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映画『いたずらのパレード』を見て、ド素人が感想言います。

先日『Toss My Fate』という演劇の配信版を見たのだが、
その感想を書く前に、去年上演された映画『いたずらのパレード』について書いておいた方が分かりやすいのもあるので、
そちらの感想等まず書くことにする。

そもそももっと早くに、いや、見たらすぐ書けばいいものの、そんなのが沢山放置されている。
できるだけ早くアップしていきたいと…思っては…いる。

ちなみに、こちらはジャンルとしては映画になるのだと思うが、
演劇作品から派生してできていった作品(演劇の映像作品)として、マガジン【長編舞台演劇】にまとめておくことにする。
(映画のマガジン作ったらそちらにもまとめる予定)


◆基本情報◆

上映日程:2021年4月24日~25日
上映会場:高円寺シアターバッカス
※クラウドファンディングによる上映会 

脚本・監督:渋谷悠
企画・出演:花里サチホ(4役)

<備考>第6回岩槻映画祭入選


◆MY観劇データ◆

視聴方法 :限定URLによる視聴
視聴日  :2021年4月25日(私の誕生日 \(^▽^)/)
      期限5月9日まで
配信視聴料:1,000円
      (+アフタートーク全8回視聴料:1,000円)

大好きな花里サチホさんの作品を、誕生日に見れるという幸せ♡


◆1本のモノローグが4本の群像劇へ◆

【モノローグ】
独白のこと。一人で行う芝居。
漫画や映画でも、登場人物が1人で心の内を語るようなシーンがあるが、
それを想像してもらうと分かりやすいかも。

【群像劇】
同一の舞台設定において、別々の登場人物によるいくつかの物語を、
全部を通すことによって大きな作品とすること。
金八先生を思い出していただくとよいかもしれない。
毎回生徒それぞれのエピソードがあるけど、それは個別に終わりじゃなくて、
全話見ることによって、繋がっている部分があったり、全体としての3年B組というカタチを作っている。
そんな感じが群像劇。


映画『いたずらのパレード』は、4つのモノローグから成っている。

毎週Zoomの生配信で1人芝居を上演している「モノステ」という番組がある。
コロナ禍でもなんとか演劇が続けられないかということで、映画監督でもあり脚本家でもある渋谷悠氏が立ち上げた。
この件についてはNHKのドキュメンタリー番組でも取り上げられている。
3回優勝すると、渋谷悠氏から当て書きしてもらえる。

モノステについては以前↓こちらの記事で書いているので、
少しでもご興味あれば読んでいただきたい。

番組が始まって以来初めてとなる当て書きを手にした(3回優勝した)のが、花里サチホさんなのだ!

それが「いたずら」というモノローグ作品。

そして、映画『いたずらのパレード』は、ここから展開されていくことになり、
新たに3つの物語が加わりまとまって、大きな1つの作品になった。

  1. 「いたずら」園子の視点
    大学時代の友人である純子の結婚式で、純子への恋愛感情を打ち明ける。

  2. 「フリ」純子の視点
    樹木葬のプロジェクト担当。結婚後、レスで悩んでいる。

  3. 「けど」一之の視点
    純子の夫で、園子の元カレ。結婚後にEDに(たぶんED)。仁に憧れている。

  4. 「人様」仁の視点
    元ヤクザ。被災地ボランティアで、園子・一之と出会う。園子への手紙を弟分に託す。実は病気で…


◆1人4役!!花里サチホさん◆

大きな見どころは、4つのモノローグ=4人の登場人物を花里さんが1人で演じたこと!

