PM不在の状況から、プロダクトマネージャー職を作った話
この記事はプロダクトマネージャー Advent Calendar 9日目の記事です。
こんにちは。AIQ株式会社でプロダクトマネージャー(以下、PM)をしている阿部(@abekei0317)です。
簡単に会社、組織の説明
AIQ株式会社(https://aiqlab.com/)は、現状はソーシャルメディアマーケティングの事業領域で、AI技術を活用したSaaSを提供しています。東京本社で、札幌にも拠点があります。累計28億円の資金調達を実施し、更なる成長を目指しているところです。
具体的には主に2つのSaaSプロダクトがあり、自分は新規プロダクトを担当しています(正式リリース前のためプロダクト名は伏せています…!)。
元々はPM不在で、セールス/CS⇄エンジニアでコミュニケーションを取りながら、エンジニアがPMっぽい動きをしながらプロダクトを伸ばしてきていましたが、プロダクトごとに明確にPM職を設置することになりました。
PM職を作った背景
22年7月に全社メンバーがオフラインで集まる会が実施されるタイミングがあり、その中の発表や会話の中で、プロダクトについて以下のような課題感があることに触れられていました。
経営陣から見た視点
プロダクトに関して、誰に何の責任を持たせるべきか悩んでいる
SaaSとしてのプロダクト開発体制を整備していきたい
開発メンバーから見た視点
一部の顧客の声を指標に開発している状態
開発したものについての評価ができていない
「プロダクトマネージャー職を設置して、責任を持って推進していくのが良さそうだよなぁ」とありきたりなことを思いつつも、自分が担当するプロダクト以外は詳しい課題感が掴みきれておらず、ヒアリングをして解像度をあげていくことにしました。
現状や課題の解像度をあげ、打ち手を整理
ビジネスサイド(セールス、CS、マーケ)、開発サイド、経営陣に一通りヒアリングを実施しました。
ヒアリングの中で、「実は過去にプロダクトオーナーの役割を設けたが、何でもやる人になってうまくいかず廃止した。それは避けたいね」というような話も出てきてため、出来るだけシンプルで、何をアウトプットするかが明確な整理にすることを意識して、以下の通りまとめました。
現状や課題の部分については、事業の急成長に伴い顧客数や従業員数、プロダクト数などが増えてきたことの影響で、課題として認識されるようになってきたものと捉えています。フェーズが変わったと言った方が良いかもしれません。
打ち手について、要は「プロダクトビジョン」「バリュープロポジション」「プロダクトロードマップ」「PRD」など、よく言われてるものをちゃんと言語化・アウトプットしてみましょうというすごくベーシックな整理なのですが、「自社で課題感があることが、基本的な打ち手を実行することで解決に繋がりそう」という腹落ち感を醸成した上で進められたのは良かったかなと思います。
実際に運用してみた
中身は公開できない部分があるのですが、どのようにまとめているかが伝わるように記載していきます。
プロダクトビジョン、バリュープロポジション
プロダクトごとに添付画像のように言語化を行っています。
バリュープロポジションは、DCM Venturesさんの記事 PMFへの第一歩: バリュープロポジション に記載されていた、ジェフリー・ムーアのポジショニングステートメントを参考にまとめています。
プロダクトロードマップ
定量目標、アウトカム、機能に分けてプロダクトロードマップを整理しています。
こちらは小城さんの記事 ロードマップに機能を書くべからず を元に、定量目標やアウトカムを元に機能に落とすことを大事にしています(が、なかなか難しくやりきれていないところも・・!)。
PRD、プロダクトバックログ
PRDはConfluence、プロダクトバックログはJIRAを使用してまとめています。PRDとJIRAのEpicが対応する形で運用しています。
PRDのフォーマットはConcluenceの 製品要件 テンプレート をカスタマイズして使用しています。「目的」や「成功指標」の項目を可能な限り記載し、リリース後に振り返りできるようにしています。
またPRDを作成したあとのユーザーストーリーに落とし、受け入れ判定を行う部分はプロダクトオーナー(PO)職を設け、分担しています。
運用してみて良かったこと
最初に課題として定義したものは、概ね解決されてきている
プロダクトマネージャーとして担当(責任者)を決めて
その人がプロダクトビジョン等のアウトプットに責任を持ち
目指す先や、誰の何を解決するかは、プロダクトビジョン・バリュープロポジションで明示し
具体的にどういう価値、機能を提供していくかはロードマップで明示し
開発するものの背景や提供価値指標はPRDで確認し、振り返りができる
それぞれ当たり前のことではあると思いますが、継続的に良いプロダクト作りをしていく土台が整ってきたのかなと感じています。
カスタマーサクセスなど、他部署にも良い影響が出た
バリュープロポジションを言語化するため、「誰に」価値を提供すべきかを検討していく過程で、例えばプロダクトと合わせて特定業界向けのカスタマーサクセス体制を作るなど、ソフトウェアとしての狭義のプロダクトだけではなく、オペレーションも含めた広義のプロダクトとして改善していくような体制にも繋がってきています。
まだまだ課題感があること
プロダクトマネージャーの工数不足に伴う推進スピード
プロダクトは3つありますが、プロダクトマネージャーは実は2名で、自分以外のもう一人が2つのプロダクトを兼任している状態になっています。
まずは1プロダクトに対して、プロダクトマネージャーが1名専任でつく体制として、ゆくゆくはPMM/PdMで分割し、よりGoToMarket/プロダクト両方の観点で推進できるような体制にしていきたいと考えています。
顧客への提供価値、自社の売上増などへの大きな貢献
プロダクトビジョンなどを言語化したとて、最終的に顧客への提供価値が増えていなかったり、自社の売上増加等に貢献していないと何の意味もないと考えています。
弁護士ドットコムの橘さんが以下のツイートをされていましたが、セグメントごとの必要な製品戦略の解像度は高くできると考えており、事業成長に繋がるロードマップを描けるように組織としてパワーアップしていきたいです。
最後に
まだまだ道半ばで、常に手探りで進めていますが、もし一つでも参考になることがありましたら嬉しいです!
定番ですが、まだまだプロダクト開発を強化、推進していきたくメンバーを募集しています。もし少しでも興味を持っていただいた方がいらっしゃれば、ぜひTwitterからでもご連絡いただけるととても嬉しいです!
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