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カナダ留学日記48 パスウェイ②

さて前回に引き続きパスウェイの話である。今回はメイン課題であるエッセイとプレゼンテーションについて書いておく。

エッセイ
エッセイというのは日本で言うところのレポートみたいなもので、与えられたテーマに対して文章を書く。もちろん私も大学生時代にたくさんのエッセイを書いたが、今思うときちんとエッセイの書き方を教わったことはなかった。参考文献を読んで、自分の考えを書いて終わり…といった感じだったと思う。パスウェイで書くエッセイは、きちんと型が決まっていて、段落の数、論文声明を入れる場所、参考文献の紹介の仕方などもルールに沿わなければいけない。これに関しては先生が詳しく説明してくれるだけでなく、実践的に練習もさせてくれたので、普通にクラスに出席していれば覚えることができた。
「型が決まっている」と言うのは、つまり、型にはまっていればそれなりの形に仕上がると言うことで、日本で書いていたようなレポートよりも読みやすものが書けたと思う。ただ、とにかく、時間がかかった。パスウェイ期間中の土日は毎週エッセイを書くのに費やしていたと思う。とにかく外出する暇などなく、丸2日家にこもってPCに向かっていた。3ヶ月を終えて冬休みを楽しんでいる今、最初のエッセイのことなどはもうはるか昔の出来事のように感じらるが、せっかくなので思いだせる範囲で記録しておこうと思う。

このコースでエッセイを書くにあたって、全部で7つの過程があった。
①定説を決める
②ブレインストーミング
③アウトライン
④ドラフト1(下書き)
⑤レビュー
⑥書き直し、修正
⑦ドラフト2(これが完成形になる)

カレッジに行けばドラフト3、ドラフト4、と何度も書き直しを重ねて完成させることになるので、もっと工程は増えるらしい。

①定説を決める
「定説」というう日本語であっているのかわからないが、英語では「Thesis statement」のことである。先生に与えられたテーマを元に、自分の考えを表明するのである。エッセイの軸になる部分である。日本でレポートを書いたときには、「こうかもしれないし、こういう可能性もある」とか「いろんな考え方がある」的な曖昧なものでも大丈夫だったが、英語でエッセイを書くときには基本的に自分の考えをはっきり宣言することが必要である。
最初の段落でいきなり「これは、こうです!」と宣言するのである。

私が書いた6つのエッセイのテーマとthesisは
・自然vs育成:両親による育成は子どもの言語分野に影響を与える
・グローバリゼーション:グローバリゼーションのメリットとデメリット
・言語:英語と中国語が世界的言語になっている3つの理由
・気候変動:人間活動は温室効果ガスの排出と気候変動に関わっている
・スタディスキル:3つの重要なスタディスキルと、それを発展させる方法
・遠隔医療:遠隔医療は、治療よりも予防の面でより効果的である

で、(日本語に直すと余計に変になる…)どれもなかなか書き上げるのに苦労した。テーマは全てアカデミックなものだが、もちろんパスウェイの中でそれに関する記事を読んだりディスカッションをしたりするので、エッセイを書く前に多少の予備知識は手に入る。


②ブレインストーミング
自分のthesisが決まった後はブレインストーミングをする。そのエッセイを書くにあたって、「キーワード」「今の段階で何を知っているか」「これから何を調べなくてはいけないか」などを洗い出していく。これは1人では視野が狭くなるので基本的にグループワークで行った。


そしてこれを元に、リファレンス(参考文献)を探すことになる。実は、私が一番苦手なのがこのリファレンス探しであった。google scholarや、トロントの公共図書館のデータベースなどを利用して参考文献を集めるわけだが、当然全て英語で検索、吟味するので慣れないうちは本当に地獄であった。そもそも論文を英語で読むだけでもものすごい時間がかかるのに、一生懸命読んだ論文が自分のテーマとずれていたらまた探し直しだ。全然時間が足りなくて、追い詰められたときにはgoogle翻訳も使った。(本当はルール違反)

③アウトライン
これはエッセイの基本的な骨組みを作る作業である。先生が用意してくれたアウトライン用の表にベースとなる情報を当てはめていく。当然これにはリファレンス探しも必要で、時間がかかるのでこれは宿題になる。提出後、先生が添削をしてくれるので、それをさらに修正したら、いよいよ下書きである。

