記事に書くのは「事実」か「否」か
唐突ですが、みなさんのエッセイや日記は、
事実をそのままに書きますか?
私のはおおむね事実ですが、
書きやすく、時系列を入れ替えたり、
少しだけ内容を変えることがありまして。
例えば、前回の記事「老い老い、なんつって」。
本当は、少しだけ事実と違う。
実際は「欠けた」ではなく「折れた」。
前歯が折れた、が事実である。
実は、noteを始める2年前、
疫病禍で娘の夢が潰えたり、母が亡くなったころから、ひどい歯切りをするようになった。
朝起きると、枕に血。そして、そうしているうちに、前歯と奥歯が折れてしまった。
「いやー、食いしばったねー」
とポルトガル人の歯科医にさわやかに言われつつ、前歯の脱着式の義歯を作ってもらったのが1年前。コレすなわち、この時に前歯を1本失っているということである。
そして、今回。
歯ぎしりは治まったものの、
大根スティックで、もう1本の前歯が折れた。
昔から歯は大切にしてきたし、
毎食後磨いているけれど、歯が折れた。
前歯が2本とも無いとか、何の罰ゲームか…
正確に言えば、まだ皮一枚で繋がっている。
が、いつ取れるか、ギリギリのところ。
舌で押すと、ガレージの扉みたいに90度に開いちゃったりなんかしてる。
「大人の歯が抜けたら、次はおばあちゃんの歯が生えてくるといいねぇ!」
という14歳の息子のお尻をつねりながら、不憫に思った夫が歯科医院に電話してくれた。
「ではあなたの予約は、6月15日の…」
「1ヶ月後? いやいやいや、それは困る。
明日にも取れそうなのに、そんなに待てない。これが取れると、ワイフは前歯がない。女性でそれはあんまりです」
するとしばらくの沈黙後、
「では1週間後に」と受付が言った。
この受付のリーゼントの年配女性は、30分ごとに外にタバコを吸いにいくが、なかなか話がわかる。
そして、1週間後。
今回の歯科医は、
仲代達也をガリガリにしてターバンを巻いた
ようなヒゲのインド人だった。
ニコリとも笑わず眉間にシワをよせ、
「では診てみましょう」
といって、目をカッと見開いて、私の口内を時間をかけて見てくださるが、推定10cmの距離で、先生が全く瞬きをしないのが気になってくる。私まで目を見開いてしまう。
乾きますよ…
私は目をぱちぱちさせて合図をしたが、
ニコリとも笑わずに、
「緊張しなくてもよい」
と言った。
伝わらないものである。
そして瞬きはないまま診察が終わり、今後の話になった。
ざっとまとめると、
・まずグラグラの歯を全部抜く。
・奥歯も食いしばりにより、治療が必要。
・全体で2年間かかる。
・でも、3ヶ月後には前歯に仮歯が入るから心配しなくて良い。
との事であった。
3ヶ月間、前歯なし…
2022年 夏…
絶望…
「3ヶ月間、Th [θ]の発音はどうしたらいいのか」といった、私の渾身のジョークにも歯科医はニコリともしないで言った。
「では早速6月1日から治療を始めましょう」
開始さえも、3週間後…
そこから2年…
明日にも取れそうなのに…
そして、受付でリーゼントが出してきた、治療見積もりは、日本行きの航空券より遥かに高額だった。
と、いうことで、
日本へ帰国することにしました。
来週日本へ帰ります。
こんな形で5年ぶりに日本へ帰国するとは。
そんなワケで、日本での手配、こちらでの諸々で忙しく、残念ですが、しばらく皆さんのところにお邪魔する頻度が落ちます。
だって行くと、ずーーーっと読んじゃうから。
用意も何もかも放って読んじゃうから。
独りよがりな更新になってしまいます。
ごめんなさい。
ということで、今回はオチはありませんが、
歯がオチそう。なんつってー。
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