あなたの会社では、経営指標と評価指標を混同して使っていませんか?
私のパートナーが主催する人事制度説明会で、よく質問に挙がる内容があります。それが以下の質問です。
「間接部門の数値評価は、どのようにすればよいですか?」
ちなみに、間接部門とは、総務や経理などの利益を生まない部門を指し、直接部門とは、製造や営業などの利益を生む部門を指します。
近年の人事評価制度においては、明確な基準を設けるために、評価を数値化する傾向にあります。
あなたは、KPIやKGI、OKRというような、横文字を聞いたことはありませんか?
KPIはKey Performance Indicatorの略語で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。
KGIはKey Goal Indicatorの略語で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれています。
また、OKRはObjectives and Key Resultsの略語で、日本語では「目標と成果指標」と呼ばれています。
近年、人事コンサル会社が、これらの経営指標を人事評価システムの評価指標として導入することを企業に勧めています。
しかし、私たちがお勧めさせて頂く人事制度では、これらの経営指標を評価制度に用いません。
何故か?
ひと言で表すと「経営指標と評価指標は異なるから」です。
先に挙げたKPI、KGI、OKRなどは、経営の結果を示す指標、いわゆる、経営指標です。
当然ですが、経営の結果とは、社員の実力や能力などを含めた社内の内部環境だけでは決まりません。政治・経済・社会・技術などの外部環境にも大きく影響を受けます。
つまり、極端な話、社員が全く頑張っていなくても、外部環境が追い風になれば、経営指標は良い結果が出ます。
また、社員が一生懸命頑張っても、外部環境が向かい風となれば、経営指標は、悪い結果しか出ません。
このように、これらの経営指標では、社員の実力や能力が上手く反映されない可能性が出てくるのです。
その結果、評価したい社員が評価できず、評価に値しない社員が評価されてしまうという大きな欠陥を伴う評価制度になる危険性があります。
なお、私たちがお勧めさせて頂く人事制度でも、評価を点数化し、数値化はしますが、社員同士を相対評価するために用い、最終的には、社員一人ひとりを見て、絶対評価として評価を決定します。
その根底には「人の評価は数値では表せない」という考えが基本となっています。
冒頭の「間接部門の数値評価は、どのようにすればよいですか?」という質問に対する答えは「直接部門も間接部門も数値評価はお勧めしません」となります。
つまり、KPI、KGI、OKRを用いた評価制度は、結果にのみ焦点を合わせていますが、人材育成という観点では、結果だけではなく、プロセスにも焦点を合わせる必要があります。
そして、このプロセス評価は、部下を日頃から見ておかなければ、評価できません。
「上司に見てもらっている」
このことが部下の安心感となり、部下の成長に繋がる要因になります。安易に評価を数値化することで、正しい評価ができると思った時点で、人事制度の誤った運用になりかねません。
人事制度は人材育成の基盤です。正しく、運用して頂ければと思います。
なお、経営指標を評価の一部として活用することはあります。経営指標をそのまま評価指標とすることはない、とご理解頂ければと思います。
以上
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