研修概要「災害時における学童保育と人権」冨永良喜先生2024.1.20

まとめ

概要

 ストレスの対処法、心を落ち着けリラックスするための手法はいくつもあるが、ストレスについて小中学校の9年間で学ぶ機会は小5と中1の保険体育の時間でそれぞれ1時間ずつしか確保されていない(2024年現在)また、領域としては道徳にも含まれる内容だと考えられるが、現在の学習指導要領では道徳の時間は実技的な内容を取り扱うものとされていないことから、子どもたちは十分に心の健康と向き合う時間や知識が取れていないと考えられる
 そうした中で、特に災害時に避難所生活の中で子どもの権利の確保は後回しにされる傾向にある。特に子どもの権利条約第31条で謳われている「余暇権」いわゆる遊ぶ権利は「うるさいから」「そんなことをしている場合ではない」などという理由で侵害される危険性が非常に高い。避難所で共に暮らす、一般の方からの理解を得つつ、子どもの権利が損なわれないように立ち回るためには、災害が「起きる前」「起きている時」「起きた直後」「起きた後」に分けて全てに対応する準備を進めておく必要がある

学童への取り入れ方

 学校で十分にストレスについて学ぶ機会がない以上、その他の場所で子どもに知る機会を設ける必要がある。子どもに伝えるという特性上、学校の授業をまねて淡々と情報を伝えてもおそらく頭に残らないので、まさに子どもがストレスを感じたであろう場面で、リラックスする手段を伝える実践をしてみようと思う。遊びがうまくいかなかった時、負けてしまった時などを見計らって伝えてみる
 また、被災後のイメージを子どもたちが持てるように、子どもと話をする機会を設けた。避難所での生活を想像して、「自分の避難バッグにパズルみたいな暇つぶしを入れておけばいいよね」「コマは危ないかな?けん玉は音がうるさそう」「ゲーム機は電気がないと使えないね」などと話をした。反応はまちまちだったが、自分の思いついた暇つぶしを友達に教えたり、子どもたち自らが自分の余暇権を確保できるように働きかけることができたと思う

研修でのメモ

被災後のケアの話

◯遊びを大切にする
・あそびは心理療法のメイン
・子どもの権利条約第31条にも保障されるべきだと謳われている
→プレイセラピー、ポスト・トラウマティックセラピー

◯おちつく、リラックスの方法
・呼吸法
・肩に力を入れる→抜く
・自分へのプラスのメッセージを考える

◯言葉自体を怖がる必要はない
・津波は怖いけど、「つなみ」という言葉は怖くない

◯トラウマと向き合う
・かつての手法「デブリーフィング」:24~72時間以内にトラウマ経験を吐き出させる手法
→否定される
→長期的に自信をトラウマ体験に段階的にさらしていく「エクスポージャー療法」が取り上げられる

能登半島地震より

◯避難について
・初期微動16時6分→主要動16時10分
・たったの4分間、迷ってる暇はない
・とりあえず、全力の避難→大事にならなくても「練習になった」という意識を持つ

◯教育の回復と権利の保証
・避難所でも教育は比較的早くに行き届く
・子どもの権利については後回しになりがち
→子どもの権利が社会に浸透してない

◯現地の学童保育は
・1/20時点で石川県の94%が再開

南海トラフに向けて

◯岡山県倉敷市では
・震度5が予想される
・避難民の受け入れが主となると考えられる

◯主体的に安全について考える
・防災の遊び・マンガ・ゲームを用いる
→興味が持てる取り組み
・被災後のサバイバル能力
→避難所生活での生き抜き方の見通しを持つ

前回「西日本豪雨(2018.7.6)」の経験より

◯「まびひょっこりおもしろおたからクラブの開設」
・7月12日より開始、e子ネットで広める
・対象:5歳以上の児童を受け入れ
・8時~19時で開設
・お弁当問題→保護者の昼食支援→長尾地域で集まる
→栄養士の方に作っていただく
→公民館開放

◯今後に向けて
・電話対応と保育の両立が難しい
・動けるひとを把握し動かす力
・マスコミを味方につけて


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