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仕事の絶望が続く

「好きです!アッティカさんのことが!」
「……は?、いや…はぁ??」

仕事の小休憩で、店長とコーヒーを飲んでいた時の、衝撃発言をしたのは店長だった。

カフェの店長は、経理の奥様と2人でカフェを経営していた。
そう、奥様とだ

「いや、もうあいつは家族みたいなもんでそんな感情もほとんどないんだけど…いや!別にアッティカさんとどうこうなりたいとかはないんだけど、俺の気持ちを知っててほしくて…あいつも、なんでかお風呂とか一緒に入りたがるんだよねぇ」

なんで10以上上のおっさんの訳の分からない話を聞かされているのか、思考が止まっていた。

「アッティカさんなら、こんなこと言ってもいつも通りしてくれると思ってさ!」

その日の夜。夫の寝息を聞きながら、私は眠
れなかった。

幼少期、兄妹が変質者に襲われた。
中学校、友人がレイプされかけた。
高校、友人が…

正直に話せは、私は何もされていない。
もー本当に、びっくりするほどなんにもない!!
それでも、私の心には何故か『男性は怖い』という謎の恐怖心が合った。
 
そのせいか、そんな(私に異性として興味を持っている)人からは全力で逃げる性格になった。
怖かった。ただひたすら。

そんな中、夫だけは大丈夫だった。
夫にだけは異性と見られても怖くなかった。
だから、今までもそんな男性がいたら、怖くて夫に話をして「クソが!」って夫にキレてもらって安心していた。

でも、今の夫にそんな話できない。
もし、暴れてしまったら?
うつ病が暴れたって。病気持ちが暴れたって。警察に連れて行かれたらどうしよう…
病院送りにされてしまうかも…
それこそ、加減できるのかな?傷害罪ですむのかな…

眠れない夜があけた

「……仕事行かなきゃ…」

店長と2人の出勤になる日曜日。
怖くて怖くて仕方なかった。
それでも、お金を稼がないと生活できない。

ある日、あと1時間で仕事が終わるころ、電話がなった

「もしもし?」
『仕事終った〜迎えにこれる?』
「あ、聞いてみるよ」

店長は、いつも夫の仕事終わりの連絡が入ると「迎えに行っておいで」と言ってくれる人だった。
でも、それに毎度甘える事はできないので、大丈夫な日は夫が歩いてカフェまでくる。
車で往復15分程度の場所

「店長、夫の迎えに行ってもいいですか?今日は辛いそうで」
「え、駄目だよ。何言ってるの?」
「え?」
「仕事中に迎えに来てって…ちょっとおかしなこと言ってるよね?」

今まで何度も「迎えに行っていい」と言っていたのに、それに甘えたことはなかったのに、いざお願いをしてみたら…

最近思考が止まることが多い

「ごめん…駄目だって」
『え?駄目なの?いつも良いって言ってるんじゃないの?』
「……言ってたんだけど…」

店長の態度はそれから一変していった。

何かあると
『アッティカさんの旦那さん俺嫌いなんだよね』
『仕事している身でさ、途中で一回帰るとか異常だよね』
『他のスタッフが聞いたら、反発するよ?』
『もう、アッティカさんは丁寧に仕事してくれればいいから』

知ってるよ。仕事中に電話にでるのも、夫の呼び出して一旦家に帰るのも、おかしいのは知ってるよ。
それでも、『そうしてください』って店長が言ったんじゃないか…!!!

同じ職場のスタッフさんに相談しても、『告白は異常だけど。まぁ今まで寛容されていたのが…ねぇ?この職場優しいから』

味方は居なかった。
もう耐えられなかった。

夫に全て話した。
店長から告白されたこと。
突然対応が変わったこと。
職場に行くのが怖いこと。
スタッフにも味方は居ないこと。
もう辞めたいこと。

「ふーん」

泣きながら訴えた言葉に、夫は全く反応がなかった

「え……」
「それで、辞めるの?カフェやりたいって夢も持ってたのに」
「……え…」
「たかだか、おっさんに告白されただけだろ?『私が稼ぐ!』とか言って、まだ8ヶ月じゃん」

目の前にいるのは誰だろう。
私が男性に変なこと言われたと言ったら、血相変えて怒鳴り込みに行く!と言っていた彼はどこに行ったのだろう。
私が告白されたなんて言ったら、そく殴り込みに行くと思って…。

あんなに怒鳴って、私を守ってくれた夫は、
どこ…?

