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ジョリーフォニックスのお話 3 〜文字の音の合成(ブレンディング)〜

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ジョリーフォニックスでは英語の文字の音を教えるだけではありません。文字の音を学んだら、その音を合成して(つなぎ合わせて)いうブレンディングという練習を続けて行います。このブレンディングは、Read Aloud = 英語の「音読」につながる練習です。

ブレンディングとは、単語を構成する文字の個々の音を言ってから、その音を連続して繋げて単語の音を発音することです。decoding デコーディングとも言います。デコーディングとは「記号読解」とも訳されます。つまり、文字情報から音を引き出してそれを繋げて音声にする、という作業のことです。

例えば、d-o-g の個々の文字の音を発音して、それをつないで発音し dog という単語にします。この時、一つ一つの音を単独でゆっくり発音していても英単語にはなりません。ですから、音を自然に素早く繋いで単語にする練習 =ブレンディングが必要になります。

ブレンディングは一度わかるとスムースにできるようになりますが、子どもによってはコツがわかるまでに時間がかかる場合もあります。最初の音を少し強調して発音し、残りの音をつなげていくとうまくいく場合があります。

英国では日頃から単語の文字の音を個々に発音し、それを素早くつなぎ合わせて単語を発音するブレンディングの練習が行われています。上の動画では、子どもたちが指を使って、いくつの音が組み合わさって単語ができているかも確認しています。単語を構成する音の数を確認することも大切な練習です。

ブレンディングの練習としてわかりやすい動画はこちらです。

複数の文字の音をつなげて読む練習は、新しい単語を読むためには欠かせません。ブレンディングは英単語を読む上で必要なテクニックであり、練習すれば上達します。大切なのは、声に出して読むということ。

このブレンディングでは、digraph ダイグラフに気がつくことも大切な練習になります。ダイグラフは2つの文字で1つの新しい音を表すルールです。例えば、ship という単語を見た時に、s - h - i - p と一文字ずつ発音するのではなく、sh - i - p と発音する、sh というダイグラフに気がつくことができるかどうかが鍵になります。ですから、単語の中にあるダイグラフを確認し、2文字で1つの音を作ることを毎回確認していきます。 

英単語には Consonant-Blends 連続子音があります。これは2つ、または3つの子音字が連続したときに、それぞれがもとの音を残しながら混ざり合った音になるルールです。例えば、st, sl, br, gl などがありますが、この連続子音とダイグラフは全く異なるものです。ですから最初は連続子音でも個々の文字の音を確認して音を分けて練習しますが、ブレンディングに慣れてきたらダイグラフと同じように2文字で意識し、素早くつなげて練習すると読みやすくなります。 

ブレンディングについては、山下桂世子先生のブログで詳しく紹介されています。

書き言葉を読んで理解する力は、文字から情報を得るためには欠かせない能力です。この力を育てていくことは教育の大きな目標の一つだとも言えます。そしてそれは、日本語も英語も他の言語も違いはありません。

その際に、文字情報を音にして読む音読はとてもいい活動だと思っています。以前にこちらの記事でも紹介しましたが、書き言葉を読んで子どもたちが考えるためには、

1:書いてある文字を音に変換する
2:音を繋ぎ合わせて、言葉にする ← これが「読める」
3:言葉の音から、頭の中にイメージを浮かべる ← これが「わかる」
4:浮かんだイメージを自由に操作する ← これが「考える」

以上の4つのステップが必要です。

1〜3 を行うことが音読で、ブレンディングはこの中の2番の作業になります。英語を母語としない場合、英語の語彙の数が少ないので3のイメージを浮かべることがうまくできないこともあります。そのため、イラストや写真などで音とイメージを結びつけることも大切になってきます。そのようにして、文字から導き出した音を意味につなげていきます。

音読の効果については、すずきゆうじさんの記事が参考になりました。音読の効果についてTBSラジオ「Screenless Media Lab. (音声メディアなどの可能性を追究する研究所)」でわかりやすく紹介されています。

音読は何も本人が読むだけではなく、周りの大人が読んであげる、例えば絵本の読み聞かせや読み上げ機能を利用して、音声で聞きながら目で文字を一緒に追う、文字を見ながら音声に合わせて一緒に言う、ということから始めてもいいかもしれません。

相対的に見れば、特に子どもの場合、黙読と音読では文章理解にも大きな差が出るようです。特にアルファベット(ラテン文字)を使う言語において、文字は意味を持ちません。アルファベットが示す音が意味を作る言語です。ですから文字を音にすること、その音と意味を繋げることは練習では欠かせません。

文章理解につなげるための音読、その音読を始めるための最初の基礎的な練習(デコーディング)、それがこのブレンディングです。

次は「単語の中の音を識別する(セグメンティング)」について書こうと思います。

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