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カナダ留学日記109 日本語家庭教師

去年の12月、ボランティアでお世話になっている日本語学校の先生からメールが来た。
「生徒さんのお家が、Tutor(家庭教師)を募集しているのですが、やりませんか?」
といった内容だった。

まず考えたのが、私で大丈夫だろうか・・・!?と言うことである。生徒はカナダ人のお宅の娘さん2人で、日本語は喋れない。日本語学校の、英語で日本語を学ぶクラスである。「あいうえお」もまだ覚えていない。
私は英語がそんなに上手じゃないのに、生徒さんとコミュにケーションが取れるのだろうか・・・!???と言うことが心配だった。しかし、せっかくのお話だったので、受けることにした。

娘さん2人は4歳と6歳。普通の学校の後の習い事として、1時間の日本語のお勉強の時間である。これは、幼いお子さんには結構しんどいのでは・・・?勉強、と言うよりもアクティビティを多めにやった方がいいだろうな、と思った。主なやり取りは生徒のお父さんとするのだが、とても良い方であった。

そして、私は日本語の先生をやるつもりなど全くないままカナダに来たので、日本語学習のプリントやら道具やらなんてものは全く持ってきていなかった。そのことを相談すると、日本語学校の先生方は快くプリントを分けて下さった。「あいうえおカード」などの道具も貸し出してくれた。先生方の協力のおかげでなんとか家庭教師ができている。

とりあえず、最初は1時間の予定を立ててみた。

この下にもまだまだ続く

さて、第一回目。子供達は緊張している。私も緊張している。
お母さんはとても和やかなお方である。お父さんは仕事で外にいる。
とりあえず、計画書通りにやってみる。第一回目の緊張も手伝ってか、生徒さんは2人とも一生懸命ひらがなの書き取りに取り組んでくれた。私は、自分の英語力がない分、めちゃくちゃ2人を褒めまくった。私のiPadに興味があるようだったので、それぞれ個別学習の待ち時間に5分ずつくらいお絵描きをさせてあげることにした。(私がお姉ちゃんの勉強を見ている時は、妹がお絵描きをする)

その日は2人の顔にあまり笑顔が見られないので、「こりゃあ・・・・どうやら・・・・失敗したな・・・・・!!!!!」と思った。

しかし帰宅後、お父さんからメールが来た。
何か私に不備があって、娘たちがそれをお父さんに言って、いきなりクビになるのでは・・・・・と思ってメールを開いた。

「今日はありがとうございました。娘たちはとても楽しかったようです。どうだった?と聞いたら、「Awsome!」(さいこ〜!)と言っていました。」とのことだった。すごく驚いた。Awsome!?それは流石に嘘では!?と思った。親に「勉強どうだった?」って聞かれたから、つまらなかったけど「頑張ったよ!」って誇張して答えたのでは!?もしくは、お父さんが私に気を遣って「よかったって子供達が言ってますよ!」って言ってくれてるのでは?と思った。
私はこう言うことに関してはマイナス思考である。でも、来週もお願いします、と相手方が言ってくれているのなら、頑張るしかない!

と言うことで2週目である。
前回のことを踏まえて、こんな感じでやろうかな、と計画を立てる。動画はあまり楽しくないようだったから、カードを使ったゲームを多めに行う。

この日も2人はとても頑張って授業に臨んでくれた。学校の後で疲れているだろうに・・・偉いなあ・・・!と感心する。

ところで、私は、ラメの付いているピンクの蛍光ペンで丸付けをしているのだが、筆箱の中に見つからない。無くしてしまったようである。すると、生徒たちが「先生、この間、うちにピンクのペンを置いていったよ!」と言った。


愛用しているラメ蛍光ペン
日本の文房具は素晴らしいな〜〜〜!

私「ええ!ほんと!?」

姉「ほんとだよ!子供部屋に保管してあるからとってきてあげる」

妹「私が行く!私が取りに行く!!!」

2人が喧嘩を始めそうになって焦った。

お母さん「それなら2人で取りにいきなさい。20秒以内よ。」

2人は子供部屋にかけて行った。

私「すいません、前回忘れ物しちゃったようで…」

お母さん「2人があなたのペンを見つけて大興奮だったのよ〜^^どっちが保管するかで喧嘩してたわ〜」

これを聞いて、なんだか嬉しくなった。私の忘れ物は「先生のペン」と言うアイテムになって、子供達を楽しませることができたのである(?)ピーターパンが置いて行った影を大切に保管していたウェンディみたいである。こういうとき、子供って面白いな〜と思う。そういえば、今回は前回に比べて生徒の笑顔が増えた。忘れ物をしたことで親しみを持ってもらえたかな?

私の授業は正直言ってまだまだだけど、今後もがんばろう、と思った。

そういえば、バレンタインデーには、イラストをプレゼントしてくれた。私もホワイトデーにイラストをお返しした。

かわいい!!嬉しくて部屋の壁に飾っている。

家庭教師のお仕事を斡旋してくれた先生からありがたすぎるメールが届いた。

そんな褒めてくれることある!!??と驚いた
あまりにもありがたすぎるお言葉である。

子供たちが私に慣れてくると、疲れからか勉強に集中できなくなることもあった。これに対しては、お家の方がすごく協力してくださった。
「先生のあんたの教え方が悪い!!」と言われないかヒヤヒヤしていたのだが、そんなことを言われたことは一度もない。上手に授業ができなくてお金をいただくのが心苦しい日もあったが、お家の人は本当にいい方たちだ。
本当に恵まれているなあ・・・!と思った。

毎回同じようなことをしていると、マンネリ化というか、子供が飽きてくるので、毎回何かしら新しい活動を入れるようにしている。

これは、水でかけるシートで習字の体験をしている


さて現在。
もう以前ほど細かい計画は作らなくなったが、毎回簡単に流れを考えている。これをやった方が授業がスムーズに行くのだ。

ビンゴは2人とも好きみたいなので、毎回やる


せっかくなので、毎回の流れや、私がやってみて効果があったもの、逆に失敗したものなどを紹介しおておこうと思う。もしもこれを読んでいる人で日本語Tutorをやる予定がある人は参考になる・・・・かもしれない(?)