「お前が、こんなにすぐ諦める奴だとは思わなかった」

そのまま、夫は布団に戻っていった

あぁ、そうか。
夫は不安なんだ。
だって、私が仕事を辞めたらお金がなくなる。webライターの仕事だけでは、生活費にはならない。
自分がまた頑張って働かなきゃいけない。

「私は……君が、病気になっても……何も、何も…言わなかったのに……仕事…辞めなって…言ったのに……」

私に、あそこで働き続けろというんだ。

あぁ、そうか

私は、『生活費』なんだ


涙が出ているのか、出ていないのか。
何もかも感覚がわからなくなった。

あ、息子のお迎えの時間だ。
あ、娘がお昼寝から起きてきた。

息子着替えさせて、夕飯作らなきゃ。
夕飯作って、お風呂にいれて、洗濯して、子ども寝かしつけて、夫のマッサージして寝かしつけて、webライターの仕事で記事を書いて

え、このあと、私はどうしたらいいの?

家族の寝息のはずなのに。ここは家のはずなのに、ここはあまりにも辛くて私を傷つける。

違う。ここは家じゃない。ここは家じゃない。帰りたかった家じゃない。守りたかった家じゃない。
私の家族はどこ?
大事な、息子は?
大事な、娘は?

私が16歳から、ずっとずっとこの13年間愛し続けた。夫は…どこ?

帰りたい。家に帰りたい。家に帰りたい。家に帰りたい。家に帰りたい。家に帰りたい。家に帰りたい。

「……アッティカ…どうした…?」

夫が上から心配そうに覗き込んでくる。
気がついたら、私は玄関にうずくまっていた。

夫がかがんで顔を覗き込む

違う

「大丈夫か?」

違う

「とりあえず、リビング行こ…?」

違う!!

肩を抱いた夫から逃げた。

靴も履かず、玄関を飛び出した。

違う怖い違う怖い違う怖い違う怖い違う怖い違う怖い違う怖い違う怖い

腕を力いっぱい引っ張られた

「アッティカ!!!!」

必死な顔の夫がいた。
心配そうに眉間のシワが濃くて、それは見覚えのある顔だった

「ち…っ、がう…」
「アッティカ…?」
「ぁ、そこ…家、違う…」
「え…?」
「お、うち帰る……おうち、帰るッ……おうち帰るぅぁああああああ!!」

そのまま泣き崩れた。
膝から落ちそうになる私の体を、夫は必死に抱きしめ、崩れ落ちないように強く強く抱きしめた。

一通り泣いて。

夫を見ると、まだ心配そうな顔をしていた。

「おうち、帰ろ…」
「…いいの?大丈夫…?あの家で」
「うん、……あそこ、おうち」

次の日、力のない手で『休みます』のLINEをして、息子の幼稚園も休みにして、そのまま布団に横になった。

子どもたちのご飯の準備は夫がしてくれた。
久しぶりに、ゆっくり眠る事ができた。

お昼頃に、ご飯ができた。と夫が起こしに来てくれた

「……ごめんね…」
「何が?」
「アッティカは、俺が病気になったとき寄り添ってくれたのに…俺は、アッティカに寄り添えなかった」
「……うん」
「仕事辞めていいよ!違うとこ探そう!」
「……うん、ごめんね…」

私はその日『病気になったので、辞めます』と職場にLINEをした。



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ごめんなさい。口悪くてごめんなさい。
店長ブチ○すぞって書かなかった私偉い!!

今なら言えちゃう!
思い出している時に、書き込みそうになった!でも、その時の私じゃないと思って消した😂

いや〜聞いてくださいよ。この私の仕事絶望編は前編ですぜ?このあと中編、後編と3部作で絶望が続きます。よく乗り越えたな🤣
安心してください!今は職場は安らぎ!🤣

本当に何度でも立ち上がったなぁ
これも全部周りの人に支えてもらったおかげです。
幸せってなんで探さないと見えないと思います?
辛さだけが際立つのは、危機回避能力らしいです。私が私のために「危ないよ!傷つくよ!忘れないで!守って!」ってなっているんですね。
そう思うと何度も思い出す後悔も恐怖も、ちょっと可愛く見える🤭

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