『砂の街』(BFC3 幻の2回戦作)
調査本隊とはぐれて一週間、砂の海をさまよい続けた私は、発狂する一歩手間まで渇ききった状態で、この街にたどり着いた。乾燥し過ぎてきしむ喉から、水を飲ませて、と声にならない声を絞り出すと、そばにいた娘がすぐさま日陰の砂を掘り始め、穴の底に染み出し溜まった水をコップにすくってくれた。砂混じりの水は透きとおり、感覚のなくなった舌で舐めると、性的絶頂を錯覚するほど甘く刺激的だった。この辺りは大気汚染がひどくて雨水は飲料には適さず、この砂丘の砂にろ過された水が一番清潔なんです、と娘がど