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世界と内面を記す"絵日記" -モリマサト「ヒゴロノオコナイ」@NANZUKA UNDERGROUND

 某日、裏原宿。

 モリマサト「ヒゴロノオコナイ」(~7/7)

本展「ヒゴロノオコナイ」は、2021年に開催した「Lonsdaleite Year」の続編とも呼べる、モリの徳島での日常生活を綴った絵日記シリーズの最新章です。モリは、水木しげるの幸福論にある“しないではいられないことをし続ける“を胸に、自分の興味や関心を熱中と呼べる次元まで高めることで、創作活動の強度を高めてきました。

蝶やカミキリムシといった昆虫の採集、海老や小魚などを獲る川遊び、猫やヘビ、カラスといった動物たちとの暮らし、藤やバラ、向日葵など様々な草花の育成、そして祖父から引き継いた自宅の一軒家を丸ごと作品化するための改造など、そうした経験を結晶化させるためにモリはキャンバスへと向き合います。

同上  プレスリリースより(一部)

 エレベーターで階上へ。


自画像彫像作品

 ギャラリー2階で目に飛び込んでくるのは、

 ブロンズ製の自画像彫像作品と、その背後の自画像。

 2階の展示は、作家が語るところの「絵日記」が、より掘り下がった感じを受けた。

不快な音と心地良い音があるように、あるいは意外な組み合わせの音が新鮮な印象を与えるように、色彩にも快感や驚きがあるということを突き詰めて探求するモリは、今回の新作において、いくつかの実験を試みています。モリが自らメインビジュアルとして選んだ作品「ウンコのバンドウ」では、より抽象化を推し進めた実験的な画面に挑戦し、その作品タイトルから全く想像もつかない美しく力強い色彩が調和する画面を実現しています。また、この作品も含めて、異なる音色を奏でる色彩を探求した結果、新たに油絵の具を用いた作品を半数以上制作しています。

モリは、自身の絵画の理想を「絵の具と筆が、絵本の物語のように、魔法によって自由に、楽しげに、そして踊るように自らキャンバスへと飛びついて生まれたような画面」だと語ります。本展覧会は、モリの稀有な才能の歩みを実感できる機会となることでしょう。

同上

 本展は、ひとりの作家の内面を巡る旅だという気がしてくる。言語化されることを拒絶して、ダイレクトに迫ってくる何かがあった。



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