花里さんはとても可愛らしい雰囲気をお持ちなのだが、同時にめちゃくちゃイケメンなのである。
私、初見でズキューーー|●゚д゚●|❤ーーーンとやられた。
演技を最初に見たのは女性の役だったのだが、その前にホスト役を演じられていたのを、写真で見た。
で、ズキュン。

この映画でも、女性2役、男性2役。
しかも男性の内1人は、元ヤクザ。
まぁ、正直言っちゃうと可愛かった。いや、カッコイイんだけど、可愛かった。カッコカワイかった♡

4人4様の役割を、丁寧に演じられている。
この作品にこめられた思いが伝わってくる。

↓こちらのメイキング動画では、役になりきるために刈り上げているところも写っている。

↑YouTubeを見ていただけた方の中には、あれ?と思われた方もいるかもしれないが、
花里サチホさんは、俳優業だけでなくお笑い芸人のステレオタイフーンとしても活躍している。

そしてさらに、かもめんたる槙尾がやっているカリガリマキオカリーの支店(87号店)の店長さんでもある。
ぜひ食べに行ってね。
コロナなので私は通販でレトルトカレーを買ったよ\(^0^)/

演劇・お笑い・カレー…私の好きなものフルコースみたいな彼女を、どうしたら好きにならずにいられようか!
いや、いられまい(倒置法)。

↑花里さんの公式サイト


◆作品全体の感想◆

素人の素人目線でしかない感想なので、本質と違う部分があってもご容赦いただきたい。


ぶっちゃけてしまうと、「けど」は好きじゃないし、「人様」はよく分からなかった。
男性側の気持ちを理解できないでいる ということなのかもしれないが…。

「いたずら」は好きだ。
園子のように同性に恋したことがないとはいえ、なんだろう、この報われなさ っていうのかな、苦しい。
恋が叶わないから とか、思い出を忘れられてる とか、そういうことじゃなくて、
なんかもう言わなきゃいられずになってしまったこと自体が、報われないなぁ と思った。
友達と恋人って、同性異性に関わらず、口に出した瞬間に、その両方の立ち位置を
失ってしまう可能性があるという大きなリスクがあるんだよなぁ。
それを侵しても言っちゃう…どころか、思い出のボロボロのタオルまで、キラキラの式場に持ってきちゃう場違い感。
報われない(;´д`)

「フリ」の純子は、人物設定としては一番理解しやすいタイプかもしれない。
友人の園子から告白される。しかも自分の結婚式で。そんなのある?って気持ち。
薄々気づいてはいたけど、今言う?って気持ち。
いやいや、墓場まで持ってって欲しかった!って気持ち。
うわー、モヤるよね、そりゃ(;´д`)
そして新婚早々レス。何でなんだろう。自分に魅力がない?追い込まれていく。
まさか理由が、結婚式で告ってきた友人だとは知らず。
ナニソレ!?園子の呪いか!!Σ(゚Д゚)

「けど」の一之はとにかく嫌いだ。
人間としてちょっと苦手なタイプ。
ED(たぶんED)になったのは、結婚式で再会した元カノ=園子とのできごとを思い出したせいなのだが、
まぁ、それもどうなの?(ーへー
いや、そういう繊細な問題だということも分かるんだけど、このことだけじゃなくて
全部誰かのせい。全部誰かに助けて欲しい。
たぶん今後一緒にいても、何かにつけてコッチのせいにされそう。

そして全然分からなかった「人様」。
私が生まれ育ったのが地域的にヤクザ家系が多い土地柄で、元ヤクザという人も沢山見てきてるんだけど、
仁の人物像をつかむことが難しかった。
花里さんが可愛い過ぎたか?(^▽^;)
一番よく分からなかったのは、なぜ園子に惹かれたのかというところなのだが、
そこについては次項にまとめる。

◆モヤリポイント-この人があの人に惹かれた理由が謎◆

登場人物に魅力がないとか、そういうことではなくて、
約7分という短いモノローグの中で、私個人が上手く補完できなかったというか、
読み解く力に欠けていただけなのだと思うので、
そこは踏まえて以下読んでいただければ と…

  1. 純子が一之のどこが好きで結婚したのか
    もしかしたら、EDになる前は、あるいはEDになった後も、純子に対しては、
    なにやら大きな愛情を見せているのか?
    現状では、一之のような男とは、早く分かれた方がいいとしか言えないんだよなぁ。

  2. 一之が園子のどこが好きで付き合っていたのか

  3. 仁が園子のどこに惹かれ続けているのか
    この2つはまとめて書くが、純子の前にいる園子には魅力のようなものがありありとあふれている。
    式場でやらかした感満載なのも、過去の中に生きている園子も、生命力がある。
    ところが、純子以外の誰かと一緒にいる園子を想像したとき、死んだ魚の目をした彼女しか思い浮かばない。
    いや、まぁ、それこそが私の勝手な補完なのだけれど f(;^_^
    園子について話している純子の言葉の中に「あの世とこの世のどっちでもないような」という部分がある。
    何かそういう危うさや双極性に、手を伸ばしたくなったのかもしれない?