④ドラフト1(下書き)
さて枠組みが整ったら後はどんどんエッセイを書いていくだけである。アウトラインがしっかりできていれば、それに沿って文章を書くだけなのだが、それすらよくわかっていなかった頃の私は大変苦労した。文章を書き始めてからリファレンスが自分のテーマに合っていないことに気づいて調べ直しをしたり、引用の仕方がわからなくて毎回検索したりと本当に手際が悪かった。そもそも英語で文章を書くことにすら慣れていなかったので、google翻訳を多用した。(重ねていうがルール違反である)ひとつの段落を書くのに2時間も3時間もかかったこともあり、5つの段落を仕上げるのに誇張なく本当にまる1日かかった。


⑤レビュー
下書きが仕上がったら早速レビューである。ペアワークになり、お互いのエッセイを読み合って、項目に沿って添削をしていく。あらかじめ先生が添削をしてくれているのだが、クラスメイトのエッセイを読むことで自分の勉強にもなる。
「thesisはあるか?」「リファレンスはあるか?」「段落は5つあるか?」など基本的なことから、「よかったところ3つ」「改善点3つ」など自分の感想を書いていく。人にとって読みやすいエッセイはやはりいいエッセイなのである。

⑥書き直し、修正
⑦ドラフト2(完成形)

これはほとんど同じ作業である。先生と友達からの添削を元に、下書きを直していく。下書きの段階でよくかけていた場合は、これにはほとんど時間がかからない。

さてこんな感じでエッセイを書いていくのだが、この①〜⑦の工程にかけられる時間は1週間弱である。しかも毎日の授業と宿題と並行して行う。もう、本当に、土日が勝負である。しかし、その土日も全てエッセイに捧げられる訳ではない。エッセイの作業と並行して、プレゼンテーションの準備もあるからだ。今思うとよくやってたな…と思う。

プレゼンテーション
1ヶ月のうち、2週目と3週目の木曜日はプレゼンテーションの日である。私の場合、土曜日にエッセイの下書きを終わらせ、日曜日はプレゼンテーションの準備をする、というのが通常であった。プレゼンテーションの長さは10〜15分であり、生徒の人数によって長さが変わる。生徒の数が多い時は1人10分が持ち時間なのだが、これをオーバーすると減点されてしまうので、結構ヒヤヒヤしながら行っていた。今までのESLのクラスでは、プレゼンテーションの時間制限に関してはゆるく、テーマも簡単だった。しかし、パスウェイクラスではもちろんテーマがアカデミックなものに限られる。(それでもエッセイに比べるとだいぶ楽だったな…と思う)

私の6つのプレゼンテーションは
・コミュニケーション:言語を使わずに幼児とコミュニケーションを取る方法
・テクノロジー:イラスト生成AIの進化
・言語:日本語における3つの文字
・文学:ルイス・キャロルとその作品
・健康:エクササイズのメリット
・教育:日本の小学校の学級経営メソッド

である。この中で先生からの評価が高かったのは、日本語の3つの文字(ひらがな、カタカナ、漢字)とルイス・キャロルのプレゼンであった。

プレゼンテーションをするにあたっても、もちろんアカデミックなリファレンスが必要で、それを調べるのにもまた時間がかかった。特に、日本のことを紹介したいときに、英語で書かれた論文を探すのが大変だった。

しかし、当日は他の生徒のものも聞けるので、それは楽しかった。最初は緊張したが、後半になるにつれてプレゼンテーションは楽しみの一つになった。やはり私はプレゼンテーションが好きなのである。


さんざん苦労したパスウェイであったが、先生やクラスメイトとの関わりは私にとってかけがえなのないものになった。とにかく真面目な雰囲気で、専門的な勉強ができたのはとてもよかった。カレッジに行ったらもっともっと大変らしいのだが、ここでの経験を元に頑張りたいと思う。



おまけ

私は文法が苦手で、よく三人称単数のSや複数形のSをつけ忘れて先生に注意された。今では少しましになったので、厳しくて優しい先生に感謝である。(先生とは仲良しです!)


月末の金曜日はフィードバックの日で、文法ミスをいつも指摘されていました・・・・南無・・・・・・・



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