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ムーンリバー杯作品賞 総評 Moon river and me

日ごろ、noteはもちろん、小雑誌ウミネコでコラムを寄稿して頂いたり、文フリには差し入れを頂いたり、お世話になりまくっております、NNさんによる企画「ムーンリバー杯作品賞」の総評という大役を仰せつかりました、ウミネコ制作委員会の中の人・ぼんやりRADIOです。初めましての方もそうでない方も、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m

この「ムーンリバー杯」の成り立ちをご説明しますと、ウミネコmini文庫第一弾「moon river」(ほのラジ著)の発売日と、猫野サラさんの創作漫画「ムーンリバー」のなんとも贅沢な公開日が、とても近くて、「こんな偶然あるのね!」という事で、開催されたのだと認識しております。

それでは早速参りましょう!

☆リバイバル上映でポスターにしたい de賞

せきぞう、さんの、鉛筆画。このまま単館映画館でリバイバル上映する際のポスターにしてほしい! 味のある鉛筆画。とっても素敵です。
それにしても鉛筆画と欧米の方の顔立ちって相性がいいなあと思ってしまいます。

☆オリジナルの歌詞と感性がカッコイイ de賞

Caydeさんのイメージする歌詞がカッコいいです。倖せでいることが最大の復讐、というような言葉を聞いたのを思い出しましたが、ちょっと違いますか。美空ひばりの「川の流れのように」にも共通するのかなあなんて勝手に思ったり。歌詞の魅力について考えさせられる素敵なエッセイです。

☆こんなギターが奏でる音色は一層切ない de賞

ミモザさんのショートショート。一度も使われる事がなくて捨てられそうになったギターの境遇と、ムーンリバーという曲が切なさを伴ってしっくりくるお話だなあと思いました。うちには似たような境遇の三味線があります。三味線だとどんな曲でしょうか。「帰ってこいよ」とかでしょうか。

☆流して読んではいけない短歌 de賞

散歩さんの短歌から個人的に感じたのは、色々なものが流れるてくる光景。音楽はもちろん、川、桜の花びら、光、時間、風…目の前を様々なものが流れていく光景が浮びました。

☆放浪の旅を夢想した自分を思い出した de賞

BRILLIANT_Sさんの「Moon River」の主人公に対する洞察や考察に触れて、無性にまた映画を観たり原作を読んだりしたくなりました。また、奔放な人生に思いを馳せ、寅さんのような人生に憧れた自分を思い出しました。知識欲と心の深いところをくすぐる秀逸なコラムだと思います。

☆木根尚登さんの曲 de賞

雷蔵さんのこの作品のおかげで木根尚登さんの素敵な曲を知る事が出来ましたし、堪能しました。個人的には、木根さんと言えば、テレビでよく、タモリさんにいじられてて、タモリさんて才能があってシャイな人が好きなのかなあって思ったりしたアーティストの一人です。ってタモリさんの話になっちゃいました(汗)。あざといスペル間違いもニクいです。

☆意外で効果的な組み合わせに痺れた de賞

たつきちさんのファンタジー掌編。どうしたら「ムーンリバー」からこのような話が書けるのでしょう。「ナイトヘッド」のような内側からの攻撃で疲弊した者を癒す曲が「Moon River」。その意外な組み合わせに痺れました。

☆ムーンリバーという言葉が沁みてくる de賞

雷蔵さんの詩作。ここに出てくる言葉の全てが観念的で。詩とはそういうものなのでしょうか。この詩を読んで個人的に思い浮べるのは、恋心とか後悔とか青春のような戻らない時間とかです。

☆美しい300年後の未来と悲恋 de賞

Love the PTA  Toshi InuzukaさんのSF作品。「ゼロ・グラビティ」のような緊迫した船外活動から惹きこまれ、300年後の月の様子が目の前に広がります。近未来にあって「Moon River」の歌詞と重ね合わさる悲恋の物語。なんとも胸が苦しくなる読後感でした。

☆月夜と川の怪しい魅力が全開 de賞

wsd983320987さんの昔話風のショートショート。舞台は飢饉に見舞われた農村でしょうか。母は子供を守るために魔物に魂を売ったのでしょうか……それとも……。暗い川と怪しい月の対比。その魔力のようなものが漂っている一篇です。水木しげるの漫画なら背景に妖気がいっぱい描かれていると思います。

☆緊張と緩和 de賞

たつきちさんの掌編2つめ。先の作品と同様バディものとなっていて、工作の緊張感と会話の妙を楽しめました。作中での楽曲「Moon River」が独特の演出と緩和をもたらしています。こちらはシリーズもの。諜報機関が超法機関となっているのも好きです。

☆寄り添う夫婦に心打たれる de賞

りみっとさんの掌編。光景、情景、最初から最後まで胸にぐっときました。個人的には、これまで身近な人に統合失調症や依存症や自死が多く、「寄り添うとは何か」を考え続けています。大きな悲しみを抱える人、あるいは意志とは関係なく同じ過ちを繰り返してしまう人に寄り添うとはどういうことでしょう。寄り添うことの一つのカタチがここにあると思いました。作中、「Moon River」のあの歌詞がここに繋がるのかと、やはり心が震えました。

