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人事制度の「設計」が重要。導入後の「運用」はもっと重要!

「『人事制度』は経営の一部。あなたの会社に合った制度導入を!」では、経営における人事制度の位置付けについてお伝えしました。

さて、大手企業では、研修プログラムや企業内大学を作り「人を育てる仕組み」の構築を試みています。

しかし、優秀な幹部を育成できたとしても後継者を育成することは、難しいのが現実のようです。

・ソフトバンクの孫正義
・ファーストリテーリングの柳井正
・日本電産の永守重信

いずれも、後継者選びが定まっていない超一流の経営者です。

上に挙げた方々は、極端な例かもしれませんが、やはり、総じて人を育てることは難しい、というのが現実ではないでしょうか。

何故、人を育てるのは難しいのか?

理由は色々挙げられると思いますが、大きな理由の一つとして、“心”を育てる難しさがあると、私は考えています。

「人は感情の生き物」と言うように、思考や行動は、感情である“心”に大きく影響されていると思います。

このため、研修プログラムや企業内大学で主に教えている技術や技能などの目に見える領域だけを育てる仕組みでは、不十分である。

そのように、私は理解しています。

つまり、「人を育てる仕組み」とは、その人の“心”も育てることができて、初めて仕組みとして意味があります。

そして、“心”も育てることができる最も古い「人を育てる仕組み」が「口授口伝」ではないでしょうか。

ここには、言霊と呼ばれるように、自身の“心”の教えを伝え、弟子の“心”を育てるには「口授口伝」が確実な仕組みであった、そう考えることができます。

一方で、文字が発達すると「人を育てる仕組み」は「口伝書」や「伝書」というように、文字にも示されるようになります。

この文字の発達により、継承内容の正確性などが向上したことが予想されますが、やはり、最後の“心”の部分は「口授口伝」だったと思います。


ここまでの内容をまとめると、
真の「人を育てる仕組み」は、研修プログラムや企業内大学などの制度や箱物だけでは不十分であり、“心”を育てる仕掛けが必要である、と言えるのではないでしょうか。

では、「人を育てる仕組み」として人事制度が機能するために、つまりは、社員の“心”を育てるためには、どのような仕掛けが必要となるのか?

その仕掛けが「運用」です。

つまり、社員の“心”を育てるために、制度の「運用」を強化する必要がある
ということです。

単に、各部署の上司が、部下の人事評価結果を提出するだけ、という形式的な運用でなく、

・何故、彼・彼女を評価するのか?
・何故、彼・彼女を昇格させるのか?
・何故、営業成績だけでは評価されないのか?

などという、評価結果に対して、議論を交わすという「運用」により、会社としての行動基準や価値観を社内で共有化していく。

この議論を交わす「運用」に、後継者や会社の幹部としての“心”を育てる仕掛けがあるのです。

多くの社労士や人事コンサルタントは「制度」導入することが目的となり、「運用」面は、各社にお任せという形式が大変多いです。

「制度」の導入だけでは、人の“心”を育てることはできません。「運用」が伴って初めて、“心”を育てることができるのです。


すなわち、人事制度を「人を育てる仕組み」とするためには「制度の設計」と「制度の運用」、この2がポイントとなってきます。


あなたの会社では、人事制度を導入することのみが目的となっていませんか?人事制度の目的である「人を育てる仕組み」とするためにも「制度の運用」まで考えて頂ければと思います。


以上

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