利になり、お金を稼がない人の意見はお金が稼げないゆえに無視される。お金を稼ぐよう、より競争に駆り立てられて、それにより強制力は強くなり続ける。より競争が過剰になり、より前提を疑えなくなり、より強制参加となっていく。
よりお金を効率的に稼ぐ系の自己啓発本で町は溢れ、これを止めることはできなくなる。
②ブレーキがあるほうがよりアクセルを踏める
・アクセルとはローカルな価値観(狭い範囲でのみの正しさ)、お見合い制度など社会の維持に必要な「間違っているけれど豊かになれるアクセルとしての機能」
②はイノベーションを定義したシュンペーターが認めたことであり、お金というブレーキがあることでより社会や国家を大規模かつ安定的に動員することに成功した。これはメリットとしての側面も大きい。
・資本主義のメリット
民主主義国家、権威主義国家にせよ「Factfullness」が認めるように社会が日々良くなったのは、この①②の性質のおかげである。資本主義は暴力的な社会を食い止めることに成功した。そしてベーシックインカムが導入されるにせよお金のブレーキとしての機能は他の代替品が出るまでは使われ続けることになる。
インテグラル理論的に言えば、資本主義には強制的にオレンジ型社会にする機能がある。それまでの呪術的な生贄制度(マゼンタ)、暴力的な集団(レッド)、階級制度/奴隷制度(アンバー)の廃止をして成果主義(オレンジ)で進めることができた。が、そこで止めてしまったのだ。
労働競争と資本主義のデメリット「辛いのに強制参加で、しかも日々競争が強化されていく。その先に崩壊があるのに止まれない」
労働競争と資本主義の限界は①の「自己強化力と強制力」性質ゆえに起きている。①のブレーキが過剰になりすぎた結果、②のメリットが打ち消されつつあるのだ。
また社会が良くなったことで、ブレーキを掛ける必要があるアクセルが減り、資本主義のメリットが受けにくくなった。メリットが頭打ちになりつつあり、強制参加と競争過剰のデメリットが目立ち始めている。
競争の過剰により社会の維持に必要なインフラ、出生や、がないがしろにされる様々な問題が発生している。
とはいえ絶対値でみれば、生産性は上がり続け、労働時間こそ減り続けている。しかし、それを上回るほど苦しみも増している。たとえ前より早く家に帰れても、それ以上に資格を取る勉強をしないといけないなど「赤の女王」のような苦しみが増えている。お金を稼げる人も多くは激務で苦しい仕事をして稼ぐ状態になっている。
イノベーションにより社会の変革が激しいことは、効率化によって人を楽にするどころか、資本主義と競争の過剰により、むしろ走り続けることへの強制力を強めた。だからこの資本主義問題の解決を技術的なイノベーション「だけ」に委ねるわけにもいかない。
ベーシックインカムを実現する上での問題
この資本主義問題の解決方法は基本的にベーシックインカムと言われている。しかし、それ一本に絞ると国家規模の政策となり実現が現実的にまだ難しい。そもそも政府の政策実施力(つまり、強制参加とブレーキの過剰を軽減する役割)が①のせいで麻痺しているからだ。
やるべきだとして、やろうと動くとして、本当に動くのかという問題がある。政治が麻痺したのも、政府が間違っているのではなく、政府がお金と、労働競争、正しさの過剰に飲み込まれてしまっているからだ。だからこの資本主義問題の解決を政府の役割「だけ」に委ねるわけにもいかない。
そこでその間を繋ぐ役割としてティール組織とその先「も」必要となってくる。
そもそも人々の心がティールやターコイズあたりにあるのに、社会がオレンジのままなので疲弊しているともいえる。戦闘民族(レッド)の中で戦闘が苦痛ではないように、労働民族(オレンジ)の中で労働は苦痛ではなかっただろう。「24時間働けますか」の時代のように。しかし、私たちはもはやその価値観でいられなくなった。だから、苦痛になり始めたのである。
ベーシックインカムちゃんねるの「自給自足コミュニティ」の議論と合流する。
イノベーションを起こすこと、国家を動かす以外の方法が必要だとすると、政府関係者や公務員、研究者でもない人にもできる方法が必要になる。
この方法としてベーシックインカムちゃんねるでは「自給自足コミュニティ」が言及されている。これは極めてローカルなものであり、小さな集団でお金を介した労働以外で自給自足をできるようにするという方法だ。
この自給自足コミュニティは外にあるお金と労働競争からは逃れつつ、その国の法律には従うことで過度なアクセルによる暴走を防ぐことができる。
しかし、これらの自給自足コミュニティを支える仕組みの土台となるのはティール組織、あるいはより先の組織となるだろう。というのも、オレンジ型組織(無限の競争に駆り立てられる組織)に疲弊した人が、より先の組織を目指して自給自足コミュニティを構築するものだからだ。つまり究極型組織を目指すことも、自給自足コミュニティの目的となりうる。それもかなりメインの理由となりうる。
この点でこの文章の貨幣を否定する生産共同体と究極型組織の考え方は合流する。究極型組織は、ここでも大いに役立つことだろう。
過剰競争の先にも見出せるティール組織とその先
しかし、ティール組織が発見されたのはNPO法人だけでなく給与体系のある組織だった。それどころか、資本効率すらもティール組織のほうが良かった。資本効率がいいならば、なぜGAFAはティール組織じゃないんだという話になるが、これは運が絡むからである。
平均より少し上程度の能力のものが基本的には運の効果で一番上に立つ。そして一度そこに固まるとその地位は崩れにくいからだ。
しかし資本効率がいい以上はこれからは段々と社会全体がティール組織になっていくことも間違いない。
これが意味するのは、死地だと思われていた「労働競争と資本主義の限界」に活路を見出したということ。この意味は非常に大きい。
このため、労働競争と資本主義の限界に対する答えの一つが「ティール組織とその先」である。究極型組織を考えることはこの解決方法の一つたりうるだろう。
とはいえ、社会の基盤的な組織がオレンジ型組織からティール組織になったあとでも、ベーシックインカムが不要になるわけではない。ベーシックインカムを実施するよう動くべきだろう。
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