◆象徴①有刺鉄線◆

この記事のタイトル画像にも使ってみた。
本家のロゴも有刺鉄線をイメージしたデザインになっている。

最初のモノローグ「いたずら」に出てくるのだが、わずかな出番にも関わらず、
グサッと内側に突き刺さってくる(有刺鉄線だけに)。
園子の思い出の中、2人で乗り越えたそれなのか、
傷をつけながらも陶酔している園子の心そのものなのか。

2番目以降のモノローグを見るときにも、なんとなく脳の奥で、この有刺鉄線がチラチラする。
今、園子の想いと純子の拒絶の間にあるそれなのか、
妻として夫としてそれに縛られているのか(ベルばら的な?)、
それとも病魔を表しているのか…。

この有刺鉄線のおかげで、物語全体に走るギリギリとした痛さが増す。


◆象徴②樹木葬◆

2番目の物語「フリ」は、樹木葬ができる霊園を作るための候補地で、純子が一人語る(一緒に来た仕事仲間がそばにいる)。

樹木葬というのは、知らない方がいたときのために簡単に説明すると、
いわゆる墓石の下で骨壺に入って納められるのではなく、
墓石の代わりに木を墓標とし、その下に埋められるというスタイルの納骨である。
里山で自然葬に近い形で行われるものや、公園墓地の一角で骨壺を利用して合同埋葬にするものなどがある。

なぜ急に樹木葬が出てくるのかというと、まず、原案者の花里サチホさんが建築学を学んでいた頃に、
樹木葬に携わりたいと思っていた経緯がある。

純子は学生時代に園子と一緒に考えた樹木葬を実現させようとしていて、
純子を思い続けている園子は建築にはすすまなかった という、
なんとも因縁じみた現在がある。

そして、4番目の物語「人様」で、病気の仁が樹木葬を望んでいることへと繋がる。
園子が樹木葬について仁に語ったことがあり、もしかしたら樹木葬をすることで、
死んでも(死んでからは?)園子と繋がっていたいと考えたのかもしれない。

最初は、何で急に樹木葬?と思ったけど、木の枝のように伏線がある。

仁のセリフで「木はいいよぉ。」というのがある。
私もそう思う。
実はもう20年以上、樹木葬にして欲しいと夫に言い続けている。

その話はここでは割愛するが、この気持ちが「いたずらのパレード」の中で表現されていたことで、
この群像劇の印象がだいぶ変わったように思う。
人物像だけに注目していたら、たぶん私は終始しかめっ面をしていたかもしれない。
怨念と執着がいっぱいだ って。

ところが、樹木葬のおかげで、作品全体を優しい光の方へ向かわせている。
そんな気がする。
有刺鉄線とは真逆のところに、この樹木葬の存在がある。
いや、登場人物達の心を縛っているものとして考えれば、同じようなものかもしれない。
ただ、その効果はやはり真逆といっていいように思う。

どうすることもできないでいる4人それぞれの心は、
好むと好まざるといずれ浄化されて消えていくんだよ、何も残らないよ といっているようで、
最終的には、私はホッとしたような気分になれたのだ。

木に囲まれて、まっすぐこっちを見ながら語る仁が、まるで菩薩のようにも見えた。




というわけで、
「映画『いたずらのパレード』を見て、ド素人が感想言います。」
~モノローグがモノローグを呼び、4人の想いが交錯していく。~

9か月も前に見た映画『いたずらのパレード』の感想でした。

めちゃくちゃ長くなっちゃった(^▽^;)
読んでくださりありがとうございました。

続けてこの作品が元となっている演劇『Toss My Fate』の感想を執筆中です。
また、よろしくお願いします。


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