Art Collaboration Kyoto(ACK)01 -伝統と現代アートのリミックス
現代美術のアートフェア、Art Collaboration Kyoto(ACK、10/28-30、国立京都国際会館)を初めて覗いてみた。
圧倒的な情報量
何となく「ギャラリーが出展する、現代アートの展示会」だと思って足を運んだ。メイン会場はたしかにそうだ。しかし概要をよく見てみれば、ACKから派生した、企業や寺院とのコラボが多く、街に繰り出す必要もある。(一部作品展示会場へは、シャトルバス=大型タクシーによる無料送迎が行われていた)。
合わせれば、1日ではとても消化し切れないここまでの量であるとは知らず、取りこぼしてしまったものの多さに、後悔をしている。
本稿ではまず、ACKがどんなものであったか、本会場での展示についてまとめておきたい。
会場内の作品展示
会場は地下鉄の終点駅なので、アクセスは大変わかりやすい。
会場にはところどころに、単体の現代アート展示がなされている。例えば、入口で目を引いていたのがこの作品。
ジョイス・ホー
広告のように美しい、と思って鑑賞していると、「おや?」という気分になってくる。広告が演出している、幸せや充足感が、きれいにそぎ落とされているように感じられるからだ。
無機質で清潔、足りている……のだけど、ぬくもりが感じられない。こんな孤独の表し方があるのだと。
川人彩
遠目に観ると、規則的にテープを貼り合わせたように見えながら、近寄っていくと突然、手触り感の出てくる、とても気になる作品だった。解説を読んで、それがもちろん意図されたことで、しかもそれはかなり深いものであったと知った。
ラファエル・ローゼンダール
出口付近には、このようなデジタルアートが展示。
アートギャラリーの出展
メインの展示は、アートギャラリーによるブースだ。単体での出展あり、あえて日本と海外のギャラリーを1ブースとして展示するなど、単調にならないように工夫が凝らされていた。
三島喜美代
わたしでも知っているような、有名作家の作品もあった。
例えば、超絶技巧によって環境(ゴミ)問題を表現する(←わたしの勝手な解釈)、三島喜美代作品。
「陶」による超リアル+絶妙な「外し感」のある表現。誤って落としたら割れて、作品そのものも「ゴミ」となってしまう、というシニカルな側面をも持つ。
李禹煥(LeeUfan)
これはもしや、と思ったらやはり……と、嬉しい出逢いをした作品。距離の近い場所で鑑賞できるのも、展示会のすてきなところだ。
未知のアーティストとの出逢い
現代アートについての学びは生涯続くものだと思う。興味深い、いいな、と思う作品との出逢いもあった。
田村琢郎
鑑賞者の想像力によって、無機質なものに人肌の感覚やぬくもりが想起され、合わせ鏡からは、幾つもの意味合いや批評性すら感じる。
そして何よりも、クスっと笑えるようなユーモア。なんて多くの要素を持つ作品なのだろうと。
企業によるサポート
次から書いていく会場外の展示についてもそうなのだが、企業がいい形でアーティストをサポートしている、と感じられる企画が多かった。
スクリプカリウ落合安奈
例えば、本作のスペシャルパートナーは大丸松坂屋百貨店。
展示は会場を飛び出す
次回以降は、市内の連携プログラムについて述べていく。まったく予期せぬ、貴重な出逢いもあった。
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