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観光客を囲い込むホテルと商業施設は悪か?


「おもろかったら、人は来ますよ。おもろいもんを作ることです。」


そんな、シンプルで本質的な言葉をいただいたのは先日のとある授業でのこと。

大分県別府市にあるAPU(立命館アジア太平洋大学)の学長・出口治明さんがゲストにいらっしゃったのですが、私がした質問「ゆめタウンにも、杉の井ホテルにも囲い込まれずに、どうやったら、別府を訪れる人はまちをもっと歩いてまわってくれるでしょうか?」に対して、そんな言葉をいただきました。


私は大分出身なのですが、それはさしおいても、今まで足を運んだことのあるまちの中で、なぜだか一番別府が好きなのです。ほんとに。

戦時中空襲を免れたために、昔の古いまちなみが残っている別府の中心市街地は、とてもディープでレトロ、愛おしく窮屈な路地や味のある土産屋に純喫茶、生活に根付いた温泉文化が垣間見える銭湯など、愛すべき景色がそこかしこにあります。

とはいえその通りを歩く人はまばら。山手のほうにある地獄めぐりの観光をしたあとは、建物内でお楽しみが完結してしまうホテルに囲い込みにされてしまうし、地元の人には車でぴゅーんと行けて便利なゆめタウンが魅力的に写る。


私みたいな人だと、ついついそんなどでかいホテルや商業施設を悪者にしたくなるけれど、それはホテルや商業施設が悪いのではないし、観光客のセンスが悪いんでもない。

特定の場所に来てもらうために別の場所を否定するやり方は違うし、いくら自分が大好きな場所を伝えたとて、大多数に好まれるかどうかはまた別の問題。好きか便利かもまた違う軸だし、実際そこに人が来ているということは必要とされている証で、人の行動や数字は正直である。


「人に来てもらいたいなら、補助金使ったり税金の負担を減らしてあげるんじゃなくて、来たくなる面白いものをつくること。 いかに面白くワクワクするものを作れるかです」

そんな出口さんのアドバイスにハッとし、「広告費はつまらないサービスを作った罰金」って言葉もふと思い出しました(最低限情報を届けることはサービスを作った人の義務でもあるのだけれど)。


「おもろかったら、人は来ますよ。おもろいもんを作ることです。」

シンプルな言葉に身が引き締まる。
忘れないようにつづっておこう。

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