☆悪趣味なくらい素敵 de賞

kazeさんのショートショート。短い中に、壮大なスケールと発想がてんこ盛りのワクワクしっぱなしのお話でした。桜の花びらの川が、地上で生きた魂をのせて月まで流れていく、なんて幻想的なのでしょうか。「悪趣味なくらい素敵」というユーモアも好きデス。

☆曖昧で美しい世界が楽曲とぴったり de賞

つづきさんの詩。灯りがついたばかりなのか消えるところなのか。何が本当で幻なのか。二人の関係性が曖昧な時ならではの輝き、美しさ、そして狡さもあって、甘酸っぱいような苦いような曖昧な感覚に陥ります。それが「Moon River」の世界観とぴったりです。

☆自由な発想の河で泳いだ de賞

春永さんの創作。月の河を一つのテーマに、自由な発想でAIアートと、それに付けられた詩とも物語ともとれる短文。超現実的で幻想的なのに、川のそばには生き物がいて、みなが月に畏れを抱き、魅了される様子が現実の世界と同じです。アートに内包された春永さんの心情が垣間見られて温かい気持ちにもなりました。

☆現実の中の非現実が見事 de賞

sanngoさんの短編。くっきりと浮き上がる人物たちの描写に引き込まれました。現実の中で、ふいに起こった夜の海での不思議な出来事。余白を残しながらも切れ味のあるラスト。日常の中に紛れる妖しいムーンリバーもごく自然に感じてしまうほどの筆致でした。

☆幻想的で諧謔的なお洒落な超掌編 de賞

海carettaさんのショートショート。ピンクのムーンリバーと桜舞う様子、かぐや姫の十二単など、溜息が出るほど美しい描写です。そこへ某キャリアのCMを思わせるユーモアな演出も加わり、現実に戻るラスト。幻想の中に軽妙洒脱さがあってお洒落な作品だと思いました。

☆最後まで目が離せない映画のよう de賞

カンナさんのショートショート。ムーンリバーにまつわる伝説と、恋人同士の対決という状況にもう釘付けでした。「え? どうなるの」と思いながらハラハラドキドキとさせられました。そして伏線回収ともいえる幸福感をもたらすラストが待っていました。

☆アオハルの中にインパクトがすごい de賞

藤堂佑さんのショートショート。「僕の彼女」、「僕」のキャラクターが魅力的で、振り回される「僕」を月に例えるところなんかとても好きです。落とした大豆も月に見えてきました。そして、「ムーンリバー」という現象と光景がそんなことになりますか! という「彼女」の思考が面白くて、そのインパクトが物凄かったです。

☆綺麗な景色をシェアしちゃう de賞

三羽烏さんのショートショート。SNS時代をバッサリ斬って、風刺している作品で、共感しかありません。現実に起こっていたし、起こっていることだし、これからも起こる事だと思います。お気に入りのお店や景色はなるべく自分だけのものとし守りたい気持ちがあっても、抗えないものに流されて変わっていくこともしばしばですよね。個人的には話題のスポットには興味がない方ですが、作中のムーンリバーの美しさは一度は行ってみたい場所です。いや行っちゃうかも。ってそれじゃあダメじゃん(笑)

☆フォトグラファーのフォトグラファー de賞

生け花、ギター、そして写真。多才なほりべえさんのフォト。今回のNNさんの企画に寄せられた写真です。美しいムーンリバーとそれを撮ろうとするフォトグラファーの息遣いが聞こえてきそうな写真は、時間を忘れてうっとりと眺めてしまいます。


☆企画を開催してくれた de賞

NNさんのプチ映画コラム。個人的に、NNさんの映画コラム、そのうんちくが好きで小雑誌ウミネコでも2回にわたってご寄稿頂いてます。今回も「ティファニーで朝食を」から最後は「特攻野郎Aチーム」に移行する感じがとっても好きデス。他、ウミネコ母子や泣く月の童話も、前衛的な詩も、川が天に昇る寓話も、かぐや姫のスピオフ作も全て、機知や示唆に富んでいるものばかりで、さすがだなあと思いました。短文の中にぎゅっと詰まっている感じがして仕方ないです。それを感じられ、触れられる環境にいられて感謝しております。この度は本当にありがとごじゃいました!



きっと、人生の喜怒哀楽と密接に繋がっている月と川。
noteで創作をしている方たちにとって、想像力を掻き立て、感情を揺るがすテーマだったのではないでしょうか。
noteの漂流者たちが虹の終わりを目指して創作した作品たち。
皆さん、noteの huckleberry friendだなあと勝手に思いました。

今回、まさに十人十色の「ムーンリバー」を堪能させて頂きました。
恐悦至極に存じます。ありがとごじゃいました!

最後に。
それぞれの作品に自由に、思い付きでコメントを付けさせて頂きましたが、もしも御不快に思われた方がいらっしゃいましたら、
心からお詫び申し上げます。

ぼんやりRADIO拝







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