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出戻り社員の孤独

本日はこちら。

仕事がデキない奴が戻ってきてもねぇ・・・。

今回のお題について具体的な問いかけは以下の通りでした。

〇あなたは出戻り社員になにを期待しますか。出戻り社員を採用するメリットはなんでしょうか?
〇出戻り社員を活かすには、どのような制度が必要で、どんな点に注意が求められると思いますか?
〇出戻り社員が求められているとすれば、どのような背景があるとおもいますか?

この3つの質問について、敢えて逆の形を考えてみたいと思います。

つまり、「出戻り社員には何は期待できないか?」ということです。

最も気をつけるべきは、出戻り社員の、ITかぶれ、西洋かぶれ、多様性かぶれ、といった「かぶれ化」かなと思います。別の言い方は、「社内評論家」です。

出戻り社員が外の知見を獲得したかどうか、これは意味があるようで実はあまり意味がないように思っています。より大事なことは知見以上に経験であり、或いは実績や成果です。簡単に言えば「実行力」といったところでしょうか。

一般的な転職でも同じ問題を抱えています。例えば、顧客である人を自社の社員として迎え入れた場合、元顧客であったその人は新職場で活躍できるか?といえば、その保証はありません。

その人は「顧客の目線に立てば○○だ」という意見は言えるでしょう。その中には貴重な意見や新しい発見はあるかもしれません。しかし、そのために何を実行するか必要があるのか?その人自身が実行可能か?という実行力は別問題であり、自社における実行力の領域では元々いる社員の方が上手だったりします。

出戻り社員の場合も、出戻る会社にいた当時から実行力が伴っていて、外に出た後に新しい知見を獲得したというステップなら、新しい風をその会社に吹き込むことができるそうです。

或いは外に出て、どこでも実行力を発揮できるだけの大成長を遂げたのであれば、それも良いですよね。そうなれば、会社にとっても本人にとっても素晴らしい結果をもたらすことが期待されます。

しかし、元々大した実行力もないのであれば、戻ってきたところで、「前より口うるさくて、めんどくさい奴になっただけかよ」と言われかねません。

「テック業界では・・・」、「外資系では・・・」、「先進的な働き方ってのは」・・・と口先だけの奴がいたら、誰だってムカつきますし、一緒に仕事はしたくないかなと思います。

実行力のある出戻り社員の壮大な矛盾

一方で、実行力のある出戻り社員は矛盾を抱えて働くことになる可能性もあります。それは、新しい文化や仕組みという領域に立ち入ったときに起こります。

例えば、出戻り社員がみんなの人気者で、言葉悪く言えば、寝技(飲み会、ゴルフ或いは人柄を全面に出したお付き合い)で「実行力」を発揮していた場合です。

そして、そんな彼が新しく得た知見が「新しい仕事の進め方」であり、例えば「データドリブン経営の重要性」だとしましょう。

そうなると、壮大な矛盾を乗り越えていく必要があります。

つまり「寝技」というデータから一番遠い方法を使って経営層に取り入り、その経営層にデータドリブン経営の重要性を理解させて、トップダウンで浸透させて自分も「寝技」を良しとしてきた現場に手を加えていく・・・というストーリーをとることになるからです。

これは確かにずっと自社にいる社員にはできないことです。一方で、これをやる出戻り社員には、悪い言い方だと、負担が多く大変すぎるかもしれません(よく言えば大きなチャンスに出会えるとも言えますが)。

出戻り社員ネットワークがあってもいいかも

ですので、出戻り社員を一人にしてはいけません。ここでいう一人の意味はしっかり考えるべきだと思っています。

出戻り社員は多面性を持つことになります。従来の組織の一員としての「自分」は、従来の仲間とうまくやれます。しかし、出戻り社員としての「自分」という別の側面が新たに追加されていて、その点から見れば、従来の組織にいるだけでは、その人は孤独です。

いくら人柄よく実行力があっても潰れてしまってはお互いに不幸です。その人にネットワークなり、ネットワークづくりのための資源を与えるべきでしょう。

一つは、新しい知見について、一言で理解してくれる仲間。手っ取り早いのは転職者です。或いは協業パートナーやコンサルなど、外部とのつながりを続けさせるのも、別の一手としてはあり得るかなと思います。

例えば、ある程度の規模の会社であれば、育児で職場から離れていた社員に対し、「育児で離れてたよねコミュニティ」が社内であった方が、不安や負担は和らぐでしょう。社内でそこまでの人数感にできないなら、外で同じような経験を持つ人のネットワークを一緒に作ってもいいのかもしれません。

「君は中も外も知っているから」、「君は仕事も育児も知っているから」そう言われて魔法のステッキのように期待されること・・・その苦しみについて、共感し、支え合える仕組みづくりが必要なように思います。

ということでまた。

(今週日曜日の更新はお休みいたします。)

#日経COMEMO #出戻り社員に期待すること

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