毎回の流れ

1)スモールトーク
授業前の簡単なおしゃべり。今日学校で何したの〜?とか。生徒が工作が好きなので、彼女が作ったものを褒めたりする時間。

2)動画、歌
数字の読み方https://youtu.be/4rcz-vIr91U?si=wpNRuPyZUaSUoqfP

あいうえおの歌https://youtu.be/IfH5RF5BVCY?feature=shared

どんな色が好き?

たまに歌の速さを2倍速に変えたりすると面白い。Youtubeは神。

3)リピートアフタミー!
スケッチブックに書いてある言葉を私が読んで、それを真似してもらう。
色、あいさつ、体のパーツなど

赤いものを描いてくれた(?)
テンポよくめくっていく
これはあいさつ。色塗りをされた
こっちも
体のパーツ

4)ビンゴ
ひらがなビンゴ、数字ビンゴなど
ランダムにひらがなや数字が出るWebサイトを使う
子供に押させてあげると喜ぶ

ビンゴしたらシールをあげる。


5)カード系アクティビティ
・あいうえおのカードを並び替える
・色カードを引いて、色を答える

裏返しのカードを選んでひっくり返すちょっと楽しい感じになる(?)

6)リスニング
私が発音したひらがなを、ひらがな表から探し出して丸をつける。生徒の名前や、私の名前など、馴染みのあるひらがなを指定するようにしている。

このプリントめっちゃ役に立ってます

7)ライティング
・ひらがなプリント
・好きなアイテムの名前をノートに書き写す↓

食べ物、お菓子は子供が好きだからね・・・
動物も・・・

Youtubeの動画をスクショしてフォルダにまとめてある。↓

この中から好きなアイテムを選んで、名前をノートに書く。


8)お楽しみ系
・折り紙(折り方は日本語で説明する)
・お絵描き
・動物探し↓

地図に動物シールを貼って、日本語の名前を覚える

Dollaramaで買ったシールブックを使っている。最初は私が動物の名前を書いていたが、最近は生徒が私の言った動物の名前を聴いて、自分でひらがなを書くようになった。進歩!!

基本的に英語でやり取りをするが、生の日本語を浴びせた方が絶対いいので(せっかく日本人が先生やってるんだし)「すごい!」「正解!」「よくできました!」など褒め言葉は日本語を使っている。また、「どの色がいい?」「どれがいい?」「これは何?」「何がほしい?」などの質問の定型文も日本語を使っている。


効果があったもの

・折り紙
これは子供の気を引くのにとてもいい。授業の最初に、「今日はこれを作ろうね〜」と言って見せると、生徒が最後まで頑張れる。折り紙を選ぶ時はもちろん「何色がいい?」「どれがいい?」と日本語で聞く。生徒もできるだけ日本語で答えるように促す。私が作った見本はプレゼントする。

春になったのでチューリップ
好きそうなので星

・シール
ビンゴの商品をシールにすると、生徒のやる気が出る。

これもOOMOMOで買った

・ひらがなを覚えるたびに、ひらがな一覧表にシールを貼っていく
勉強が進むとシールが増え、一目で自分の進捗がわかるのでモチベーションが保ちやすい。

・色ワークブック
色のシールを貼っていくワークブック。OOMOMOという雑貨屋さんで購入した。「どの色が良い?」と聞いて、欲しいシールの色を生徒が答える。丸、三角、四角のシールを組み合わせていろんな形を作ることができる。何度もやっているうちに、色の名前を覚えることができた。何より楽しそうだった。

・工作
日本語の勉強関係なくない!?と思うが、指示は日本語でしている。一応リスニングである(?)何より食いつきがすごい。

ボランティア先でもらってきたワークブック

私の生徒が工作好きなので、何かものを作る系のアクティビティが効果が高いようだ。


失敗したな〜と思うもの

・カード隠し
これは生徒がやり出したものなのだが、「楽しいならいいか」と容認していたら行きすぎてしまった例。あいうえおのカードを学習スペースのどこかに隠して見つける、というものなのだが、そのうち生徒がリビング中に隠すようになってしまった。探すのに時間がかかるし、家庭のプライベートなゾーンに入りたくなかったのですぐに廃止した。

・ゲーム(カルタやすごろく等)
私の生徒が姉妹で、お互いに張り合う気持ちが強いので、ゲームをやると負けた方が泣いたり不機嫌になったりしがちである。勉強どころではなくなる。これに関しては私の配慮不足である。もうやらない・・・

・色ボール
色のついたボールを袋から出して見せて、色を答える活動をしようと思ったのだが、色ボールが魅力的すぎたようで、勉強どころではなくなった。

なぜこんなものが・・・

ボールに折り紙を巻いただけのこの雑具合が良かったらしくて(?)ボールを取られてセロテープでくっつけて顔を描かれて人形にされてしまった。赤と黄色と緑のボールが失われた…

・お買い物ブック
これもOOMOMOで買ったシールブック。物の名前を覚えてもらおうと思ったが、シールが魅力的すぎて勉強どころではなくなった。

あまり遊びに特化してしまうとダメだな〜


なんだかんだ言っても私も日本語Tutorは初心者である。今後も自分が勉強をするつもりでこのお仕事を頑張りたいと思う。

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